暑いとパニック発作が起こりやすい?夏にパニック発作が起こりやすい理由と対処法

ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。

パニック障害の方の中には、夏場の暑さでパニック発作が頻発するようになった。暑さを感じるとパニック発作が起こるのではないか?と不安な気分になるという方が結構な頻度でいらっしゃいます。

今回はそのような暑いとなぜパニック発作が起こりやすいのか?の理由や原因。そしてその対策について一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までお読みください。

結論:暑さで呼吸が早まり、過呼吸が起こりやすくなる

初めてのパニック発作を夏の暑い時に起こしてパニック障害が発症した方の場合は、夏の暑さからパニック発作を起こした記憶を連想してしまい軽いフラッシュバックのような感じになり、パニック発作が起きるのではないか?という不安感から緊張して、パニック発作を誘発しやすくなる傾向があります。

そういった暑さによるトラウマを持たれていない方の場合でも、汗腺の働きが悪い、体温調節が苦手など、元々暑いのが苦手な方や肥満体系の方は体温の放熱が難しくなるため暑さそのものの身体ストレスや体温調節の為に呼吸が早くなります。

呼吸が早まると体内の二酸化炭素が減ってしまい呼吸過多や過呼吸(過換気症候群)になります。

この状態は細胞への酸素の供給量が低下する為、動揺しやすくなり、過呼吸まで進んだ場合には呼吸をしているのにも息苦しい、動悸、不安感、手足のしびれといったパニック発作を起こしてしまうことにつながります。

また、体温調節の際に皮膚表面の血管を広げて放熱を行いますが、その際に血圧を維持するために心拍数が上昇しやすくなります。

この心拍数の増加を動悸だと感じて不安になり、その不安感からパニック発作を起こしてしまう方もいらっしゃいます。

暑さで呼吸が早くなる理由

私達の身体は何らかの心理的・身体的ストレスが加わると呼吸が早くなるようにできています。ストレスに対抗するために交感神経を高めて闘争か逃走を行う為です。

捕食動物に出会った時に生き残る確率を高める為に獲得されたシステムがこのようなストレス反応です。

人間は汗をかいてその気化熱により体温調整する機能が高いですが、犬などの他の哺乳類と同じように生理的に体温調節の一環として呼吸も利用しています。

暑さの身体ストレスで呼吸が早くなる

私達の身体は物理的・化学的・心理社会的ストレスにさらされるとストレス反応が引き起こされて、その結果として交感神経が高まります。

暑さはこの中でも物理的ストレスを受けたことになり、その結果ストレス反応が起こり、交感神経が刺激されることで呼吸が早くなります。

呼吸が早くなると二酸化炭素が吐き出される量が増える為、過呼吸を起こしやすくなります。

体温が高くなると体温調整の為に呼吸が早くなる

犬などを観察すると暑いと「はあはあ」と息を吐きだして体内の熱を放熱して体温調整を行っていることがあります。

汗をかくという機能は人間だけが獲得した特別な体温調節の機能です。

人間の場合は進化によって汗腺を発達させたため通常の体温調節では呼吸ではなく発汗による気化熱で皮膚表面の血管から放熱することで体温を調節しています。

しかし、それだけでは放熱が不十分になってくると犬などと同じように体温を放熱する為に呼吸を早くしますが、結果的に二酸化炭素が多く吐き出され、過呼吸を引き起こしやすくなります。

暑さをきっかけにパニック発作になった記憶による心理ストレス

暑い時期にパニック発作になったなど、暑さからパニック発作が連想されるように記憶と結びついてしまっている方は、暑さがパニック発作につながるという心理的な不安感を引き起こします。

その結果、心理ストレスが加わりストレス反応が起こって交感神経が刺激されます。

その結果、呼吸が早くなって過呼吸になったり、心理ストレスから過度にパニック発作を起こさないかを警戒しすることになり、それがさらに交感神経を刺激してパニック発作を誘発してしまいやすくなってしまいます。

夏の暑さによるパニック発作を予防する対処法

暑さによるパニック発作を予防するには、エアコンや送風機付きの服などを利用して徹底的に温度管理をするという消極的な対処法が一つ。

もう一つは、暑さに適応するために積極的に暑さに身体を順応させていくよう訓練していくといった身体的・心理的に適応を促す方法の2つの方法があります。

短期的には前者の方法を使うのも問題ありませんが、長期的には後者の方法を使っていくことがお勧めです。

その理由について、それぞれのメリットとデメリットから解説させて頂きます。

暑さを避けることのメリット・デメリット

徹底的な管理を行うことが出来れば、パニック発作を起こす可能性はかなり低下させることが出来るのが暑さを避ける方法のメリットになります。

基本的に暑い時間帯には外に出ない、部屋だけでなく廊下など生活する範囲内はすべてエアコンを使用する。

ファン付きのベストを着用する、日傘を利用する、熱がこもる場所にはいかないなど、暑さを徹底的に避けてしまう方法です。

しかし、暑い場所を避けるというのはパニック障害の治療の原則である恐怖突入(不安から逃げない)に反する為、結果的に暑い場所に入ることが出来なくなるといった広場恐怖を助長する逆の認知行動療法を行っていることになります。

