心療内科・精神科の薬が怖いから使いたくない

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

うつ病やパニック障害で来院される方の中には、心療内科や精神科で処方されるお薬を使いたくないという方も多いです。

依存性の高いお薬や急にやめることが出来ないお薬が多いため、怖いと感じるのは自然なことです。今回は心療内科・精神科のお薬が怖いけどどうしようというお悩みについて、一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までご一読ください。

結論:重症度や現在の状況、体質によって判断することが大切です。

精神科・心療内科の薬は、副作用や依存、一度開始してしまうと途中で簡単にやめることが出来ない薬も多いため、薬が怖い、出来れば使いたくないという方も多いです。

当院のような鍼灸や心理療法、生活習慣の改善をはじめとした自然療法(※)で改善したいと望まれる方の多くが、精神科・心療内科の薬が怖い、もしくは現在使用しているが今後辞めていきたいというご相談で来院されることが多いです。

鍼灸や整体業界はポジショントークとして、精神科・心療内科の薬は危ない、飲まない方が良いといったことだけをことさら強調する先生も多い業界です。

私自身は長年の臨床経験から、副作用でとても辛い目に合う方もいることを知っているので、すべての方が安全に薬物治療を行えるわけではないということには同意です。

しかし、一方で、無理に自然療法に固執したことで改善までの道のりが帰って遠のいてしまうような、薬物治療が必要な場面があるということも事実として受け止めています。

もし、あなたに薬物治療が必要な状態であるならば、知識を身につけることで少しでも安心して安心できるように、また、薬物治療を行う必要性が低く自然療法での改善はどのような場合に選択するべきかの一助に慣れれば幸いです。

※自然療法:鍼灸・整体・心理療法・運動・呼吸・生活習慣の改善・栄養療法・環境改善・ストレス管理など、薬物を用いない療法。

軽症の場合は文句なしに自然療法がお勧め

最近、寝つきが悪い気がする、時々動悸がする、不安な気分になることがある、疲れているのかな?それほど頻繁ではないけれど少しおかしいといった軽度の状態であれば、薬物治療よりも自然療法での改善を行うことがお勧めです。

軽度の場合は薬物治療で得られるメリットよりも薬の副作用のデメリットの方が大きくなってしまうことも多い為、むしろ自然療法を積極的に取り入れることが大切です。

薬物治療を行うときは、薬の副作用のデメリット差し引いても薬を使うメリットが大きい場合に選択することが大切です。

あなたの心身にかかっている負荷を減らして、休養するだけでも十分に回復する期間ですので、食事・睡眠(休息)・運動を整えて、身体的・心理的なストレスを意識的に減らすことで、症状が改善されていくことが多いです。

鍼灸や整体が必要になるのは、身体がこわばってしまってリラックスできない、身体の力が抜けず眠りが浅くなってしまっている、肩こりや腰痛、腹痛など体の痛みのストレスがかかっている時です。

軽度であれば、正しい知識に基づいて食事・睡眠(休息)・運動を整えた生活を1~2週間継続することで回復することがほとんどです。

判断が難しい時期

おかしいと感じる頻度が、増え始めた場合には中程度まで、状態が悪化してきていると考えることが出来るので、薬物療法と自然療法どちらを選択するのかをある程度考えていく時期です。

薬物療法もSSRIなどの根本原因となるセロトニンを増やすような薬を使い始めても良い時期ですが、医師によっては抗不安薬などで辛い時だけ飲んでくださいと症状を和らげるという治療が中心に行うことも多いです。

また、心療内科や精神科ではなくかかりつけの内科に不安感や不眠を相談したところ抗不安薬(睡眠薬、睡眠導入剤、入眠剤)を処方してもらい、徐々に使う日数が増えていって気が付くと抗不安薬の依存症になっているケースも多いので、処方を受けるのであれば心療内科や精神科で受けるようにしてください。

症状によるストレスが、症状を悪化させるという負のループが始まりだすタイミングの為、症状を緩和して食事・睡眠(休息)・運動を整えた生活をすることですれすれ、自分の身体の機能の回復力だけで回復が可能な状態でもあります。

症状を緩和する方法として、薬物療法を行うのか、鍼灸や整体を行うのかといった自然療法を選択をするといった具合です。

また、重度の方がSSRIなどの薬物療法で中程度まで症状が改善したけれど、それ以上なかなか改善が進まない場合に、鍼灸や整体をはじめとした自然療法と組み合わせることで軽度まで改善を進めることが出来る場合があります。

重症の場合は基本的には薬の利用を検討しましょう

重度のうつ病、パニック障害である場合には、薬物による治療が必要な事が少なくありません。

これは、私達の身体に元々備わっている心身を回復させる仕組みをうまく利用するだけでは改善が難しいレベルまで病状が進んでいると原理的に自然療法だけでは対応しきれないからです。

特に食事・睡眠を思うようにとることが出来なくなり、常にソワソワしていたり、頭の中に不安なことやありえない妄想がぐるぐる回ってしまい思考が止まらない、生活を送ることに困難が生じてきてしまっている場合には薬物治療で強制的に脳の活動を抑えて休ませることが必要になってきます。

薬物療法により食事や睡眠が薬の力を借りた状態であっても出来るようになってくれば、症状が少しずつ緩和されてきますので、自然療法が効果を発揮しやすくなってきます。

例えば、うつ病の症状で運動する気力もなく、食事もまともに摂れないという状況では、薬物療法で一定のレベルまで症状を改善すれば、自然療法を行う余裕を作ることが可能となります。

