食後に息苦しい原因と対処法

ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。

自律神経の問題を抱えていると、食後に息苦しさを感じるという方は一定数いらっしゃるいます。単純に貧血や喘息、逆流性食道炎などが関係している場合もありますが、自律神経系の問題でも食後に息苦しさを感じることも多いため、今回は単純な原因との関係も踏まえながら、食後の息苦しさについて一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までお読みください。

結論:過度に胃腸へ血流が集中してしまっている

過去記事でも紹介させて頂きましたが、食後は消化・吸収の為に胃腸へ血液を集中させる機能が私達の身体にはついています。

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私達の身体は全身の細胞が同時に全力で働くことが出来るほどの血液を元々持っていないので、時間帯や外界の状況に合わせて、どこに血液を集中させるのかを調整しています。

その調整を主に行っているのが自律神経(交感神経・副交感神経)になります。

その為、自律神経がどこに血液を集中させて、どの臓器への血液量を低下させるのかを自動で決めているのですが、消化の為に胃腸へ血液を集中させすぎてしまうと、他の臓器の血液が不足してしまうことになります。

その結果、呼吸によってガス交換(酸素を取り込み二酸化炭素を吐き出す)を行う血液が不足して二酸化炭素が十分に排出できなくなって息苦しさを感じたり、逆に食事の反応として起こる呼吸数の増加によって過呼吸(過換気症候群)を起こしてしまって息苦しさを感じてしまう場合があります。

消化・吸収が落ち着いてある程度胃腸への血流量が低下すると息苦しさは自然に改善されてきますが、自律神経が適切な血液の分配機能を果たせておらず、胃腸へ血液を集中させすぎていることもあります。

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また、貧血や喘息、逆流性食道炎、血液量不足など後述しますが、食後の息苦しさを感じる原因は多岐にわたります。

それぞれの原因の見分け方と対処法について一緒に勉強していきましょう。

食後の息苦しさを引き起こす原因と対処法

食後の息苦しさを起こす原因は考えられるだけでも多数あり、それぞれに合った対処法を行っていくことで初めて改善が可能になります。

ここでは食後の息苦しさを引き起こす原因と対処法について学んでいきましょう。

貧血による息苦しさ

普段から貧血気味の場合は食事を食べることでより多くの酸素を消費する為、貧血症状として息苦しさが出てくる場合があります。

病院の検査で貧血を指摘されている場合には、貧血の原因を突き止めて改善を行うことが大切になります。

一般的な鉄欠乏性貧血の場合は、食事の改善が基本となります。

逆流性食道炎による息苦しさ

逆流性食道炎を持たれている方の場合、炎症が気道に及ぶと食後に咳が止まらなくなったり、喉の違和感を感じる方がいます。

気道が狭くなるほどひどい気道の炎症になることはありませんが、喉の違和感から息苦しいと感じる方がいます。

この場合は逆流性食道炎の治療が必要で、対処法は以下の記事をご参考にしてください。

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喘息による息苦しさ

喘息は夜になると発作が起こりやすいのですが、これは副交感神経が気道を狭くさせるからです。

基本的にはこの原理と同じで、胃腸に食べ物が入ると副交感神経の働きが高める為、元々喘息を持たれている方の場合は、副交感神経の働きにより軽い喘息症状が出る場合があります。

軽い喘息症状により、息苦しさを感じますが消化・吸収がひと段落すると副交感神経の働きが低下してくるため、食後に一時的に息苦しさを感じるという症状が出ることがあります。

喘息が落ち着いていても、喘息が再発してきているサインのこともあるので注意が必要です。

血液量不足による息苦しさ

貧血は赤血球の不足ですが、血液の約90%は水です。

その為、水分不足になると血液量が低下してしまいます。その結果、身体で使える血液の量が減ってしまい貧血検査は正常だけれど、貧血のような症状が出る場合があります。

血圧が低くなりやすかったり、心拍数が高くなりやすくなったりします。

基本的な対策はこまめな水分補給ですが、ミネラル(塩、マグネシウム)とタンパク質不足にも注意が必要になります。

心肺機能低下による息苦しさ

長期間の運動不足は、心臓と肺の機能を低下させます。

消化・吸収には大量の酸素を使用し大量の二酸化炭素が発生します。

息苦しさは二酸化炭素の血中濃度の増加によって自覚することが多いのですが、階段を上っただけでも心拍が上がって息が上がってしまうほど心肺機能が低下している場合には、食事の酸素消費だけ発生する二酸化炭素量に耐えられず、息苦しいと感じてしまうのです。

