抗不安薬をいつまで続ける?抗不安薬をやめるタイミングと方法

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

パニック障害になり、不安な時やパニック発作時に飲むように抗不安薬を処方されている方も多いかと思います。

抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)は適切な使用をすることがとても重要なお薬の為、医師の指示通りに使用することが原則ですが、適切に治療が進んでいればある程度の期間が経過すれば比較的早期からやめ始めるタイプのお薬です。

今回はパニック障害で抗不安薬を使い続けても大丈夫なのか?やめるタイミングについて、一緒に考えていきたいと思います。ぜひ最後までご一読ください。

結論:治療が順調であれば使用し始めてから2週間で減薬が始まる

抗不安薬をいつまで使用し続けるのか?いつ辞めればいいのかのタイミングは治療が順調に進んでいれば基本的にはあまり考慮しなくて問題ありません。

抗不安薬は不安障害(パニック障害、全般性不安障害、広場恐怖症、社会不安障害)などで不安感やパニック発作を抑える目的で使用する薬なので、治療が順調に進んでいれば抑える不安感そのものが自然と減っていきます。

ベンゾジアゼピン系のの抗不安薬には依存性がある為、依存形成が行われ始める2週間ぐらいをめどに毎日使用するという状態から、辛い時だけ使用する頓服として、用途が変更されます。

治療が順調に進んでいるのであれば、不安感とパニック発作の頻度が右肩下がりになってきますので、抗不安薬の出番はなくなり、辞めるタイミングを見図らなくても自然と使用しなくなっていきます。

しかし、治療が順調に進まなかった場合には、抗不安薬が自然と使用しなくなってくるタイミングを逃してしまい、その結果、抗不安薬に対する依存形成が行われます。

その場合にはベンゾジアゼピン系の薬物依存の治療が必要になってきます。

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抗不安薬の役割は主に二つ

抗不安薬はもともと不安障害を治すタイプの薬ではなく、治療をスムーズに進める為の補助薬としての効果を期待して処方がされます。

まず第一に、不安感やパニック発作がセロトニンの不足から起こってきていると考えられている為、より根本的な治療として用いられるセロトニンの量を増やすSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が効いてくるまでの2週間のつなぎとしての役割です。

そしてもう一つの役割が、SSRIが効果を出して症状が落ち着いてきたけれど、時々不安感やパニック発作が起こってしまった時の緊急用としての役割です。

基本的に毎日飲んでよいのは2週間以内、それ以降は頓服として使用するのが正しい使い方です。

SSRIのつなぎとして

不安障害の治療はSSRIが基本になりますが、服薬を開始してから効果が出てくるまでに2週間と時間がかかる薬です。

その為、治療開始と同時にSSRIと抗不安薬を同時に使い始めて辛い症状は抗不安薬によって和らげて時間を稼ぎ、長期的な治療はSSRIで行っていくという治療方法をとられるのがスタンダードです。

私がそうでしたがSSRIを使用しても全く効かないタイプの人も一定数います。

一方、効果だけがすんなり感じられて副作用もない人も一定数います。

多くの人はSSRIは初期に副作用が出やすいため、最初だけ我慢して次第に副作用が落ち着いてくるまで頑張るのですが、かなり強めの副作用が出て、その辛さに耐えられなくてSSRIに種類を変えたりといった薬の調整が必要になる人もいます。

また、仕事を今までと同じ負荷の状態のまま薬だけで何とか治そうとしている場合には、強いストレスがかかり続けることになる為、SSRIが一向に効果を示さず、すぐ効果を実感する抗不安薬に依存していく場合も多いです。

よくあるのが不安感などをかかりつけの内科医に相談した際に抗不安薬を出してもらい、依存が形成されて抗不安薬の効果も出なくなってから心療内科や精神科を受診。

このような場合では、SSRIが効いてきたとしても、依存によって離脱症状(反跳作用(薬をやめると不安感や動悸、息苦しさ、ソワソワ、不眠が出ること))が出る為、不安障害の症状なのか依存による離脱症状なのかよくわからない状態で、抗不安薬をやめるにやめられない状況になる場合があります。

不安感やパニック発作時の緊急用として

SSRIが効いてきて、生活習慣の改善や心理療法を開始していけば基本的には不安感やパニック発作が出る頻度は右肩下がりに下がっていきます。

しかし、100%全く気にならないレベルまで改善するには数ヶ月は時間がかかる為、時々どうしてもイレギュラーで発生してしまった際に緊急用の頓服として使用するように処方されます。

SSRIが効いてきて症状が軽くなった際に、生活習慣の改善や心理療法を行わずにまた心身に負荷がかかる生活へと戻してしまうと、SSRIの効果が打ち消されてしまい再び不安感やパニック発作の頻度が上がり、その為に抗不安薬を使う頻度が増していってしまい、気が付くと毎日使用しているという状態になります。

