自律神経失調症でだるい・眠いの対処法

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

自律神経失調症で発生するだるさや眠いといった症状は、交感神経がしっかり機能していないことで、脳や体が覚醒していなかったり、エネルギーをうまく作り出せないことで発生してきます。

今回は自律神経失調症でだるい・眠気への対処法について一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までご一読ください。

結論: 自律神経を休ませ、体内時計を調整する事が重要

自律神経失調症の方でよくある症状が、だるさと眠気です。

一日中だるさや眠気が慢性的に続く方もいれば、午前中だけだるさや眠気がひどく午後から元気になってくるという方もいます。

特に活動する昼間の時間帯にこれらの症状が強くなると思ったように動くことが出来ず、だるさや眠気が強い場合には途中眠らないと1日持たないという方も多いです。

だるさや眠気の原因を理解し、正しい対策を行うことで、徐々に改善していくことが可能です。

1.自律神経失調症でだるさや眠気が強くなる

自律神経には活動的にさせる交感神経、眠りや休息を促す副交感神経の2つがバランスをとっています。

だるさや眠気の症状はこの自律神経のバランスの乱れが原因ですが、乱れるパターンは主に3パターンです。

1.活動時間の交感神経活動の低下
2.活動時間の副交感神経の興奮
3.休息時間の副交感神経の低下

それぞれについて詳しく解説させて頂きます。

1.1 活動時間の交感神経の活動低下

交感神経は主に活動時間、つまり昼間の起きている時間帯に働く神経です。

交感神経が活発に動くと、心拍数が上がり、血圧が上昇し、エネルギーが生産されます。

つまり、交感神経は私たちが活動的で、元気に動き回る状態に体をセッティングしてくれます。だるさや眠気はこのセッティングが上手くいっていない結果です。

自律神経失調症になると、活動時間にもかかわらずこの交感神経が十分に働かないという状態になることが多いです。

これが、昼間にだるさを感じる一つの原因となります。

交感神経が低下することで、心拍数があがらず、血圧が上がらない、エネルギーが作り出されないといった活動的な状態を保つことが難しくなり、だるさや眠気などが強くなります。

1.2 活動時間の副交感神経の興奮

副交感神経は、交感神経とは反対に、私たちが休息する時間帯、特に睡眠時や食後に活動します。

心拍数を減らし、血圧を下げ、エネルギーの消費を抑えるなど、体をリラックスさせ、休息状態に導きます。

この副交感神経の働きにより、私たちは夜に眠り、体の疲労を回復させることが出来ます。

しかし、活動時間に副交感神経が興奮しすぎてしまうと、昼間でも体が休眠しようとするため、心拍数を減らし、血圧を下げ、エネルギーの消費を抑えるように働きます。

これがだるさや眠気を引き起こします。

交感神経が低下しても、副交感神経が興奮しすぎても同じような状態になるのです。

1.3 休息時間の副交感神経の低下

休息時間(通常であれば夜)に副交感神経がうまく働かないと、体に必要な睡眠(休息)が十分に取れないことになります。

睡眠は自律神経の中枢が存在する脳の機能を回復させるためには必要不可欠なものです。

しかし、睡眠が不十分になってしまうと脳を構成している神経細胞に溜まった疲労物質が取り除かれない為、自律神経中枢や自律神経も正常に機能しずらくなっていきます。

その結果、起きているのに、だるい・眠気が抜けないといった交感神経(起きている)と副交感神経(だるい、眠気)の問題が入り乱れたような症状が出てくることになります。

2.体内時計の乱れでだるさや眠気

私達の自律神経系の機能の一つにサーカディアンリズム(体内時計)により、どの時間帯に活動力を上げ、どの時間帯に活動力を下げて休息するのかを自動で制御する機能があります。

この体内時計は中枢(脳)と末梢(内臓)側でそれぞれ独立した時計を持っています。この時計に乱れが出ると、時間帯のズレによるだるさや眠気が出てくることになります。
1.その両方が同じ周期のままズレている場合(1日のどこかで元気になってくる時間がある。)
2.両方が異なる周期でズレている場合(1日中すっきりしないことが多い)
3.片方だけが違う時間にズレている場合(眠気はないけどだるい、だるさはないけど眠い)