しかし、うつ病やパニック障害の原因と考えられているセロトニンを増やす作用のあるSSRIやSNRIは人によっては強い副作用が出る場合があり、投薬を開始た場合には症状が改善されてきても半年から1年程度は飲み続けることが必要になる為、重症化させないことが一番大切です。

重症の場合には自然療法は補助的な役割の方が向いていますので、併用するのはよいですが、自然療法単独で改善を目指すことはお勧めできません。

ストレスがかかった状態の場合はストレス原因を取り除く努力をせずに医学の力で何とかしようとしない。

あなたが強いストレスを現在も受け続けている場合には、まずはストレス原因を取り除くことが大切です。

ストレスがかかっている現在の状態はそのままにして、体調だけ回復したいというお気持ちはわかるのですが、「足の骨が折れている状態のまま、走れるようにだけして欲しい」といっているのとほぼ同じ意味です。

薬物療法であれば強制的に神経系の化学反応に介入することになりますので、そういったことが可能といえば可能です。

骨折の例でいえば「足が折れたままモルヒネなどの強力な痛み止めを使って、折れている箇所を多少固定すれば一応走ることは可能」かもしれませんが、この状態を続けるのはお勧めできません。

やはり、足に負担をかけるというストレスを取り除き、固定して、骨がくっつくまでは休養することが必要になります。

このまま使い続けてしまうと、偽関節といってしばらくしてから固定して、安静にしていても骨がくっつかなくなってしまうことがあります。

これは心療内科・精神科疾患にも言えることで、本来は休息が必要な神経を無理やり動かしたり、無理やり鎮静化させることになるので、神経細胞自体が死滅したり、シナプスが破壊されてその後いくら休養をとっても回復までに何十年もかかってしまうことがあります。

現在あなたにかかっているストレスが、〇日後には解決できるというめどが立っていれば、薬物療法で一時的に症状をごまかすという方法もありです。

しかし、私が動けなくなったら家族が困るなど、休めない、ストレス原因はそのままで薬で症状をごまかしながら生活されていくと、いわゆる薬漬けになるということにつながってきてしまいます。

精神科・心療内科のお薬は、薬で症状を抑えることで、ストレス原因を取り除く行動や判断、捉え方の整理を行い、生活習慣を整え、十分な休息をとる為の補助的な道具です。

今の生活を維持するために症状をごまかすために使用するものではありません。

精神科・心療内科のお薬はやめられなくなるから怖いというイメージを持たれる原因は、薬に過敏で強い副作用に苦しむことになってしまう方が一定数いらっしゃること以外にも、間違った使い方をした方が、薬漬けになってしまっているという側面もあります。

自然療法と薬物療法は助け合う関係にある

心療内科・精神科の医師もわかってはいますが、忙しすぎて根本原因に対する自然療法を行うことが出来ないのが現在の日本の状態です。

うつ病やパニック障害は環境要因がとても大きい疾患です。

鍼灸や整体で体にアプローチする必要がある場合もありますが、心理療法でとらえ方の癖を修正したり、あなたが不快にならない環境(匂いや音)を整え、あなたが現在持たれている人間関係を見直すといった薬物療法以外の自然療法が必要になります。

すごく簡単に言えば、毎日それなりに楽しいことと少しの嫌な事がありながら、朝起きて昼間身体を適度に動かし、ご飯を食べて、夜眠る生活をしながら、不快にならない環境で自分が周囲の人から受け入れられていると感じながら生活していれば、元々重症になることが非常に少ない疾患です。

しかし、現代の社会は嫌なことが多く、昼夜が逆転したような生活、座っていることが多く慢性的な運動不足、偏った食事、周囲の人との絆を感じにくい社会になっていることから、心療内科・精神科疾患が発生しやすい下地が出来上がっています。

自然療法と薬物療法は対立するものではなく、お互いに補完しあう関係です。

薬物に敏感に反応してしまって体に合わない方は基本的には自然療法のみで対処する必要がありますが、必要以上におびえる必要がないのも事実です。

しかし、基本的には薬物療法が必要になるほど重症化させないことが大切です。ひどくなってから対処するのではなく、日ごろの予防、少しの異変にすぐに対処することが大切です。

予防に勝る治療はありません。

 

まとめ

心療内科や精神科の薬が怖いと感じているのはあなただけではありません。

事実、副作用が強く出る方もいますし、依存性が高い薬、一度飲み始めると長期間服薬し続けていきなりやめることが出来なくなる薬も多いです。

あなたの病状の重症度、ストレスのレベル、生活習慣の改善能力などにより、自然療法や薬物治療の使い方を考えていくことが大切です。

基本的には予防が一番大切ですが、初期であれば自然療法のみで改善可能なことがほとんどです。重症化してしまった場合には、無理に自然療法のみに固執するとかえって長引かせてしまうことがあるので、薬物療法をむやみに恐れる必要はありません。

自然療法と薬物療法はお互い助け合う関係ですので、どちらかがすぐれているとか劣っているというものではありませんが、心療内科・精神科の疾患は心理療法などの自然療法と組み合わせることは必要になってきます。

当院での改善をご検討の方はうつ病パニック障害をご覧ください。

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