体を起こすと頭痛がする原因と治し方

こんにちは、浜松市のはりを刺さない鍼灸師の佐野です。

横になっている時は頭痛がほとんどゼロもしくは軽減するけど、体を起こすと頭痛がしてきてしまう頭痛にお困りではありませんか?

横になると頭痛がしなくなるというとても特徴的な頭痛で一般的な頭痛と原因が異なるため、命に関わる頭痛ではありませんが、注意が必要な頭痛です。今回は体を起こした時にだけ出てくる頭痛について一緒に考えていきたいと思います。是非最後までご一読ください。

結論: 普通の頭痛と原因が異なる事が多いので注意が必要

横になっている時は頭痛が消失するけれど、体を起こすとすぐに頭痛が始まる頭痛を起立性頭痛と呼びます。

通常の頭痛は姿勢によって痛みの程度に変化がある場合もありますが、横になったからといって急激に痛みが消失したり、大幅に痛みが減弱するというものではありません。

しかし、起立性頭痛の場合は通常の慢性頭痛と原因が異なる為、体を起こしている時だけ頭痛の症状が強くなりますので、このような特徴を持つ頭痛の場合には注意が必要です。

起立性頭痛には以下の3つの原因があります。

  1. 起立性低血圧によるもの
  2. 骨盤周囲のアンバランスによるもの
  3. 脳脊髄液の漏れによるもの

どの原因によるものであっても頭痛の特徴はそっくりですが、1であれば血圧の測定。2では骨盤周辺の調整で改善されるか?3は大掛かりな検査が必要ですが複数の画像検査や造影を組み合わせて診断することになります。

ほとんど薬が効かない場合は注意

起立性頭痛のうち一番厄介なのが、脳脊髄液漏れによる脳脊髄液減少症や低髄液圧症候群です。

脳と脊髄は脳脊髄液という水に浮かんだ状態で存在しているのですが、その水が漏れ出てしまって量が減り、それが原因で横になると楽で、起き上がると頭痛がするという状態が出てきます。

横になっている時は重力の影響を受けない為、脳脊髄液が頭部に十分確保されているので、頭痛が軽減されますが体を起こしてしまうと脳脊髄液が下がってしまい頭痛を引き起こします。

ほとんど、鎮痛薬も効果がなく、気持ち悪さや吐き気を伴いやすいといった特徴があります。確定診断をするにはCT、MRI、造影など、大掛かりで複数の検査をいくつも組み合わせることで診断を行っていきます。

原因は外傷や数十年前に交通事故、ブランコや階段から落ちるなどの高エネルギー外傷により強い衝撃を受けたことがある方が、成長してから突然発症することもあります。

突発性で原因不明で突然脳脊髄液が減少したことによる頭痛が出てくることもあります。

薬が効かないこと、吐き気や気持ち悪さを伴う方が多いとされています。

脳脊髄液減少症や低髄液圧症候群かを調べるには?

脳脊髄液減少症や低髄液圧症候群から頭痛が出ているかどうかを判断するには、専門医がいる総合病院を受診することが一番早く確実な方法です。

CT、MRI、脳脊髄液の循環の造影など、複数の検査所見を総合して診断されるため、検査だけでも相当に時間とお金がかかります。

当院では起立性頭痛の方が来院された際は、脳脊髄液減少症や低髄液圧症候群の可能性を説明しつつ、他の可能性(起立性低血圧や骨盤周囲のアンバランス)を先に除外してしまって、それでも改善がされない場合に、専門医への受診をお勧めしています。

簡便な方法で、精度はそれほど高くはありませんが、腹部周辺を一周するように同時に圧迫すると脳脊髄液が上部に移動して頭痛が軽くなる場合があることがわかっている為、身体を圧迫したことで頭痛が軽くならないか?施術を行ってもその場で変化が見られない、血圧異常がない場合には、専門医への受診を勧めるようにしています。

脳脊髄液減少症や低髄液圧症候群の治療法

脳脊髄液減少症や低髄液圧症候群の治療法は、水分を多くとって1ヶ月から2ヶ月程度横向きに寝た状態のまま安静にして生活するというのが、一番オーソドックスな治療法です。

病院であれば生理食塩水などを点滴で体の中に入れて水分量を増やすことを補助的に行いますが、水分を多く飲んで、横になって安静にしておくことが基本的な治療です。

体を横にして脳脊髄液が漏れ出てしまったの穴が自然にふさがるのを待ち、脳脊髄液が自然に補充されて脳脊髄液減少症や低髄液圧症候群から回復してくるのを待つのです。

もっと積極的な治療として、「エピデュラルブラッドパッチ」という治療法が用いられます。

これは自分の血液を脊髄の周りに注入し、血球によって漏れている脳脊髄液の穴を塞ぐ方法です。これにより、脳脊髄液の漏れが止まればあとは安静にしていれば元の量に脳脊髄液が戻れば回復してきます。

