ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。
普段何ともない方でも暑いと動悸を感じる事があり、そこから心配や不安になってしまい更に動悸がひどくなるといった悪循環を繰り返して自律神経失調症や不安障害(パニック障害)へと進行させてしまう場合があります。
今回は暑さで動悸が出る原因と対処法について知ることで、暑さの動悸から自律神経失調症や不安障害(パニック障害)にならない方法について、一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までお読みください。
結論:体温調節と循環血液量の低下で心拍出量や心拍数が増加して動悸を感じやすい
私達の身体は体温をある一定の温度に保つ仕組みがあり、呼吸で体温を外に放出する他の哺乳類とも共通する以外にも、皮膚表面に血液を集中させて体温を放散(放熱)する方法や発汗して汗が気化するときに熱を奪う気化熱による放熱をしています。
体温は医学的には血液の温度とイコールであると考えられている為、体温調節には血液が重要な役割を果たします。
暑くなると放熱の為に体温調節の為に、より多くの血液を使用してしまう為、その不足分を補うために、心拍出量と心拍数を上げて血液循環の速度を速めて対応します。
その為、上がった心拍出量と心拍数が動悸として感じられてしまうことが多く、人によっては動悸から不安になってしまいその心理ストレスで自律神経失調症やパニック障害へと進行してしまう場合があります。
暑い時に身体に何が起こっているのかを理解することで、不要な心理ストレスを抱え込んで自律神経失調症やパニック障害を引き起こさないように予防していくことが大切です。
体温を下げる為には血液を体表面に集める必要がある
体温を下げる一番シンプルな方法が体温の放射です。
スマホを使いすぎると表面が熱くなるのと同じで、身体の外に熱を逃がすために身体の表面に熱を集中させた方が効率的に熱の放熱が出来ます。
その為に胃腸などの内臓や脳へ送られる血液量を減らして、放熱の為に皮膚表面へ血液を集中させます。
暑くなるとだるくなったり、食欲がなくなる、意欲がなくなるなどは、体表面へ血液が送られるため、胃腸や筋肉、脳への血流が制限されるために起こります。
血管が拡張すると循環に必要な血液量が増加する
血管は筋肉で出来た管です。
体温はほとんど血液が保持している熱なので、身体の外に熱を逃がすために身体の表面に熱を集める為には皮膚表面の血管を拡げてたくさんの血液が集まるような状態にする必要があります。
血管が拡張することで皮膚表面により多くの血液を集めることが出来るのですが、血管が拡張しても体全体の血液の量がすぐに補充されるわけではない為、前述した通り他の臓器へ送られる血液量が節約されます。
体温を下げる為に皮膚表面に血液が集中する為、結果的に体の他の臓器へ酸素や栄養を送る為に必要な血液量が不足します。
それを補うために、身体は心拍出量と心拍数を増やして血液の循環を速めることで血液量の不足分を補おうとします。
発汗で血液量が減少する
更に効率的に体温を下げる為に、人間には発汗というシステムがあり、全身から汗を出しますが、汗の原料は血液中の水分です。
血液は大きく血漿(55%)と血球(45%)に分かれますが、血漿の約91%は水です。つまり、血液の約50%は水ということになります。
発汗によって血液中の水分が失われると直接血液量が減少します。発汗した分と同量以上の水分とミネラル(塩)が補充されていないと、血液量がどんどん不足していくことになります。
血管拡張と発汗で不足した血液量分を心拍出量と心拍数を上げて対処する
血液量が減ると血圧を維持していくために、心臓から送り出す血液量を増やす必要に迫られます。
心臓そのものの収縮・拡張をより大きくして1回の心臓の拍動で送り出せる血液量を増やす(心拍出量)だけでなく、心拍数を上げてより多くの血液を全身に送り出すことで、不足した血液量分の血液を全身に届けようとします。
簡単に言うと、運動している時と似たような状態になります。
しかし、運動しているわけではないので、心臓の拍動が大きくなり、心拍数が増えるので心臓の拍動を自覚しやすくなります。
これを動悸として感じることになるのです。
暑さによる動悸の予防法
