うつ病・パニック障害・自律神経失調症に効果あるけれど、運動出来ない。

ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。

うつ病・パニック障害・自律神経失調症の改善に運動は効果的だという医学的なエビデンスは非常に多く報告されています。しかし、実際に運動を始めることがなかなか出来ない、なんとか運動をし始めたけれど3日坊主になってしまい、継続できないという方は多いです。

私達の脳は基本的に変化を嫌う為、運動をし始めるだけでも心理的に抵抗が発生し、やり始めても元の運動しない生活習慣へ引き戻そうという心理的な抵抗が発生します。運動を継続するにはこの心理的な抵抗を乗り越えていく必要があるのです。

今回はうつ病・パニック障害・自律神経失調症を治すために運動したいけれど、始められない、継続できないを乗り越える心理学・脳科学的なテクニックについて一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までお読みください。

結論:まずは運動の習慣をつけることに集中しましょう

当院でもうつ病、パニック障害、自律神経失調症など、運動習慣がない方には必ずと言っていいほど運動を少しずつでも行うようにお伝えしています。

運動が脳や神経系に良い作用(気分が安定したり、不安な気持ちになりにくくなったり)があることは多くの研究でも認められています。

実際、元々運動習慣がある方は自律神経系の問題が出てきたとしても改善が早いですし、運動をお勧めして直ぐに開始して継続して運動できる方は改善がかなり良いです。

しかし、うつ病などは特に気分が落ち込んでおっくうになってしまうのも病気の症状の為、いきなり〇千歩ぐらい歩きましょうとお伝えしても、実行不能なことがほとんどです。

それでも頑張って、せっかく運動をし始めたとしても運動の効果は継続することでより大きな変化を心身にもたらして病気の改善に良い影響を与えてくれる為、継続できなければ意味がありません。

運動をして自律神経の改善を行っていく効果を享受する為には、継続して運動し続けることがとても大切になります。

いきなり運動による効果を狙うと初期に頑張りすぎてしまったり、今から運動を始めたら〇分間は歩かなくてはいけないのか~と頭の中でネガティブに考えて運動をする気力が奪われてしまいます。

そういったやる気に頼った運動は長続きしないのでやる気だけで運動を継続しようとしないことが大切です。

やる気を利用しないで運動をするには習慣により運動を自動化していくことです。

習慣とはあなたが無意識に毎日していることです。

例えば、シャワーを浴びる時多くの人はだいたい決まった場所から身体を濡らし始めます。これは習慣による力です。

運動を習慣化することが出来れば、やる気に頼らずに運動を継続できるようになります。

習慣化するにはいくつかのポイントがあり、そのポイントを押さえて実行していくことが大切になります。

いきなり運動の効果を得ようとすると失敗しやすい

運動の必要性をご説明させて頂いて、最初に返ってくる質問は「どのぐらいやればいいですか?」がぶっちぎりでトップです。

日本人の60代男女を対象とした研究では1日どのぐらいの運動をすればよいのか?は研究で調べられています。

しかし、60代対象の運動量を20代の人が毎日行っているか?と言われれば行えている人は病気がない人でもごくわずかです。

運動を習慣化するにはいきなり運動の効果を狙っていくのではなく、運動を習慣化する事を最初の目標に掲げることが大切です。

自律神経の症状があって辛いのはわかるのですが、急がば回れで健康効果が得られる運動量をこなせたとしても3日坊主では意味がありません。

寝たきりの状態でずっと過ごしていた方が体を起こして座るだけでも、寝たきりの状態に比べれば運動による健康効果は少なからずあります。

うつ病やパニック障害、自律神経失調症から元気になるにはさすがにそれだけでは改善が出来ませんが、毎日行える少ない量から運動を始めて、継続していくことが大切なのです。

習慣化は最低3ヶ月かかる

私達の脳は3日、7日、21日、3ヶ月で習慣が強化されていくといわれています。

つまり、あなたが毎日同じ場所からシャワーで体を濡らすようになったのは、少なくとも3ヶ月間同じ場所からシャワーで濡らし続けた結果です。

試しにシャワーで最初に濡らす場所を左右反対にしてみたり、上下反対側から行ってみてください。何となく落ち着かないような違和感を感じるはずです。

習慣化されると行動を起こす為のやる気が不要になります。

習慣化の為の重要なポイントは後述しますが、習慣化されて固定化されるまでには最低でも3ヶ月は意識的に同じ行動をなるべく毎日とり続けることが重要であるといわれています。

その為、「今日から3ヶ月間毎日1万歩歩く。」という無茶な目標を最初に立てないでください。

3ヶ月間継続することが出来れば、運動しないと落ち着かなくなるという感覚が出てくるようになります。

運動量を増やすのはその後です。

習慣化されたものを変化させることは脳が嫌がります。今は運動しないという習慣化されていれば、当然運動することに抵抗感が出ます。

その抵抗感はやる量を減らすことで減らすことが出来ます。

習慣化をするための重要ポイント

運動の習慣化の為にはいくつかの重要なポイントが存在します。

現在、運動しないという習慣化がされているところに運動を持ち込もうとすると脳は激しく抵抗します。

運動しないという習慣化を壊そうとしていると脳に悟られないように、こっそり隠すように運動を生活の中に入れていくということが大切です。

これらのポイントは時々見直してみてください。

3ヶ月の期間が過ぎるまでは習慣化が進んできても油断は禁物です。運動しないという習慣は本能的にだらけよう(エネルギーを節約しよう)とする力も合わさっている為非常に強力です。

