パニック障害の彼女(彼氏)が頼ってくれない

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

付き合う前にパニック障害であることを彼女(彼氏)から打ち明けられ、それも受け入れて付き合い始め、「手助けできることがあったら言ってね」と伝えているが、病気について詳しく話すこともないし、病気の辛さも話さないし、頼られることがほとんどない。私は信頼されていないのかな?といったご相談を受けることがあります。

今回はパニック障害のある彼女(彼氏)との距離が遠いと感じることについて、一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までご一読ください。

結論:彼女(彼氏)さん自身が病気についての知識や性格特性の理解ができていないかも?

パニック障害そのものは病気の辛さを人に伝えることが出来ない、人を信頼できなくなるといった疾患ではありません。

しかし、パニック障害という精神疾患であることが、普通の人ではない・心の弱い人・簡単な○○もできないダメな人などといった間違った認識を本人がしていたり、私以外の人がそのように考えていると思っている為、それが恥ずかしいことで知られたくないといった感覚から、話すことが出来ない場合があります。

また、パニック障害になり易い人は完璧主義である、感受性が高い、周囲に配慮をして気を回せる、不安や緊張が元々でやすい、繊細である、こだわりが強いなどの性格特性があるといわれています。

このような性格特性を持っていると、ストレスを感じる機会が多いため、ストレスが過剰にかかってパニック障害になりやすくなります。

あなたが信頼されていないと感じたり、距離が遠いと感じる理由は周囲に配慮をして気を回せるという性格特性から、彼女(彼氏)があなたに迷惑をかけないようにと配慮している結果の可能性もあります。

パニック障害を正しく認識できていない

一般の方でパニック障害といわれてパッとどういう疾患なのかを思い浮かべることが出来る人はほとんどいないと思います。

パニック障害になった本人もそれは同じで、経験としてどういう症状に悩まされているのか?はわかっていても、医学的にどのような理由で発生していて、どういう治療が必要なのか?をしっかりと理解できている方は少ないです。

だからこそ私達のような専門家がいるわけですが、心療内科や精神科では薬の処方がメインで病気についてそこまで詳しく説明を受けられるわけではありません。

その為、インターネット上のあっているのか間違っているのかよくわからない情報を自分なりに調べて間違った理解をされている場合があります。

その為、具体的に自分の身体に何が起こっているのか?といった病気そのものについて十分理解できていないことが多いです。

その結果、なんとなく普通の人ではない・心の弱い人・簡単な○○もできないダメな人といったセルフイメージを持ってしまっていたり、周りの人はそう考えるに違いないと認識していて、他の人にパニック障害であることを話せなくなっている方もいます。

本来は医療機関で十分な説明を受けられることが必要なのですが、一人の医師で多数の患者さんを捌かなくてはいけない現状では、十分な説明を受けられず間違った認識をしていることも少なくありません。

正しい知識を身につけることが大切になるのですが、理解を手助けする専門家を見つけて専門家からご本人がなぜそのような状態になっているのか?パニック障害について正しい知識の説明を受けることが重要になります。

性格特性を改善した方がいいけれど・・・

正しく病気は認識していても、性格特性から気を使いすぎて迷惑になりそうなことをすべて避けてしまうとあなたからは頼ってもらえない、信頼してもらえていないと感じやすい状態になります。

周囲に配慮をして気を回せるというのは、一見すると良いことのように感じますが、見方を変えると他人に迷惑をかけないように、他人を頼らない、困り事や辛いことも一人で抱え込んで我慢するといった対処をしやすい性格とも言えます。

このような性格特性を持っていると、一人で何でもこなそうとして仕事を抱えやすい、悩み事を一人で抱えやすいといったことにつながり、結果としてストレス過多になりパニック障害になりやすくなります。

投薬のみの治療を受けられている場合は、こういった性格特性に対するアプローチが行われない為、ストレス過多になり易い状態が維持され薬である程度体調は良くなるものの、パニック障害の原因となっているストレスが取り除かれていない為、何年もパニック障害が継続している状態に陥りやすくなります。

本来はストレス過多になりにくくなるように性格特性に対してのアプローチが必要になりますが、保険診療で行える領域を超えていて、そのことを知らされていなかったり、カウンセリングなどには抵抗があって心理療法を受けていないこともあります。

あなたが思っているよりも信頼してくれているかも?

あなたはパートナーにもっと頼って欲しい、困っていることがあれば言って欲しいと思っていると思います。

しかし、パニック障害のことを打ち明けたこと自体があなたのことをある程度、信頼している証拠でもあります。

元々、他人を信頼することが苦手で、パニック障害のことを打ち明けたら嫌われるかもしれないにもかかわらず、あなたにパニック障害のことを打ち明けたわけですから、あなたが感じているほど信頼されていないわけではありません。

信頼している相手に対して、どこまで自己開示できるのかは、彼女(彼氏)の自己開示能力の問題で、あなたがどれだけ信頼できる人かとはあまり関係がありません

その為、あなたがどれだけ愛情深く、どれだけ相手のことを受容できる人であったとしても、あなたが求めるほどあなたに頼ってくることはありません

迷惑になること=自分がダメな人間

このような歪んだ認知を持っている方も多いからです。あなたに迷惑をかけてしまうと自分がよりダメな人間であると強く感じてしまう、頼ることは悪い事だと信じて疑わない状態の方は少なくありません。

頼ってもらう為には?