血液のうっ血による息苦しさ

薬やお酒、サプリの過剰使用は肝臓へ血液を集めてしまいます。また、心理ストレスを受け慢性的に悩んでいる、睡眠不足など、頭の使い過ぎも頭部へ血液を集めてしまう原因になります。

このような状態の方は頭寒足熱の状態が保たれない為、足が冷えていることが多いです。

血液が肝臓や頭に集中している為、貧血や血液量不足とは異なる理由で、血球や血液量が不足して息苦しさの原因になります。

重度の場合には鍼灸や整体でうっ血を改善する必要がありますが、運動習慣、食習慣などの生活習慣を改善していくことが改善の基本になります。

過呼吸(過換気症候群)・呼吸過多状態による息苦しさ

食事を摂ると消化吸収に使用するエネルギーを作り出すために、より多くの酸素を取り込もうと呼吸数が増えます。

元々血中の二酸化炭素濃度が低い方の場合は食後に一時的に軽い過呼吸状態になっている場合があります。

また、慢性的に呼吸過多状態にある方は、血中の二酸化炭素濃度のわずかな上昇でも呼吸中枢が反応して、すぐに息苦しさを感じてしまうことになります。

日頃から二酸化炭素に慣れておく呼吸法を行っていると、過呼吸を起こしずらく、血中の二酸化炭素濃度が上昇しもすぐに息苦しくならなくなります。

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腹部の空間が狭いことによる息苦しさ

胃の中に食べ物が入ると胃が膨らみます。胃は空腹時は小さいですが、食べ物が入るとお腹の隙間や腹筋側へ膨らむ(食後にお腹が出る)ことで、胃のふくらみに適応します。

しかし、腹筋が緊張しすぎていると、お腹の隙間や腹筋側に胃が膨らむことが出来ず、横隔膜側(上方向)へ膨らもうとしてしまいます。

その結果、呼吸を行う横隔膜の動きが邪魔されて食後に息しずらいという状態が発生します。

根本改善はお腹の緊張を緩めることですが、食事を少量ずつ複数回に分けて食べることでも回避できることがります。

ガス交換が追い付かなくなったことによる息苦しさ

横隔膜の緊張や肋間筋(肋骨周辺の筋肉)緊張は肺へ空気を入れる量を制限してしまいます。また、COPD(慢性閉塞性肺疾患)でも、ガス交換の機能が低下します。

横隔膜の緊張や肋間筋の緊張が原因の場合は、動きが悪くなってしまっている筋肉を鍼灸や整体で緩める。ヨガなどで用いられる特殊な呼吸法(安易にやると肺が損傷するので注意)を行うなどで改善が可能です。

COPDの場合は専門医の治療を受けていくことが必要になります。

まとめ

食後に息苦しくなってしまう原因は自律神経系の働きが間接的にはすべて関わってきますが、多くの原因があります。

何が原因で起こっているのかをひとつづつ検証しながら、原因に合った対応を行っていくことで改善していくことになります。

COPDなど病気の進行を遅くする対応は出来ても、現代の医学では臓器移植しか根本的な改善が出来ない原因も存在する為、注意が必要です。

貧血や逆流性食道炎、喘息など他の疾患が食後の息苦しさを出していることがある為、その場合には専門医への受診が必要になります。

鍼灸や整体では血液のうっ血、腹部の空間が狭い、呼吸筋が固くなってガス交換が追い付かなくなった、過換気症候群、喘息、逆流性食道炎などに対してアプローチできる場合があります。

当院での改善をご検討の方は自律神経失調症をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、カウンセリングを受けたいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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