社会不安障害・社交不安障害・対人恐怖症・あがり症の治し方

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

人の視線が気になってしまう(視線恐怖症)、人前で話をしたり(プレゼン恐怖症)食事をする(会食恐怖症)際に緊張してしまう、見られていると手が震えて字が書けない(書痙)、すぐに緊張して顔が赤くなってしまう(赤面症)。

人にはなかなか理解してもらえず、一人で悩みを抱え込んでしまう方が多いのが社交不安障害です。

今回はそういった社交不安障害の治し方について一緒に考えていきたいと思います。社交不安障害でお悩みの方は最後まで是非ご一読ください。

結論:身体的なアプローチと心理的アプローチを併用していく地道な努力が一番の近道。

社交不安障害は10代半ばぐらいに発症してくることが多い疾患ですが、責任のある立場になった30代以降にも突然人前で話すと緊張するようになったなど、どの年代においても発症するリスクがあります。

以前は「気の持ちよう」「性格の問題」として病気として考えられていませんでしたが、SSRIというセロトニンの再吸収阻害薬を投与すると症状が緩和することから疾患として認識されるようになりました。

 

ちょっとしたことで緊張してしまう。社交不安障害は改善可能な病気です。

ちょっとしたことで緊張してしまう。社交不安障害は改善可能な病気です。

どのような状況で緊張してしまうのかにはいくつか種類があり、それぞれ名称がありますが、身体的アプローチで緊張状態を緩和しやすい状態を作り、段階的暴露療法という心理療法を用いて、制限されている事柄を克服していくことで普通に生活が出来るようになっていく疾患です。

人前で話せない・人前で話すと緊張してしまうので苦手は病気?
ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。 人前で話をしようとすると手足が震える、動悸がする、手汗がひどい、声が震える・裏返ってしまう、赤面、眩暈、気が遠のく感覚など、会社などで大勢の人の前で話をする...

最初のうちは自分でも病気かどうかの判断がつかない、自分だけおかしいのではないか?と一人で抱え込んでしまい、ネットで情報を集めて自分なりにやってみるけれど上手くいかず・・。ということを繰り返すことが多いです。

恐怖を感じる事柄から逃げ続けると、できることがどんどん制限されていってしまいますので、早めに専門家の助けを借りるようにしましょう。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)ではありませんか?

症状が出始めたきっかけが明確にある場合には社交不安障害ではなくPTSD(心的外傷後ストレス障害)の可能性があります。

PTSDは別の疾患なので専門の治療が必要です。

PTSDは別の疾患なので専門の治療が必要です。

例えば、人前で怒鳴りつけられたり、自分が話したときに笑われた、体調が悪いまま食事していて食事中に強い吐き気に苦しんだり、嘔吐してしまい周囲の人から奇異な目で見られ、誰も助けてくれなかった。などの、恥ずかしかったり、恐い体験があるとそれがトラウマとなってフラッシュバックしてしまいます。

PTSDの場合は社交不安障害のアプローチ法とは異なり、PTSDの専門家による治療が必要です。

身体的アプローチで脳内のセロトニンを増やす

社交不安障害は遺伝的に感情を落ち着かせるホルモンであるセロトニン量が少なくなりやすく、その結果不安や恐怖を感じる際に活動する扁桃体が過敏になっていると考えられています。

社交不安障害のアプローチは脳内のセロトニンを増やすことで不安感を和らげつつ、心理療法で不安への対処法を身につけていくことが大切になります。

まずは脳内のセロトニン量を増やすアプローチが必要になりますが、それだけで克服できるわけではなく、心理療法と合わせて治療を行う必要があります。

自然療法

脳内のセロトニンは合成・分泌・再吸収(分解)によって量が調整されています。

遺伝的に再吸収(分解)が活発に働きやすい方が社交不安障害になりやすいのですが、食事や生活習慣・脳血流を改善するなどを行って分泌を促進することで相対的に脳内のセロトニン量が多い状態を維持しやすくなります。

セロトニンの自然な増やし方については過去記事をご参照ください。

セロトニンを増やす方法
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薬物療法

遺伝的にセロトニンの再吸収(分解)が活発に働きやすいことが原因で、脳内のセロトニン量が低下しているので、セロトニンの再吸収を邪魔するSSRIという薬を投与することで不安感が軽減される場合があります。

しかし、SSRIは比較的副作用が出やすい薬でもあることや社交不安障害の好発年齢が10代半ばということで、脳が完成する前の年齢の方に神経に作用する薬を使うというのは賛否分かれるところです。

SSRIに対する副作用がそれほど強くない方や薬への抵抗感が少ない方は薬物療法も併用するというのは良い方法です。

不安を感じやすい場面だけリラックスさせる抗不安薬を用いるという方法もありますが、長期間の連続使用は依存形成の可能性が高まる為、身長に使用は検討する必要があります。

