暖房で動悸・息苦しさが出る原因と対処法

ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。

寒いと暖房を利用する機会も増えてきますが、暖房により体調不良になってしまう方が意外と多くいらっしゃいます。

暖房に当たってすぐに動悸や息苦しさといった症状が出て、そのまま自律神経系のトラブルが継続してしまう場合があります。今回は暖房を使用して発生する動悸、息苦しさとその後に継続してしまう自律神経の乱れの原因とその対策について、一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までお読みください。

結論:寒暖差からの血管拡張が引き起こす脱水がきっかけとなり、自律神経の乱れを引き起こしやすい。

暖房を原因として体調不良が起こる暖房病は空気の乾燥(気化熱量の増加により冷えやすくなる)や寒暖差による影響により発生します。

原理的には夏の寒暖差と逆の現象が起こることから自律神経に負担がかかって体調不良が出る場合も多いのですが、特に注意したいのが寒暖差による冬の脱水です。

夏の場合は放熱にエネルギーをより多くとられたり、放熱の際に皮膚血管が拡張し尚且つ発汗も多いことから脱水になりやすい時期ですが、注意喚起もされるため、予防の為に水分補給が十分行われていることが多いです。

しかし、冬の場合は寒さで発汗量が低下し、寒さも手伝ってあまり脱水予防の水分補給をそれほど意識していない方も多いです。

しかし、夏に比べて冬の方が外気と室温の気温差が大きく、寒さから水分補給が少なくなりやすくなります。

夏とは異なるメカニズムで脱水状態に陥りやすく、暖房に当たった時に動悸や息苦しさを感じるといった初期症状があるのですが、そのまま放置してしまうと脱水を起こして自律神経の不調が継続してしまう原因となります。

寒い環境への適応が脱水の下地を作る

私達の身体は寒い環境への適応として、発汗量の低下以外にも体温の放熱を減らす為に皮膚表面の血管を収縮させて体温の放熱を減らそうとします。

体温を下げないように手足が冷たくなるなどもこの体温を逃がさない為の適応の一つです。手足が冷たくなるというのは、手足に流れる血液量が低下する為です。

私達の体温=血液の温度と考えて頂いて問題ありません。

発汗量が減るので発汗による水分不足やミネラル不足は起こりにくいのですが、血管が収縮した分、血圧が上昇してしまうので尿として血液中の水分を排泄して血液量を減らして血圧をコントロールする必要が出てきます。

その結果、発汗量が少なることで夏ほどの水分補給が必要ないのですが、尿量が増える(トイレが近くなる)為、体内に保持される水分量は少なめに調整されます。

これは寒い環境への身体の適応なので、それでもどんどん体温が奪われていってしまって低体温症などを引き起こすような状況でなければ、寒い環境にい続けている分には特別問題になりません。

問題が発生するのは、寒い環境に身体が適応した状態のまま暖房の効いた部屋に入ってしまう、身体の一部だけが暖房に当たるなどをしたときです。

暖かい部屋に移動したり、身体の一部が加温されると寒い環境に適応していた状態から、暖かい環境に身体が適応しようとします。

具体的には寒い場所では体温を逃がさないように収縮していた血管が暖かい環境に適した放熱を行うように皮膚の血管を拡張させたり、手足に血液が行かないようにして放熱を制限していた手足への血流も再開するようになります。

ここで問題となるのが、血管が拡がるとそれだけ血圧を維持するために必要となる血液量が増えることです。

暖かい環境に適応する体の正常な反応が、必要となる血液量(水分量)を増加させ、体全体では水分不足(脱水状態)を引き起こしやすくしてしまうのです。

多少の水分不足は尿の水分量を調節して対応している

通常、私達の身体は最適な水分量を維持するために、腎臓で作る尿の量で体内に残す血液量を調節しています。

夏場の熱中症予防の目安に尿の色が濃くなっていると要注意とされる理由でもありますが、血液中の水分量が不足すると、腎臓では尿を濃縮して尿として排泄する水分量を減らします。

しかし、冬の寒さへの適応として尿として水分を排泄してしまった後では、十分な量の水分を確保することが難しくなってしまう場合があります。

暖かい部屋に移動したり、暖房に当たって血管が拡がることで血圧の維持がうまくできない状態を少しでも補うために、心拍数をあげて血圧を維持しようとするため、一時的には動悸がしたり、息苦しさを感じるという症状が発生します。

起立性調節障害の子供が冬でも薄着でいることを好んだり、低血圧症の方が暖かい環境にいると体調不良を起こすのは体が温まると血圧を維持することが難しくなってしまうからです。

高齢者や心臓が弱い方などは、血圧維持のために心臓が頑張ること自体が心臓への負担を増加させてしまい、心臓発作を引き起こすことがあります。(ヒートショック)

予防は水分補給を行う

夏の水分補給と違い外にいて寒い中でこまめな水分補給を行ってもすぐに尿として排泄されてしまうので、寒い環境にいるときにこまめな水分補給を行う必要はありません。

暖かい部屋に移動して、動悸や息苦しさなどの異常が出てきてしまった場合には、すぐに座ったり横になって、水分補給を行い血液量が回復するまでしばらくじっとしておくことが大切です。

動悸などの症状が出ても、それが水分量が不足していることから来ていることに気が付かずにそのまま過ごしてしまうと、血圧が維持されないことで全身の細胞に十分な血液が供給されなかったり、血圧を維持するために細胞から水分を血液中に移動させて対応してしまう場合があります。

そうなると、脱水を起こして熱中症と同じように全身の細胞にダメージが及んでしまい、体調不良が何か月も持続する状態となってしまう場合があります。

脱水からの回復は1年以上かかる場合があるので、予防を徹底することがとても大切になります。

水分補給の方法

水分補給のタイミングは寒い場所から暖かい環境へ移動するタイミングです。

寒い環境にいるときは常に血圧を下げるために腎臓では水分を捨てようとする方向で体が働いているため、意識的に水分補給を行っても思ったように水分補給が行われません。

そのため、暖かい環境へ移動する少し前に60度程度のぬるま湯などを飲んで水分補給を行うことがおすすめです。

水分が体に吸収されるには時差があるため、飲んですぐに血液量が増加するわけではないため、ぬるま湯で少し加温しながら水分を足しておくことが原理的には効果的です。

発汗で水分を失っているわけではないため、カリウムの作用でミネラル(塩)が排泄されていなければ夏場の水分補給のように意識的に塩をとる必要はありません。

まとめ

暖房の効いた部屋に入った直後や体を温めてすぐに動悸・息苦しさを感じた場合には脱水を起こしかかっている可能性があるので注意が必要です。

夏場の脱水とはメカニズムが異なるため、こまめな水分補給をするというよりも、寒い環境から暖かい環境へ移動するタイミングで水分補給を行うことがとても重要です。

突然、動悸・息苦しさを感じてそれが軽度の脱水によるものだと気が付かないまま、暖かい環境に居続けてしまうと全身の細胞に悪影響が及び、その後も継続的に自律神経の症状に悩まされる場合があるため、予防がとても大切になります。

動悸・息苦しさが出てきた場合はすぐに座ったり、横になり、水分補給を行って血液量が回復するまで動かないことが大切です。

寒い環境へ戻ることでも回復はするので、症状がひどい場合はすぐに暖房から離れることも大切です。

脱水に気が付かずに放置してしまうと、自律神経の症状がその後も継続することになりますので、予防をしっかりと行いましょう。

当院での改善をご検討の方は自律神経失調症をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、カウンセリングを受けたいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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自律神経失調症
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