病院行っても異常なし。ストレスで咳が止まらない自律神経の咳(心因性咳嗽)

ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。

強いストレスを受けたり、長い間ストレスを受けていると呼吸器に異常がなくても咳が止まらなくなってしまうことがあります。

多くはストレスを取り除くことで自然に回復していきますが、ひどくなると免疫系にまで異常が出て喘息の原因になる場合もあります。専門的には心因性咳嗽(しんいんせいがいそう。注:必ずしも心の問題ではありません)と呼ばれています。

今回はストレスで咳が止まらなくなる、自律神経の咳について一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までお読みください。

結論:ストレスを取り除いた後に呼吸筋を緩めて、喉を休ませることが大切

咳は喉に異物が入った際に喉や気管支にある咳受容体が異物を感知して脳幹(自律神経の中枢)にある咳中枢に情報を伝えることで、咳中枢から横隔膜や肋間筋といった呼吸筋に命令がでて咳をして異物を排出しようとする反射です。

食べ物や飲み物、唾などが喉や気管支に入ってしまった際や、喘息、風邪などで喉に炎症が起きたり、気管支が狭くなることで咳受容体が刺激されて咳が出てくるというのが咳が出る一般的なメカニズムです。

通常であれば喉や気管支にある咳受容体が刺激をされることで咳反射が誘発されますが、ストレスが加わることで自律神経に悪影響が及び、咳中枢が誤作動を起こして咳が出てきてしまう場合があります。

また、自律神経の乱れから気管支や喉の収縮拡張を制御している平滑筋が締まってしまい喉に異物感や違和感が出て、咳が出るなどの症状が出る場合があります。

呼吸器内科で調べても喉や気管支に炎症がみられないことがあり、原因がわからない為、ストレス性の咳とされてしまうことが多いです。

喘息が認められる場合には気管支拡張剤やステロイドが使用されますが、ストレス性の場合には薬が効きずらいことがあり、治療しているのに症状が改善してこない場合もあります。

改善の基本はストレス原因を取り除いて休むことですが、咳を繰り返しているとどうしても呼吸筋に負担がかかる為、上半身がこり固まってしまいそれがより交感神経を刺激して生物的ストレスを引き起こしてしまう場合がある為、呼吸筋を緩める処置も併せて行うことが大切になります。

ストレス反応で咳が出る原因

ストレスを受けてストレス反応が起こると、ストレス反応に対する身体の反応の仕方の違いによって大きく以下の3つの咳が誘発されます。

  1. 咳中枢の誤作動による咳
  2. 喉や気管支の平滑筋の収縮による咳
  3. 免疫系の異常による喘息よる咳

対処として共通しているのはストレスを取り除くことですが、それぞれ発生メカニズムの違いにより若干対処法が異なる点もあるので、一つずつメカニズムと対処法について考えていきましょう。

咳中枢の誤作動

ストレス反応が起こった結果、咳中枢が刺激されて咳が起こります。

職場に行くと咳が出易かったり、家事に追われている家にいると咳が出易かったりなどストレス反応が引き起こされる場所で頻繁に咳が出ます。

上司が嫌い、家のことを自分ばかりがやっているなど、ストレス要因を分解していって取り除いたり、認知行動療法を行うことでとらえ方を変えてストレス反応が起こりにくいようにアプローチして改善する場合もあります。

少し特殊ですが、同じメカニズムで過去の養育環境のカウンセリングを行っている最中に抑圧されている過去の使った体験や感情について触れた瞬間に、突然咳き込み始めてしばらく話が出来なくなるなど、自律神経を介して咳中枢が誤作動を起こす反応は瞬時に反応します。

原則はストレス原因を取り除くことです。咳中枢の反応が止まれば為、自然に咳が改善されていきます。

咳中枢は首のすぐ上にある為、首こりがひどい場合には咳中枢の誤作動をやめさせるために首と頭の付け根のあたりの筋肉が緩んでいることが重要です。

また、ストレスを感じる必要がない事でも敏感にストレスとして感じてしまっている場合には、前頭葉という脳の前の部分への血流を戻すために首の前側の筋肉を緩めておくことも有効です。

喉や気管支の平滑筋の収縮

ストレス反応により、交感神経と副交感神経のバランスが乱れると喉や気管支を支配している自律神経系に悪影響が及び、喉や気管支の平滑筋が収縮してしまうことが刺激になって咳が出続ける場合があります。