2.1 中枢時計の乱れ

中枢時計は脳の視床下部に位置する視交叉上核という部分に存在します。

目から入る光に反応しリズムを調整しています。昼夜を身体が認識する為に主に働いている時計です。

これにより、私たちは昼間に活動的で、夜にはリラックスして休むという生活リズムを保つことができます。

その為、朝に目から光が入らない(遅い時間まで寝ている)、夜に照明やスマホのバックライトなどで強い光を目から入れてしまうと、中枢時計が乱れてしまう原因になります。

1日中暗い部屋で過ごす、夜更かし、朝寝坊、夜勤、時差ボケなどにより、中枢時計が乱れることがあります。

このような中枢時計の乱れによって、昼間にだるさや眠気を感じる原因になります。

2.2 末梢時計の乱れ

末梢時計は、体内の脳以外の他の組織(肝臓、心臓、肺、腎臓など)に存在します。

中枢時計からの情報に加え、主には朝食の血糖値の変化に反応してリズムを調整しています。

末梢時計に乱れが生じると内臓が決まった時間に活動しずらくなってしまう為、例えばお昼になっても食欲がわかなかったり、食べても胃もたれ感を感じる。

活動的になって脳や筋肉に血液を送らなくてはいけないのに、内臓に血液が集中してしまいぼーっとしてしまったり、だるさや眠たくなるなどの問題が出てきます。

4. 血糖値の乱れ

血糖値というと糖尿病が有名ですが、糖尿病まで事態が深刻でない場合であっても、低血糖になるとだるさや倦怠感を強く感じることが知られています。

血糖値は食事によって摂取した糖分や元々体に蓄えていたエネルギーを肝臓などで再び取り出すことである一定に保つ仕組みになっています。

しかし、進化的に私達の身体は食事を摂らないことによる低血糖に対する抵抗性が高くなってはいるものの、頻繁に高血糖状態になってそれを下げて安定させることがあまり得意な身体になっていません。

高血糖になるとインスリンというホルモンを分泌して血糖値を下げるのですが、急激に血糖値が上がると、インスリンを多く分泌して血糖値を下げようとして、インスリンが分泌され過ぎた反動で今度は低血糖になってしまいやすくなることになります。

強いだるさは低血糖が原因になる場合がありますが、低血糖を引き起こしている原因は高血糖を頻繁に引き起こしていることにあります。

高血糖を引き起こしてしまう原因は、血糖値の上がりやすいGI値の高い食べ物の食べすぎやストレスです。

体はそれに対応するためにエネルギーを消費し、結果として低血糖からだるさや眠気を引き起こします。

特に食事の量やタイミングが不規則だと、血糖値の乱れが起こりやすくなります。

血糖値の安定が自律神経失調症の対策に大切な理由の一つです。

5.だるさや眠気への対処法

ここまで、自律神経失調症によりだるさや眠気が出てくる原因についてお伝えしてきましたが、では具体的に「だるさや眠気」を取り除くにはどうすればよいのでしょうか?

ここでは具体的な対処法について解説させて頂きたいと思います。

5.1 昼間は活動し、夜は寝る

基本的なことですが、しっかりと昼間活動し、夜はしっかりと休むということです。

朝起きて光を浴び、昼間に身体を動かすことで交感神経を刺激し、夜になったら眠る。

交感神経と副交感神経のバランスを整えるには、それぞれが最も活動的な時間帯に合わせた生活リズムを保つことが大切です。

朝起きて太陽の光を目から入れてぼーっとする。

昼間だるさや眠気が強くて運動できない場合には、日向ぼっこをすることから始めてみましょう。辛くなりすぎるとそれ自体がストレスとなって自律神経を乱してしまうことになるので、辛すぎないことから少しずつ始めてみてください。

この生活リズムを保つことで、体内時計の乱れが整いやすくなっていきます。

5.2 食事時間を守り、糖質を適正に

食事の管理も重要な対策の一つです。

朝、昼、夜の食事を一定の時間にとることで、末梢時計と血糖値が安定しやすくなります。

朝食は食欲がないという方は、お湯にアカシアのはちみつ(他のはちみつはGI値が高いのでNG)を溶いて飲むだけでも構いません。

適度な糖質摂取となるべく精製度の低い穀物(部付き米や全粒粉など)により、血糖値の急激な上昇を避けることができます。

これにより、体全体のエネルギー供給が安定し、だるさや眠気を軽減することにつながります。

糖質に関しては過剰も問題ですが、制限しすぎもエネルギー不足から低血糖になってしまう為、適正量の炭水化物は食べるようにしてください。

低血糖対策として、少量の食事を複数回に分けて食事をするようにすることも有用です。

5.3 体内時計を整える生活習慣

体内時計を整える生活習慣には、中枢時計と末梢時計両方に対するアプローチが必要です。

中枢時計は光が重要な刺激になりますので、朝起きて太陽の光を15~30分程度目から入れる、昼間はなるべく明るい場所で過ごす。

逆に日が沈んだ時間帯からは照明を若干暗くする、強い光の出るスマホ、TVなどの電子機器の使用を減らしたり、バックライトをなるべく暗くするなどが大切です。

末梢時計に関しては、朝起きて少量でもいいので、食事を摂るようにし、毎日決まった時間に食事を摂るようにすることが大切です。

5.4 鍼灸や整体で副交感神経を刺激する

夜、深く眠れていない方の場合には、体内時計がズレてしまっている以外にも、筋肉がこわばってしまい、身体が緊張していて常に交感神経が高まってしまってリラックスして眠ることが出来ていない場合があります。

鍼灸には副交感神経を刺激する作用があり、交感神経を鎮めて眠りやすい身体の状態へと導いていくことが期待できます。

副交感神経の働きが弱くなって、しっかりとした睡眠とれなくなることで発生している自律神経失調症の場合には鍼灸や整体を併用することを検討してみても良いでしょう。

6.まとめ

自律神経失調症で感じるだるさや眠気は、自律神経のバランスの乱れや体内時計の乱れ、血糖値の問題によって出てくることがあります。

これらの問題に対処するためには、昼間活動し、夜寝るという基本的な生活リズムを保つこと、食事の時間と内容を管理すること、体内時計を整える生活習慣を持つこと、そして鍼灸や整体などを併用してよい睡眠をとることが大切です。

当院での改善をご検討の方は自律神経失調症をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、カウンセリングを受けたいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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自律神経失調症
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