社交不安障害に用いられる薬物治療

社交不安障害に用いられる薬物治療

 

心理療法で社交不安障害を克服する

身体的アプローチを行ってある程度のセロトニン量が確保されてきてから、心理療法(暴露療法)を行って不安になってしまう刺激の克服を行っていきます。

暴露療法はただ漫然と行えばよいわけではなく、正しく行わないと逆効果になることがあります。

自分で暴露療法を実践しても効果が出る場合もありますが、かえって悪化するリスクもあるので、なるべく専門家に指導してもらいながら、暴露療法を行うようにしましょう。

暴露療法に失敗するパターン

不安の原因となる刺激に何度も暴露することで、扁桃体が反応しないように訓練していく暴露療法は社交不安障害の代表的な心理療法の一つです。

しかし、インターネットで暴露療法が良いというのを知り、安易に自分で暴露療法を行い悪化させてしまう方が多いのも暴露療法ではよく見かけられます。

不適切な強度での暴露療法は症状を悪化させる

不適切な強度での暴露療法は症状を悪化させる

暴露療法は不安の原因になる刺激に段階的に触れる(適切な強度で暴露する)ことで、不安を克服していく心理療法です。

しかし、この段階的にということを十分に理解しないまま不適切な強度で暴露すると、強い不安や恐怖感、パニック発作を引き起こして苦しい思いをして、私には克服できないという確信を深めてしまったり、強い不安や恐怖感からPTSDを発症させてしまうこともあります。

暴露療法に失敗してから専門家のもとに訪れたとしても、暴露療法は効果もなかったし辛いからもうやる勇気が持てない。PTSDの症状にも悩まされるようになって病態が複雑化しているなど、改善が難しくなってしまいます。

暴露療法は不安を基準に成功したかを評価しない

暴露療法は不安の原因になる刺激に段階的に触れることですが、不安感が出たか出なかったかといった不安感を評価基準としてしまうと良い結果が得られなくなってしまいます。

暴露療法における適切な強度とは、不安感や緊張感が全くでない状態ではありません。辛すぎない程度の強度を保つことが重要になります。

暴露療法を繰り返しているうちに次第に不安感は減っていきますが、不安感が減るという結果を得られるには何度も不安や緊張感を感じながらも暴露したという成功体験を繰り返す必要があります。

適切な刺激段階であれば暴露療法で、不安感を感じても不安と向き合って対処できたという成功体験となります。

その為には適切な強度で暴露療法を行うということと、暴露療法を行ったときの身体反応に適切な解釈を行うことが大切です。

適切な解釈とは、不安や緊張を感じながらも自発的に(能動的に)行動し、対処できたという成功体験です。

適切な強度での暴露療法で改善していく

適切な強度での暴露療法で改善していく

暴露療法を行った際に、不安感や緊張感が出たから失敗したと解釈してしまうと失敗体験の記憶になってしまいます。

成功体験を積むことで不安・緊張の原因になる刺激に対して自分は対処できるという自信を強くしていくことが克服していくことになりますが、何を成功体験をするのか?を正しく認識する事も必要になります。

認知行動療法で自分の思考の癖を振り返る

社交不安障害の方は、緊張しそうな場面になると心臓の鼓動が早くなる、体がこわばる、顔が熱くなるなどの自分の身体的な変化に意識がフォーカスしてしまいます。

実際に周囲の人が全く気が付いていなかったとしても、相手に緊張しているのがばれているのではないか?と「他人から自分がどう見られているのか?」「自分の身体の緊張状態がどうなっているのか?」にすべての意識が集中してしまっています。

現実を正しく認知する能力が低い傾向があり、自分の頭の中で作り出した想像と現実が混ざってしまっていることが多くあります。

こういった想像と現実にズレが生じやすい場合には想像と現実のズレを認識するという認知行動療法を合わせて行っていくことが有効になります。

養育環境を振り返ることも大切です

社交不安障害を含む不安障害は乳幼児期の養育環境によって発症しやすいことが報告されています。

過保護、過度のしつけ、情緒的な交流が少ない、批判的な言葉が多い、両親夫婦仲が悪い、心理的・精神的虐待などです。

これらはマルトリートメント(不適切な養育)といわれ、子供の脳の発達に悪影響を与え、MRIなどで脳の画像検査を行うと、脳が変形して発達することが指摘されています。

乳幼児期の養育環境が不安への抵抗性に大きな影響を与える。

乳幼児期の養育環境が不安への抵抗性に大きな影響を与える。

マルトリートメントの影響は大人になっても影響が消えないことが多く、不安障害などの精神疾患の発症率が高まることが知られています。

患者さんが子供の場合は子育て方針や子供との接し方を親御さんが修正することで改善していくことが可能ですが、大人の場合には認知行動療法をはじめとした心理療法を行って改善を行っていく必要があります。

当院での改善をご検討の方は社交不安障害をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、生活習慣や改善について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。