喉の異物感(梅核気)や声がかすれる、失声症などストレス反応の結果出てくる喉のトラブルと基本的なメカニズムは同じです。

喉の平滑筋を緩めてあげることで多少症状が緩和されますが、こちらもストレス原因を取り除いて喉や気管支を支配している自律神経の機能が正常に戻れば咳は収まってきます。

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免疫系の異常による喘息

マルトリートメント(不適切な養育)を受けられた方に多いですが、自律神経の乱れから免疫細胞が暴走をしてしまい、気管支を攻撃して炎症を起こしてしまった際に喘息を引き起こして咳が出る場合があります。

夜に症状が悪化する為、喘息症状ではありますが一酸化窒素の数値がそこまで悪くなかったり、ステロイドや気管支拡張剤が効かない方もいて心理療法を行ってストレス反応を改善していく必要があります。

マルトリートメントによって受けた心の傷にアプローチすることが多いため、改善難易度が高めの咳になります。

呼吸筋を緩めることが必要

咳を何度もしていると横隔膜や肋間筋、胸鎖乳突筋などの呼吸筋が咳のし過ぎにより過緊張状態になり易くなります。

筋肉がこり固まることで油をさしていない自転車のペダルが重くなってしまうように、呼吸をするにもより多くの力が必要になってしまいます。

また、筋肉がこり固まると筋肉についている筋紡錘という筋肉の緊張度合いを脳に伝えるセンサーが働いて、身体が緊張状態にあることを脳に伝えます。

その情報を受け取った脳は交感神経を興奮させます。その結果、リラックスして自律神経を回復させて咳中枢の誤作動を正常に戻すということが出来なくなってしまいます。

整体やはりなど、深部の呼吸筋まで緩めることが出来るアプローチ法であれば方法は何でもいので、呼吸筋を緩めて全身の筋緊張を緩めることが必要になります。

我慢できる咳は我慢して十分な休息をとる

なかなか治らない咳全般に言えることですが、喉に違和感を感じても咳き込むことで喉や気管支が刺激されてしまい、なかなか咳が治まってこないことが多いです。

また、呼吸筋を整体やはりで緩めても何度も咳をしていると再びこり固まってきてしまいます。咳をゼロになるように我慢する必要はありませんが、癖づいてきて何となく咳をするのをやめていくことが大切です。

ストレス原因を取り除いてからは、ゆっくりとした鼻呼吸をして喉や気管支への刺激を最小限にした休息が必要です。

https://shin2do.com/2020/08/27/%e8%87%aa%e5%be%8b%e7%a5%9e%e7%b5%8c%e3%82%92%e6%95%b4%e3%81%88%e3%82%8b%e6%ad%a3%e3%81%97%e3%81%84%e5%91%bc%e5%90%b8%e3%81%a8%e3%81%af%ef%bc%9f/
しゃべりすぎも喉には負担になる為、咳が治まるまでは話をするのは控えめにしましょう。

仕事上どうしても声を出さなくてはいけない場合には、思い切って休職したり、声を出さなくても良い仕事に切り替えてもらうなどの対処も検討しましょう。

ストレス原因が取り除かれ、十分な睡眠と運動を行っていれば徐々に咳は収まっていきます。

まとめ

呼吸器に異常がなくてもストレスから呼吸器に異常が出る心因性咳嗽という状態があります。

ほとんどの場合はストレス原因を取り除き、咳を繰り返していたことで緊張してしまった呼吸筋を緩めたうえで、喉を休ませることが出来れば改善していきます。

ストレスが原因の咳は、咳中枢の誤作動、喉や気管支の平滑筋の収縮、免疫異常による喘息などが引き起こされて出てくることがあります。

共通してストレス原因を取り除くことが大切ですが、対処方法が異なる場合があるので、原因によって多少アプローチ方法を変えていく必要があります。

咳が頻発していると呼吸筋がこり固まってしまい、それにより交感神経が高まって、さらに自律神経の働きが悪くなるという悪循環を起こしやすくなります。

その為、ストレスに対するアプローチと並行して横隔膜、肋間筋、胸鎖乳突筋などの呼吸筋を整体やはりで緩めることが大切です。

そのうえで適切な休養を取っていくと自律神経の咳は改善していきやすくなります。

当院での改善をご検討の方は自律神経失調症をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、カウンセリングを受けたいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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自律神経失調症
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