それでも好きで付き合い始めたわけですから、彼女(彼氏)に頼ってもらいたいという気持ちはよくわかります。

しかし、残念ながら本人が性格特性の改善に積極的にならない場合には周囲の人に出来ることはありません。

単純に心理療法があるということを知らないだけであれば情報を伝えてあげることはよいと思います。

しかし、知っているうえでそういった治療をしていないのであれば、心理的アプローチを嫌がっている場合もあります。

その場合、パニック障害の改善にもつながるし・・・とついつい治療を勧めたくなりますが、わかったうえで本人が決めている事なので、あまり踏み込まない方が良いです。

また、心理療法は自費になる為、経済的理由から受けられないということも考えられますが、あなたが経済的に支援すると申し出たとしても「あなたに迷惑をかけられない」と断られる可能性の方が高いかもしれません。

そういった場合に、あなたに出来ることは、今の距離感のままずっと一緒にいてあげることです。

いつの日か、性格特性を治そうという意思を持つかもしれないですし、一生持つことがないかもしれません。

もしかすると、ご両親の年齢が上がってくるにしたがって家族にすら頼ることが出来なくなることで、徐々に彼女(彼氏)の方からわずかずつあなたを頼ってくるようになるかもしれません。

少なくとも今は、現状のあなたとの距離感が彼女(彼氏)にとっては一番心地が良い距離感である場合にはその状態を保ってあげて下さい。

恋人関係はお互いに一緒にいて幸せであることです

大前提ですが彼女(彼氏)といった恋人関係は、心が落ち着く、楽しい、幸せであると、お互いが感じるからこそ一緒にいられる関係性です。

ですから、彼女(彼氏)があなたを頼ってこなかったとしても、お互いにとって心が落ち着く、楽しい、幸せという状態であれば無理に修正する必要性はありません。

しかし、人間関係の絆はお互いにある程度の迷惑をかけあうことで深まってくる性質のものなので、あなたがもっと親密な心のつながりを持ちたいとしても、ドライな関係性にとどまるかと思います。

そのドライな関係性であってもあなたも心地よければ彼女(彼氏)との関係を続けていけばよいですし、そうでなければ関係性を見直すことも大切です。

人間関係全般に言えることですが、パニック障害を持っているからといって、あなただけが我慢して一方的に支えるという関係性は長続きしません。

パニック障害を持っている、いないの違いは、苦手な場所があるのでそこは避けてあげる、時々体調不良で動けなくなることがあるだけなので、パニック障害を持っているからと他にも特別に色々と気を使いすぎる必要性はありません。

パートナーシップの基本は対等な関係性です。

ナイチンゲール効果・症候群には注意

看護者から患者に対する、恋愛感情の錯覚のことをナイチンゲール効果(症候群)といいます。

基本的には医療関係者が患者さんに献身的な看護をしているうちに恋愛的な感情によるものだと”錯覚”している状態をいいます。

しかし、医療関係者以外にも、最初は友達状態からスタートし、友達として病気の彼女(彼氏)を支えているうちにナイチンゲール効果・症候群によって恋愛感情を錯覚して付き合い始めてしまう場合があります。

ナイチンゲール効果は支えるなどの献身によって発生する感情の為、彼女(彼氏)が元気になって支える必要がなくなると恋愛感情(錯覚)もなくなっていくことになります。

逆に言えば、二人の関係性を維持していくためには、彼女(彼氏)の病気が維持され続ける必要があります。

ここに共依存的な人間関係を構築してしまいやすい特性が加わると、彼女(彼氏)は病気が治るとあなたを失うので治したくない。(疾病利得)

または、あなたが自分しか彼女(彼氏)を支えられない、彼女(彼氏)をそばに置いておくために彼女(彼氏)がある程度良くなってくると邪魔するといった行動に無意識に出てしまうこともあります。

交際していれば、多少の価値観の違いから喧嘩になることはありますが、健全な人間関係は一緒にいて辛くなることはありません。

まとめ

・パニック障害について正しく理解していないことで、間違った認識をしている可能性がある。

・頼ってくれないのはパニック障害のせいではなく元々の性格特性による影響の可能性がある。

・性格特性の改善は投薬ではよくならない為、心理療法が必要なことが多い。

・彼女(彼氏)なりに十分あなたのことは信頼している。

・心理療法を拒否しているのであれば無理に勧めずに今の距離感を保ってあげる。

・今の関係性が対等でお互いに心地よいものかどうかを振り返ってみましょう。

・ナイチンゲール症候群や共依存には注意が必要。

当院での改善をご検討の方はパニック障害をご覧ください。

パートナーがパニック障害でどのように接していけばよいのかわからず相談したいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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