安静にしておくのに比べて、回復する速度が速くなると考えられていますが、痛みを伴ったり、感染を起こすと髄膜炎などのリスクがあります。

必ず効果があるという方法でもない為、効果がなければ元通り安静にして水分を多く保つという本来の治療法を行わざるを得ない場合もあります。

長期間安静を保つ必要がある為、三半規管の機能低下によるめまい、全身の筋力低下、心肺機能低下による起立性低血圧など、回復後のリハビリも必要になりますので、専門医の元で治療することが大切です。

起立性低血圧による起立性頭痛

血液は心臓から出発して血管を通じて全身に行き渡ります。血液を送る時の圧力を「血圧」と言います。

座ったり、立ち上がるといった時に、本来であれば重力に逆らって血液を送る為に、すぐに心臓の鼓動を早くしたり、心臓の収縮する力を強くする、血管を収縮させて圧力を高めるといった血圧を維持する仕組みによって血圧が維持されます。

しかし、起立性低血圧になると、体を起こしたときに血圧が維持できずに下がってしまいます。軽いものであれば、血圧が一瞬下がった後に身体の調節機能が働いて血圧が正常範囲へ戻ってくるのですが、いつまでも血圧が上がらなくなる場合もあり、その場合には起立性低血圧による起立性頭痛を抱えることになります。

血圧の維持は自律神経が担っている為、自律神経失調症、起立性調節障害などでこのようなタイプの頭痛が出ることがあります。

立ち眩みやめまいといった脳貧血の症状を伴うことが多く、血圧が下がっていることを確認できればある程度、起立性低血圧による起立性頭痛だと判断することが出来ます。

基本的には食事、睡眠、運動、ストレス管理といった自律神経を整える生活習慣と、自律神経を乱すような身体的な緊張やコリがあれば鍼灸や整体によって解消することで改善していくことが多いです。

稀に、原因不明で血圧の維持が出来ない場合があり、その場合には原因が特定できても改善が難しいという状態になり易いです。

骨盤性の起立性頭痛

骨盤周辺が安定しないことで、体を起こしたときにだけ身体を支える為に急激に首や肩に力が入り、頭痛がしてくる場合があります。

それが、骨盤性の起立性頭痛です。

横になっている時は肩こりや首こりもほぼなくなりますが、体を起こしてすぐに肩や首にこりを感じ始めて頭痛や吐き気などが出てくる場合には骨盤性の起立性頭痛の場合があります。

骨盤自体は強力な靱帯によって固定されていますので、妊娠中などの特殊な状態や交通事故などで強い力が加わらない限りは骨盤そのものが歪むことは基本的にはありません。

しかし、骨盤周辺の筋肉の緊張のバランスが悪くなることで、骨盤が変な方向へ引っ張られるような状態になることが、骨盤性の起立性頭痛の原因となります。

骨盤周辺の筋肉を一度緩めてから、正しいバランスに調整し直すと、その場である程度頭痛が改善しますので、1度施術を行えば骨盤性の起立性頭痛かどうかは判断が可能です。

まとめ

横になった時は頭痛がしないけれど、体を起こした姿勢(座る、立つ)のときだけ頭痛がすることを起立性頭痛と言います。

その原因となる症状や病状は様々ですが、特徴的な疾患として知られているのは脳脊髄液減少症や低髄液圧症候群の場合です。

診断や治療が難しい疾患の為、疑われる場合には専門医(浜松市内であれば聖隷三方原・浜松病院、浜松医科大学病院)を受診することが大切です。

しかし、脳脊髄液減少症や低髄液圧症候群以外にも、似たような起立性頭痛を引き起こすのが、自律神経失調症や起立性調節障害が原因となって発生する起立性低血圧による起立性頭痛。骨盤周辺のアンバランスにより体を起こした瞬間から首肩周辺の筋肉が急激に硬くなることで起こる起立性頭痛もあります。

自律神経の問題や骨盤周辺の問題で頭痛がしている場合には、鍼灸や整体でのアプローチの方が効果的な場合もある為、こちら側ではないことを先に確認してから病院へ行く、もしくは病院へ行って脳脊髄液減少症や低髄液圧症候群でないことを確認したうえであれば、鍼灸や整体を試していくといった流れが良いかと思います。

当院での改善を希望される方は、自律神経失調症起立性調節障害頭痛をご覧ください。

遠方で通院が難しいけれど、相談に乗って欲しいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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