暑さによる動悸は不快なものですが、まずは熱中症になりかけていないか?といった観点を優先的に確認する必要があります。
予防は熱中症と基本的には同じで血液量を保持するために、塩と水分補給を十分に行う。
体温が上がりすぎて一生懸命体温を下げようとしている状態ですので、涼しい場所へ移動して体温を下げるなどが基本となります。
お勧めの体温の下げ方
当院でお勧めしている体温の下げ方は、冷房の部屋にいるのではなく水シャワーを浴びることです。
水は空気よりも熱伝導率が高いため、約25倍速く体温を奪います。その為、冷房の効いた部屋に長時間いるよりも効率的に体温を下げることが出来ます。
原理的に言えば20度の部屋に25分いるのと20度の水に1分浴びと熱伝導率で言えば同じ効果を得ることが出来ます。
また、水シャワーを浴びると皮膚表面血管が一度、冷刺激により収縮します。皮膚表面の血管が収縮することで、体温の放熱の為に制限されていた脳や内臓への血液量が増加する為、他の臓器の機能が回復します。
長時間水を浴びていると今度は冷えすぎてしまいますので、注意が必要です。
冷たいものを食べて体温を下げない
冷たい飲み物、アイス、かき氷など、冷たい食べ物で体温を下げようとするのはなるべく控えましょう。
胃腸は冷えに非常に弱い臓器の為、冷たいものによって胃腸の血管が収縮してしまいます。
そのうえ、体温を下げる為に血液が皮膚表面に集まってしまっている為、胃腸が冷えて動けなくなっても温めることが出来ないのです。
どうしても冷たいものが食べたい場合は、暖かい飲み物と一緒にとるようにしてください。
日頃から運動して心肺機能と体温調節機能を高める
動悸の予防に一番効果的なのは、普段から有酸素運動をして心拍数を上げて下げる。運動により体温を上げて下げる身体の機能を十分に使用しておくことです。
人間の身体の機能は使うことで維持され、使わないことで失われていきます。(医学の世界にはUse it ,or lose it.という言葉があります。)
運動によって心肺機能を高い状態にし、体温調整機能も普段から使っていると水分補給は必要ですが、肉体的には動悸は起こしにくくなります。
今まで、運動していなかった方が暑さで動悸が出始めたのを機に真夏から運動を始めてしまうと熱中症のリスクの方が高くなってしまうので、1年ぐらいかけて身体の機能を取り戻すつもりで涼しくなる秋ぐらいから運動を始めてみることをお勧めします。
暑さから動悸を感じるメカニズムを理解して、必要以上に不安にならない
動悸は命に直結する心臓に関わる問題なので、不安になる方は多いです。
一度、循環器内科を受診して一通りの検査を受けた上であれば大丈夫なので、動悸を感じた場合にはまずは一通りの検査を受けて頂いて、問題がないことを確認することから始めましょう。
暑さで寝苦しくて眠れていないなど、自律神経の乱れが根本にある場合は自律神経に対するアプローチが必要になりますが、暑いと動悸が起こるのは生理学的にも正常な反応なので必要以上に不安になる必要はあります。
この記事でご紹介した内容を理解し、水分補給、体温を下げる、心臓と肺を鍛えるといったことを実践していきましょう。
まとめ
暑さによって動悸を感じやすくなる理由は、体温を下げる為に血液量が低下してしまい心拍数や心拍出量を多くすることで暑い環境に適応するための正常な反応です。
熱中症により近い状態でもあるので、水分補給をしっかりと行うことと、適切な方法で体温を下げることが重要です。
また、日頃から有酸素運動を行うことで体温調節機能や心臓や肺の機能を高めておくと、心拍数や心拍出量を多くせずともある程度の気温までは適応できるように鍛えることも可能なので、運動習慣がない方は暑さが弱くなる秋ごろから運動を開始しましょう。
動悸を感じると不安になるのは普通なので、まずは心臓に異常がないかを循環器内科で一度検査してもらいましょう。
そのうえで問題がなければ水分補給、体温を下げる、運動などを生活に取り入れていくと良いです。
自律神経の乱れから動悸が出ている場合には、適切なアプローチが必要になりますので、水分補給と体温を下げることを行っても動悸が治まらない場合には専門家に相談しましょう。
当院での改善をご検討の方は自律神経失調症をご覧ください。
遠方で来院が難しいけれど、カウンセリングを受けたいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。