息苦しいけれど、病院では異常なし。自律神経からの息苦しさの治し方。

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

息苦しさを感じて病院へ行ったけれど喘息でもない。喉に違和感があって締まる感じがするなど、自律神経を原因とした息苦しさはよく見られる症状のうちの一つです。今回は自律神経失調症、パニック障害の方が感じる息苦しさの原因と対処法について一緒に考えていきたいと思います。

結論:過換気症候群と呼吸筋・腹部の固さ、呼吸方法を疑ってみよう

喘息など呼吸器に異常がないにもかかわらず、息苦しさを感じる原因は、過換気症候群(過呼吸)や呼吸そのものが物理的にしにくくなっている時に感じられることが多い症状です。

交感神経が過剰に働くことで以下のような原因で息苦しさを感じます。

  1. 呼吸が浅く早くなってしまう。
  2. 呼吸筋がこり固まってしまう。
  3. 内臓の動きが悪くなり内臓がこり固まって横隔膜が下に下がれなくなってしまう。
  4. 息苦しさから吸うことばかりで吐けていない。

このほかにも交感神経が高まりすぎると喉のあたりが締まったり、異物感を感じる為、空気が通りにくい感じがして息苦しさを感じる場合があります。

これらの問題は、交感神経の過剰が根底にはあることがある為、自律神経を整えていくことを同時に行っていくことが大切です。

今回はそれぞれの原因と対処法についてご紹介していきます。

呼吸のしすぎで息苦しくなる

呼吸が早くなると「過換気症候群(過呼吸)」という状態が起こります。

これは、呼吸のしすぎによって体内の二酸化炭素が減少してしまうことで、赤血球から酸素が細胞に供給されずらくなり、結果的に細胞が酸欠状態に陥る為「息苦しい!」「頭がふらつく!」と感じてしまうものです。

一般的に早い呼吸をしていることが多いのですが、口から大量の空気を吸い込んで吐き出すという呼吸をしていても同じことが起ります。

呼吸が早くなる原因は主には交感神経の興奮(緊張や不安など)状態です。リラックスすることが大切になります。

過換気症候群の対処法

過換気症候群の対処法は、まずは呼吸を小さいくゆっくりとした呼吸にすることが大切になります。

鼻呼吸でゆっくりお腹で呼吸すると良いですが、どうしても息苦しくて口から呼吸をする場合は口笛を吹くぐらい口をすぼめて細く長く呼吸を行うようにしてください。

また、二酸化炭素不足による症状の為、息を5秒ぐらい止めるという呼吸を繰り返すことでも改善が期待できます。

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呼吸筋がこり固まって思ったように空気が吸えない

呼吸は体を動かす筋肉によって行われている為、呼吸を行う呼吸筋がこり固まって筋肉の動きが制限されると息を吸ったり、吐いたりがしずらくなってしまいます。

この息の吸いにくさや吐きにくさを息苦しさとして感じている場合が多くあります。

ウェットスーツなどを着たことがある人はわかると思いますが、首回り、胸やお腹が圧迫されると息苦しさを感じます。しかし、呼吸が出来ていないわけではなく、呼吸筋が思ったように収縮できないことで感じる息苦しさです。

腹式呼吸の横隔膜はあまりこり固まることが多くありませんが、胸式呼吸で使われる外肋間筋やそれを補助する胸鎖乳突筋などの呼吸筋及び呼吸補助筋がこり固まってしまうと慢性的な息苦しさを感じることになります。

新品の固い風船ほど膨らませにくいのと同じ原理です。

呼吸筋を緩める方法

呼吸筋がこり固まってしまっている場合には、基本的には専門家に鍼灸や整体でこり固まっている筋肉を緩めてもらうことが一番の近道です。

しかし、乱暴な施術を受けると肺に穴をあけてしまい気胸という状態になってしまうことがある為、安全に施術を行える専門家による施術を受けられるようにしてください。

予防としてはストレッチが有効ですが、実際に息苦しさに悩まされるレベルになると息をしやすくするストレッチはあまり効果がないことがあります。

唯一効果が期待できるストレッチが、空気を胸に入れた状態で行うストレッチですが、こちらも粗雑に行うと気胸の原因になることがある為、専門家の指導の下行う方が良いです。