今日のパニック発作を避けるという目的でメインにすることは良いのですが、長期的にはパニック障害そのものは不安を感じたものから逃げる為、次にさらに不安が強くなるといった症状の悪化を増進する行動です。

また、暑さを避けている為、単純に体温調整の為の機能があまり使われなくなる(発汗や皮膚表面からの放熱)ので、身体的にも汗腺の機能が低下し、年々体温調節の機能が低下していきます。

人間の身体は使わない機能は失われていくようにできていますので、涼しい部屋でずっと過ごしていれば体温を下げる為の機能はどんどん失われていき、体温調節機能がさらに暑さに対する耐性が低下するという悪循環になります。

暑さを徹底的に避けるという方法は、治療の観点からはあまりお勧めできませんが、耐えられる暑さまで調節する、毎日パニック発作が頻発しているという状態の方が一時的に暑さストレスから退避するという意味では、効果的な方法です。

暑さに適応することのメリット・デメリット

暑さに適応する為には身体の放熱の機能を高める、皮下脂肪が多い場合は体重を適正に落とすことで放熱しやすい体にするといった身体的な暑さに対する順応を行う身体的なアプローチ。

暑さに徐々に暴露することで暑さから来る心理ストレスに対して順応するといった心理的なアプローチの二つを行う必要があります。

心理的・身体的なアプローチが必要にはなりますが、基本的には体温調節機能を取り戻すための身体的アプローチがそのまま心理的アプローチの暴露療法の役割を果たすことになります。

身体の放熱の機能を高める為に、徐々に暑さに慣らしていく必要がある為、急激に暑い場所に行くのではなく、普段過ごす部屋の温度を徐々に高めに設定して汗を流しながら生活して汗腺の働きを取り戻していく、運動することで体温を高めて放熱するという訓練を行っていきます。

夏だけでなく冬も運動をするサウナやお風呂で汗をかいて汗腺の働きを促進するなど、年間を通して何年もかけて暑さへの体温調整機能を高めていくことが必要になります。

時間はかかりますが、パニック障害の治療とも矛盾しない方法の為、より根本的な改善に近い効果が期待できる方法です。

しかし、体温を上げすぎてしまうと熱中症のリスクや実際にパニック発作を起こしてしまう可能性がある為、専門家に相談しながら体温を管理したり、呼吸数が増えていないかをチェックして安全な管理環境の中で進めていくと良いでしょう。

また、過呼吸を起こしにくいように予め体内に二酸化炭素を多く溜める呼吸法を常日頃から行っておくことで暑さに対する抵抗性を高める訓練の手助けとなります。

苦しいけど、効果絶大パニックと不安解消呼吸法
不安感やパニック発作をコントロールしたい方に当院で実際に指導している呼吸法です。この呼吸法と正しい呼吸を身につけることが出来ると、パニック障害はかなりコントロールが出来るようになっていきますので、地道に頑張っていきましょう。あきらめないことが大切です。

まとめ

暑さによって心理的・身体的ストレスを受けると交感神経が高まって呼吸が早くなり過呼吸を起こしやすくなってしまい、パニック発作を誘発します。

また、体温が上がってくると呼吸を早くすることによって体温を下げる機能も働く為、その生理学的な反応によっても過呼吸状態を引き起こしてしまいパニック発作が起こりやすくなります。

体温が上昇すると体表面の血管を広げて放熱を行いますが、その分の血圧を維持するために心拍数があがり、それを動悸と錯覚してその不安からパニック発作を引き起こしてしまう場合があります。

暑さによってパニック発作が誘発されやすくなりますが、体温調節機能を高めることと暑さに対する心理抵抗を暑さに暴露することで低減していくことが出来ます。(暴露療法)

暑さを徹底的に避けるという方法でも、パニック発作そのものは避けることが出来ますが、原理的に身体的にも心理的にもどんどん暑さに対しての抵抗がなくなっていってしまう為、発作がかなり頻発しているなど、やむを得ない場合に限って暑さを避けるという対応が望ましいです。

当院での改善をご検討の方はパニック障害全般性不安障害をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、生活習慣や改善についてや心理的アプローチ法について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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パニック障害
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