人前(外食)での食事が喉が詰まって食べられない~会食恐怖症~

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

家では普通にご飯が食べられるけれど、外食をしようとするとざわざわしてきたり、喉が詰まった感じになって食事が喉を通らなくなることで、外食(会食)が出来なかったり、外食そのものが怖くて避けてしまうお悩み相談を受けることがあります。

今回はそんな会食恐怖症について一緒に考えていきたいと思います。ぜひ最後までご一読ください。

 結論:脳の機能改善と正しい心理療法で改善

会食恐怖症は社交不安障害の一種とされていますが、外食や他の人と一緒にご飯を食べる、人が多いところでの食事になると、不安感が出てきて避けたくなる(実際に避ける)ことで、食事の制限を受けてしまったり、人付き合いに支障が出てきてしまう疾患です。

予期不安がメインで行ってしまえば大丈夫という方であれば、避けずに食事に行くということを続けているだけで良くなってきます。

しかし、外食に行っても不安感やのどに詰まり感が出て喉が詰まって注文した食べ物をほとんど食べられずに残して帰る。

結局家に帰ってから食事を食べることになる、無理して食べると嘔吐してしまうのではないかと不安で口に運ぶことが出来ないといったお悩みが多いです。

嘔吐しそうで怖い場合は嘔吐恐怖症も合わさったような症状ですが、いずれにしても外食が制限されて日常生活に支障が出てきてしまいます。

改善には脳の機能を取り戻すことと、心理療法を行うことで神経の再学習を行い外食が行えるようにサポートしていきます。

頭では緊張する必要がないとわかっている

会食恐怖症は頭の中ではこんなに緊張する必要はないということが、わかっている方がほとんどです。

しかし、いざ外食に行こうとすると不安感がわいてきたり、緊張してきたり、実際にお店の中に入ってからも喉が詰まる感じやザワザワしてしまって十分食べることが出来ないとのことで悩まれる方が多いです。

頭でわかっていても身体が勝手に反応してしまうことに問題があります。

これは脳内で危険を感じる扁桃体と呼ばれるアーモンドのような形をした危険を察知するところが過敏に興奮してしまいやすい状態になっていることが原因だと考えられています。

扁桃体

扁桃体

扁桃体が興奮してしまうと交感神経が刺激され、その結果として喉のつまり感を感じたり、胃腸への血流が下がって食欲の低下、すぐにお腹いっぱいになり入らない、吐き気などの症状が出てきます。

扁桃体が過敏な状態から適度に反応するように改善することが会食恐怖症改善のカギになります。

会食恐怖症を改善する方法

会食恐怖症を改善するには、扁桃体の過敏な状態を改善していくことが重要です。

その為、脳が正常に機能できる条件を整えるという身体的なアプローチと、扁桃体が適切に反応するように心理療法を行いながら神経の再学習を行う2つのアプローチが必要になります。

身体的なアプローチ方法

私達は外界から入ってきた情報を五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)を通して情報を脳内で処理し、緊張したり、リラックスしたりといった反応をするようにできています。

しかし、この情報処理に誤りがあると安全なのに緊張してしまうといった誤った反応が発生してきます。

情報処理を行っているのは脳の神経細胞ですから、神経細胞の働きが低下すると情報処理に誤りが生じます。

例えば、首肩こりがひどくなることで脳への血流を送る血管が圧迫を受けて脳へ十分な栄養が運ばれなくなると脳は誤作動を起こしやすくなります。

このような場合には鍼灸・整体を行うなど首肩こりを改善して脳への血流を改善する必要があります。

また、首肩こりはあまりひどくない場合でも、食事が不適切で脳が必要とする栄養素が摂取できていない場合や睡眠不足なども神経細胞の働きを低下させます。

まずは、脳の神経細胞が正常に働ける条件(身体的な不具合の改善、生活習慣の改善)を整えることが重要になります。

この条件が揃わない状態で神経の再学習を行う心理療法を行っても、神経細胞の機能が低下している為あまり効果を発揮することが出来ません。

まずは基本的な身体や生活習慣の見直しが大切になります。

扁桃体が適切に反応するよう神経の再学習を行う

扁桃体が過敏に反応することで会食(外食)時に不安や恐怖を感じたり、交感神経が急に高まって喉が詰まるなどの症状が出てきます。

その為、扁桃体がどのような条件のときに興奮するのか?(緊張してきてしまうのか)の条件を調べていくことが大切になります。

例えば、レストランなどは緊張するけれど、オープンテラスのカフェであれば大丈夫など、人によって緊張状態(不安になったり、喉が詰まる)になってくる条件が異なります。

その条件を整理していくことで何に反応しているのか?といった自己理解をしていくことがファーストステップです。

日や時間帯によって大丈夫な場合には、主な原因が神経の不調の日に発生するということなので、身体的なアプローチの方をより重点的に改善することが大切になってきます。

ある程度、発動条件がわかったら、心理療法を行うことで発動条件が揃っても反応しないように心理療法を用いた神経の再学習を行っていきます。

代表的なものは暴露療法になりますが、状態によっては認知行動療法や逆説思考、バイオフィードバック法などを組み合わせながら、段階的に会食に対して扁桃体が過敏に反応しないように再学習を行っていきます。

神経の再学習が進むにしたがって、食べられる量が少し増えたり、家族や親友など安心できる人と一緒であれば普通に食事が楽しめるようになるなど、わずかずつ改善がみられるようになってきます。

段階的に行っていくことが大切で、改善が進みそのたびに少しずつ適切な強度へと挑戦するレベルを上げていきます。

改善で一番厄介なのは、過去にトラウマ体験をしている場合です。

食べられない量を無理やり食べるように強要されたり、食事時間が苦痛と感じるような体験をしながら育ってきた、食事中に嘔吐してしまい周囲の人にジロジロ見られたなど、トラウマ体験により、「食事=危険な事」という刷り込みがなされてしまっている場合があります。

そういった場合には、過去のトラウマ体験と向き合って解消しない限り改善が難しいケースがあります。

この辺りが自分一人では客観的に何をどのペースで行っていけばいいのかの判断が付きにくいところがある為、専門家の力を借りることが大切になってきます。

まとめ

・人前での食事が怖い、喉が詰まって食べ物が通らなくなってしまう会食恐怖症という疾患があり、社交不安障害の一種と考えられている。

・会食恐怖症の原因は扁桃体が過敏に反応してしまうことが原因だと考えられている。

・改善には脳の機能を正常に行う身体的アプローチと心理的アプローチがある。

・鍼灸・整体を組み合わせたり、生活習慣を見直して身体的な条件を整えることも重要。

・どういう場面で会食恐怖症場が出るのかを分析し、心理療法を行っていく。

・基本は暴露療法だが専門家のアドバイスを受けながら進めていくことが大切。

・食事に関するトラウマ体験がある場合には改善に手間がかかる。

当院での改善を希望される方は、社交不安障害をご覧ください。

当院への来院が難しく、他の人に知られたくもない。改善の為のアドバイスを受けたり、相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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