1ヶ月ぐらい毎日できると、人間の気が緩んで油断してしまいます。その隙をついて脳は元の運動しない習慣に戻そうとしてきます。

出来れば、週に1回ぐらいは習慣化の重要ポイントから外れていないか?を振り返ってみて気を抜かないように取り組んでみてください。

ここでは基本的にウォーキング(歩く、散歩)を始めることを例にご紹介していきます。

運動をするまでの手続きを簡略化する

人は何かをし始める時の手続きが多いほど、行動が起こしにくくなります。

運動を始める為に服を着替えて、タオルを用意して、運動用のシューズを用意してといった具合に、運動に取り掛かるまでの準備が多いほど、運動に取り掛かる気力がそがれていってしまいます。

習慣化された3ヶ月後であればスポーツウェアに着替えたり、シューズを用意したりということはやっても良いですが、それまではそのままの格好で始めましょう。

家族が家にいる時間帯であれば玄関のかぎを開ける、閉めるといった作業もなくなるようにしておくと良いです。

運動をした!の定義を極小化する

運動したというのは、どのぐらい歩いたら運動したになるでしょうか?

500歩歩いたら運動でしょうか?1000歩歩いたら運動でしょうか?5000歩歩いたら運動でしょうか?

習慣化に大切なのは運動量ではありません。毎日運動をしたという目標を達成することです。

私が患者さんにお伝えするのは、玄関の扉を開ければOK、靴を履けばOK、玄関に近づくだけでもOKという具合に、外に出ていなくても今日のノルマは達成となるような目標を立ててもらいます。

ウォーキングの習慣化を阻むのは自分の心だけでなく、雨といった天候も邪魔してきます。

外に出なくてはいけないという目標を立てると、今日は雨が降ったから運動できなくても仕方がないと肯定してしまいます。

雨が降っていても玄関の扉を開けるということまではやる、靴を履くという目標だけは達成する、玄関まで行くという目標だけは達成する。

なるべく、確実に達成できるごくごく小さな目標を運動したと定義することが大切です。

なるべく同じルーティン・タイミング(時間)で行う

習慣は同じ手順を繰り返すことで脳に定着していきます。

その為、なるべく同じ時間帯だったり、食前・食後、お風呂に入る前など、○○をした前や後といった現在持っている習慣にくっつけて同じルーティン・タイミング・時間で行うと習慣化が定着しやすくなります。

一番良くないのが、時間が出来たらやるというその日の都合の良い時間帯に・・というタイミングを設定しないことです。

脳は習慣によってモードを切り替えています。部屋を薄暗くして歯を磨いてから寝ている人は、部屋が薄暗くなってから歯を磨くと脳が寝るモードに入ろうとします。

○○をしたら次は○○をするというように条件付けをしておくと、脳は自動的にそのモードに入るようになるので、生活の中に運動につなげる流れを作っておくことで習慣化しやすくなります。

運動を頑張れても意識的に運動をした!の目標を下げる

天気が良かったり、体調が良かったり、家族と一緒で楽しくお散歩できたりなど、いつもよりも1日の運動量を増やせることがあります。

人間は一度出来てしまうと、目標をそこに無意識にセットしてしまいがちです。

最初に設定した靴を履ければそれでOKから、5000歩毎日歩く!に目標を切り替えていかないことが大切です。

5000歩を今日も歩かなくてはいけない!と思うと気が重くなって運動が嫌になってしまいます。

たまたま普段よりも運動出来た日があっても目標は変えずに、最初の目標に立ち返ることが大切です。

効果を期待しない

運動の効果は数か月単位で徐々に出てきます。一ヶ月苦しいのにも耐えて頑張っても効果が出てこないのは普通です。

むしろ、効果が出るように頑張るということはそれだけ自分にプレッシャーをかけているということになるので、自律神経を整えるということを考えると、そこまで頑張ってしまうのはマイナスに働いてしまい、運動しているのに悪化するという逆効果になりかねません。

これだけ頑張っているんだから、効果が出て欲しいと思いたくなる気持ちはわかりますが、自律神経を整える為の運動は、効果が出なくてもまぁ仕方ないか、歩いていると気持ちいいしそれでいいやと思えるぐらいの運動量を継続する事が大切です。

効果を期待しすぎて効果が期待していたように出ないと嫌になって運動をやめてしまうことにつながります。

辛くなる程やらない

うつ病やパニック障害になる方は特に真面目で一生懸命な性格の方が多いので、ストイックに辛くても我慢してやり続けてしまうことがあります。

運動を継続するのは我慢大会ではありません。

辛いことに耐えられるのは短期間だけです。1年毎日やっても継続できるぐらいの辛さに抑えて継続することが大切です。

完璧主義にならない

運動習慣づけを始めたけれど、体調が悪くて起き上がれない日も当然あります。

凄く小さな目標を設定したけれど、それでも達成することが難しい日はあるかと思います。習慣化は基本的には毎日ですが、1日出来なかったからと言ってすべてが無に帰すわけではありません。

翌日からまた再開していけば、習慣化はしっかりされていきます。

 

まとめ

うつ病、パニック障害、自律神経失調症の改善には運動が効果的であるという研究が数多く報告されています。

しかし、なかなか運動を始めることが出来ない、はじめても継続できないという問題にぶつかることがほとんどです。

私達の脳は現在の生活習慣を維持しようとするため、運動習慣をつけるにはその現状維持しようとするを乗り越える必要があります。

運動の効果を得ようとしていきなり運動を開始してしまうとほとんどの場合挫折することになってしまいます。

まずは運動する習慣を身につけることを優先する方が継続できます。

習慣化には最低3ヶ月は時間がかかるのでまずは3ヶ月間継続できるレベルの運動に留めることが大切です。

運動を習慣化する為にはなるべく心理ハードルを下げることが大切です。

また、運動するタイミングを揃えると継続されやすく習慣化に成功しやすくなります。

当院での改善をご検討の方は自律神経失調症うつ病パニック障害をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、カウンセリングを受けたいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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