こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。
夜寝付けなくなったり(入眠障害)、途中で何度も目が覚める(中途覚醒)、早い時間に起きてしまう(早朝覚醒)など、睡眠の悩みを抱えられている方は多いです。
今回はそんな睡眠を改善する為の基本について一緒に考えていきたいと思います。最後まで是非ご一読ください。
結論:眠ることに執着しないよう、基本に忠実に生活しましょう
睡眠が十分にとれないと、眠れないことそのものがストレスになり、そのストレスから交感神経が優位になって余計に眠れない、深く眠れないといった悪循環が始まります。
ひどくなると夜がやってくることに恐怖を感じるようになってきてしまいます。
睡眠不足から思考もネガティブになりやすかったり、眠れないことそのものがストレスとなって、今夜も眠れなかったらどうしようとどんどん不安感が増していきます。
不眠改善に大切なことは、無理に寝ようとしないこと。そして、眠りを邪魔している原因を一つ一つ丁寧に取り除いていくことが大切になります。
焦っていると何をしてもなかなか改善が難しくなってしまいます。
一時的に睡眠薬を使うことも悪いことではありません。
年代別の不眠症の原因
不眠症になっている原因は人によって様々です。しかし、傾向はある程度あります。
10代20代の子は夜にスマホやゲーム、明るい光を見る場合に、光を目から入れすぎることで体内時計が後ろにずれてしまって(睡眠後退)寝付けないということが起りやすいです。
その為、夜は寝られないけれど、朝方にウトウトする生活をして寝てなかなか起きられなかったり、寝不足のまま生活しているうちに睡眠負債が溜まり自律神経の症状や不安障害が出てくるという状態になり易いです。
30~50代では仕事や家庭の責任が重くなる、子育てに関するストレス、夫婦間のストレス、やることが増えるなど、身体的にも心理的にもストレスが増してきやすい年代です。
その結果、ストレス過多で交感神経優位な状態から夜になっても副交感神経優位な状態へスイッチが上手く切り替わらなくなり、興奮して眠れない、何度も目が覚めてしまう、早く目覚めてしまうなどの状態になり易いです。
60代以降になってくると、副交感神経の働きが弱くなってくることと、必要となる睡眠時間もだんだんと短くなってきます。
その結果若い時と同じような時間眠ろうとして、寝付けないままベッドにいる時間が長くなってしまいます。
寝付けないというより、途中で目が覚める、早く目覚めてしまうという悩みを持たれることが多いです。
それぞれの年代により対処法が異なりますが、基本的なことは同じですから、まずは睡眠の基本を一緒に確認していきましょう。
睡眠薬の役割
睡眠の悩みで病院へ受診すると睡眠薬、睡眠導入剤などを処方されることがあります。
睡眠薬と睡眠導入剤の違いは効果が表れるまでの時間と持続時間の違いだけで基本的には同じ薬です。
睡眠は習慣性がある為、リズムが乱れてしまっている時やどうしても眠れず疲れてしまっている際に使うためのものです。
明日仕事で眠れないと困るからという用途で使う為の薬ではもともとありません。
基本的には寝る時間や起きる時間を薬の力を借りて習慣化させるために使います。
習慣化に問題があるだけのケースでは習慣化したら薬をやめていけば、不眠症は同時に治りますが、それ以外の原因で不眠症になっている場合には、一時的に脳を休める目的として薬を利用しますが根本的な治療は原因に合わせて行っていく必要があります。
不眠症を改善する基本
不眠症の改善に大切なことは、光・生活リズム・運動・睡眠環境・睡眠を邪魔している原因の除去です。
1.光
朝太陽の光を目から浴びると、セロトニンの合成スイッチが入ります。
セロトニンは脳を覚醒させ交感神経のスイッチを入れます。昼間に交感神経が十分に高まることで夜に副交感神経の働きが高まりますので、朝起きたら光を目から浴びましょう。
個人差はありますが起きて最初に太陽の光を目に入れてから、16時間後ぐらいに合成・分泌されたセロトニンがメラトニンという神経伝達物質へと酵素により変換されます。
メラトニンは眠気を誘発する作用がありますが、夜になって光を目から入れてしまうとメラトニンへと変換する酵素の働きを邪魔してしまい、メラトニンが不足して眠れなくなります。(入眠障害)
光を見て夜に眠れなくなる原因は、メラトニン不足です。
しかし、睡眠不足が加わってセロトニン神経の働きが低下すると、原料であるセロトニンの合成がそもそもできなくなり、メラトニンを合成できなくなり、光に気を付けるだけでは眠れなくなってしまいます。