腹部が固くなってい空気が吸えない

息を吸うことの約70%は横隔膜が下に下がることで行われる腹式呼吸によるものです。

しかし、お腹周りの筋肉が緊張してこり固まったり、内臓に固さが出ると横隔膜が下に下がるスペースが少なくなってしまい、ゆったりとした深い呼吸が行えなくなってしまいます。

その代用として胸式呼吸を早く行うことで呼吸をして、呼吸筋がこり固まってしまって息苦しくなったり、浅く早い呼吸によって過換気症候群(過呼吸)を起こしやすくなったりします。

また、お腹周りの筋肉の緊張や内臓の固さの原因は交感神経が過剰で、副交感神経が十分に働いていないことで腹部周りに十分な血流が行かないことが原因で起こる場合が多いです。

交感神経が刺激されると胃腸への血液量が低下し、胃腸がこり固まる場合とお腹周りの筋肉が緊張してきて腹部が差し込むように、内臓が圧迫される場合などがあります。

姿勢による腹筋の緊張という場合もありますが、その場合には楽な姿勢をとれば息苦しさは通常改善されます。

腹部を緩める方法

副交感神経を鍼灸や整体で刺激して、交感神経が刺激されることで発生する腹部の緊張を緩めていくことが基本です。

しかし、長期間腹部が固い状態で生活されていた場合には、お腹周りに老廃物・発痛物質などが蓄積して固さを出していることになる為、直接、鍼灸や内臓刺激を行う整体を行うことで血流を元に戻すアプローチが必要になります。

セルフで腸もみを行っても良い場合がありますが、安易に触らない方が良い方もいますので、専門家に相談することをお勧めします。

息を吐けていなくて息が吸えない

呼吸は吐くことで吸うということが可能になります。

肺の中に空気がいっぱいの状態ではいくら吸っても、新しい空気を吸い込むスペースがないので空気を吸うことが出来ません。

息苦しいと息が吸えなくなる恐怖から吸い気味の呼吸になりがちです。その結果、吐き切れないからうまく吸えずに息苦しいという状態になる場合があります。

呼吸筋の緊張でうまく吐き出せなくなっている場合には、前述した呼吸筋を緩めることが必要になりますが、吐けていないだけであれば単純に吐き出すことを意識した呼吸法を行うことで改善されます。

息を一度はききる呼吸法

吸い過ぎて吐けなくなっている場合には、肺の中に入っている空気を一度すべて吐き出す呼吸法が有効です。

絞り出すように肺にある空気を一度すべて吐き切ります。しっかり吐き切れると、肩が落ちてくるのがわかります。

すべて吐き出そうとすると絞るようにゆっくり吐いていく必要がありますので、息苦しさはありますが、お腹が引っ込み、肩が落ちてくるまでしっかりと吐き出してください。

吐き切ってから、ゆっくりと吸い今度はお腹が膨らむ程度で、胸式呼吸にならないように腹式呼吸のみで呼吸を行うようにしていきます。

大きな呼吸をする必要がないので、感覚的には普段行っている量の50%ぐらいで吸うをのやめる呼吸法を繰り返していきます。

まとめ

喘息など明らかな呼吸器疾患が関わらない息苦しさは自律神経が関与する「過換気症候群(過呼吸)」や「呼吸筋のこり」、「腹部の固さ」、「吸い過ぎて吐けていない」などが原因であることがあります。

過換気症候群と吸い過ぎで吐けていない場合には、呼吸法を行い正しい呼吸に戻すことと、リラックスすることでゆったりした正しい呼吸に戻りやすくなります。

呼吸筋のコリや腹部の固さが原因の場合には、原因となった緊張状態を緩和しながら、こり固まった筋肉や内臓への血流を上げて筋肉や内臓に柔らかさを出していくことが大切です。

当院での改善をご検討の方は自律神経失調症をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、カウンセリングを受けたいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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