当然毎日使用していれば依存が形成されて辞めれなくなってしまう状態になります。

治療が順調であれば苦しい時だけ使用するのは問題ない

ここまで読まれると、抗不安薬が怖いと感じられてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、抗不安薬の依存形成は連続して使用し続けることが、依存形成の条件になる為、例えば月に1回程度使用するなどの状態であれば、依存状態に入ることは基本的にはありません。

個人差があるので何日連続までは大丈夫だけれど、ということを申し上げることは難しいのですが、医学的には2週間の連続使用で依存形成がされると考えられているので、統計的に依存形成になる人が少ない安全圏内として2週間よりも多くは連続使用しないことが望ましいです。

その為、減薬し始めるタイミングが2週間ぐらいになり、その後も順調に不安感やパニック発作の頻度が減っていけばそのまま自然に抗不安薬をやめられるということになります。

抗不安薬がやめられないと悩まれている場合は、不安障害と離脱症状が複雑に絡み合ってしまってやめるタイミングを探すことになっていると考えられます。

不安感やパニック発作の頻度が低下していかない時

通常であればSSRIが効果を発揮してくるにしたがって、脳内のセロトニン量が増えてくるため不安感やパニック発作は出なくなってきます。

SSRIはセロトニンの量を化学物質を入れることでセロトニンが回収されて減るのを邪魔し、結果的に脳内のセロトニン量増やす作用のある薬ですが、そもそもなぜ脳内のセロトニン量が減ってしまったのか?という原因が不明なままです。

不安障害(パニック障害)の多くがストレス反応が長期的に体内に起こることで発生することが多いため、長期ストレスにさらされて長期間ストレス反応が起こらないように、対策を行うことが根本的な治療になります。

例えば、慢性的な肩こりを持っていて身体ストレスがずっとかかり続けた人であれば鍼灸や整体などで肩こりを改善し、肩こりが再発しない生活習慣を身につけることがストレス反応を止める手段になります。

毎日ストレスがかかりやすい嫌いな仕事がストレス反応を引き起こしているのであれば、仕事内容や職場、働き方を変えることが必要になります。

何か起こるとすぐに悲観的に考え、自分には不幸な出来事しか起こらないように感じながら頭の中でぐるぐる考えて生きているのであれば、心理療法を行い正しく世界をとらえられるようになることが必要になります。

完全にストレスゼロを目指す必要はありませんが、不安障害を引き起こした長期的なストレス反応が起こりにくくなる対策を行わなければ、右肩下がりに症状が安定してきにくくなります。

原理的にSSRIを使用して症状が安定したとしても、SSRIをやめていく途中に減薬していく間や薬をやめてからしばらく経過すると再発してきてしまいます。

お守り代わりに持たない

抗不安薬をやめる最後の難関が、心理的依存をどう断ち切るのかです。

症状が安定していて、SSRIをやめた状態が維持できている方でも、お守り代わりにSSRIを常に持ち歩いている方も少なくありません。

しかし、これは心理的に依存している状態であり、あまりよい状態ではありません。

不安感やパニック発作が起こらなくなり、自信も出てきた時点で、なるべく早く抗不安薬を持たずに出かける練習していくことが大切です。

薬を持っているぐらい・・っと思われるかもしれませんが、それを心理的よりどころとしていると、薬を持ってくるのを忘れてしまった際に一気に心理的な不安感からパニック発作を引き起こして急激に症状が戻ってしまうことがあります。

最終的には薬を持ち歩く必要がなく、心理的にも自立していくことが大切です。

まとめ

治療が順調に進んでいるのであれば、抗不安薬をいつ辞めればいいのか?とタイミングを図ったり、いつまで続ければよいのか?と悩む必要はありません。

抗不安薬を使用する目的は、SSRIが効いてくるまでの2週間のつなぎと緊急時用の2つです。2週間を超える場合には毎日抗不安薬を使用することは推奨されていません。

順調に回復傾向であれば、意を決して抗不安薬をやめようと努力しなくても自然と使用する機会は減っていき使わなくなるので安心してください。

不安感やパニック発作の頻度が徐々に減っていかない場合は、何らかのストレス反応を引き起こす原因があなたの生活の中に残っている可能性があります。

心理的、身体的、環境的な改善点を見つけ出し、それに合った対策をしっかりと行っていくことが大切です。

最終的には抗不安薬を持ち歩くという行為をやめていくことで、心理的な依存からも脱却することが大切です。

当院での改善をご検討の方はパニック障害全般性不安障害社交不安障害をご覧ください。

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