セロトニン神経の働きが低下していないことが条件ですが、朝、光を目から入れ、日中はなるべく明るい場所で過ごし、夜暗くなったら暖色(夕日の色)のやや暗めの照明で過ごすことが大切になります。
2.生活リズム
特に朝食のリズムが大切になります。
体内時計には脳を中心とした中枢時計と、内臓などが持つ抹消時計の二つがあります。
光は脳の中枢の体内時計を揃えますが、抹消時計は朝一番に血糖値が上がったタイミングを目安に体内時計をセットしなおします。
この内臓抹消時計こそが、内臓がどのタイミングでどういう活動をすればいいのかを決めていますので、この抹消時計がずれてしまうと、昼間なのにだるくて動くことが出来ない。
夜なのに体が活力が高まってきて寝付けなくなるなどの状態になります。
血糖値はストレスによっても変動する為、身体的・心理ストレスが慢性的にかかっている状態では抹消時計が乱れやすくなってしまいます。
睡眠時には成長ホルモンが出ますが、この成長ホルモンは血糖値が高いと出てきません。その為、寝る直前に食べることは辞めましょう。
3.運動
私達人間も動物ですから、基本的には体を動かして食べ物を得ることに適応しています。
現在は食べ物を得る手段が精神労働中心になってしまいましたが、身体は古来からあまり変化していない為、運動を行って昼間に交感神経を高める、肉体疲労を引き起こすことが必要になります。
運動は交感神経を高めて夜に副交感神経が高まりやすくなるのを助けるほかにも、血糖値を安定させたり、ネガティブな気分を抑えたり、ストレス解消効果もあります。
肉体的に疲れると入眠しやすく、昼間に交感神経を高めている為、副交感神経が働きやすい状態になります。
4.睡眠環境の整備
良い睡眠をとるには、体に合った寝具を使うなども大切ですが、なるべく光、音、振動がない、気温、新鮮な空気などの睡眠環境を整えることが大切です。
雨戸や遮光カーテンで外と街頭などの光を遮断し、なるべく暗くして眠ると良い睡眠がとれることがわかっています。
また、音も睡眠の質を低下させる原因です。リラックスできる音楽などがあった方が寝やすい方は入眠後すぐに音楽が切れるようにセットするようにしましょう。
音などとも関係しますが、パートナーと同じベッドで寝るなどは睡眠の事だけを考えるとあまりお勧めできません。
パートナーの寝返りの体動が振動として伝わることで睡眠の質を低下させることがわかっています。
気温は18度ぐらいが良いとされています。
また、室内の二酸化炭素濃度が高すぎると睡眠に悪影響があるので、寝る前に5分程度換気してから寝るのもお勧めです。
5.睡眠を邪魔している原因の除去
不安や悩み事があって眠れないといった原因がある場合にはその問題を解消するか、心理的に受け入れるかのどちらかを行っていくことで原因を除去する必要があります。
心理的な原因だけでなく、身体がこわばっているなど、身体的な緊張が身体ストレスとなって不眠症の原因になっている場合には鍼灸や整体が効果的です。
特別、悩み事もないのに眠れないという方が整体や鍼灸を受けると不眠症が改善するという症例では身体的な緊張が身体ストレスとなって不眠症を引き起こしている場合の症例です。
長期間(1ヶ月ぐらい)不眠症が続いていると心理的・身体的ストレスが解消されてもだんだん、今夜も眠れないのではないか?と眠れないことそのものが不眠の原因になってしまうこともあります。
このような場合には、眠れない場合にはすぐにベッドから出て眠くなるまで起きて過ごし、眠気が来たらベッドに戻る、眠れればそのまま寝て、眠れなければまたベッドから出るという認知行動療法が効果的です。
早く起きてしまって寝付けない場合も同様に眠くなければベッドから出てしまうことも大切です。
まとめ
・朝に太陽を浴び、なるべく昼間は明るい場所で過ごし、夜はあまり光に触れないようにして過ごしましょう。
・朝食はしっかり食べ、睡眠前に食事をとることは避けましょう。
・昼間にしっかりと運動して交感神経を高めると同時に、肉体的に疲労しましょう。
・暗く、静かで、暑すぎない環境で寝ましょう。
・緊張している場合にはストレス原因を取り除きましょう。
・睡眠そのものがストレスになっている場合は、無理に寝ようとすることをやめましょう。
今回は基本をご紹介しましたが、細かなことまで含めるとまだまだ多くの睡眠改善の方法があります。
多くの不眠症は光による生活リズムの乱れ、心理的身体的ストレスが原因で不眠症が発生してくることが多いので、専門家による手助けが必要な場合もあります。
当院での改善をご検討の方は不眠症(睡眠障害)、自律神経失調症をご覧ください。
遠方で来院が難しいけれど、カウンセリングを受けたいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。