セロトニンを増やす方法

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

幸せホルモンとして有名になったセロトニンですが不足すると自律神経失調症、うつ病、適応障害、不安障害(パニック障害、全般性不安障害)などの原因になります。

サプリを試したり、ネットに書かれているセロトニンの増やし方を実践しているけれどいまいち効果を実感できない。

今日は実践しているのに効果を実感しずらいセロトニンの増やし方を一緒に考えていきたいと思います。最後まで是非ご一読ください。

結論:食事・睡眠・運動・規則正しい生活をおくろう。

セロトニンが脳内で増えるためには、セロトニンの原材料になる栄養を摂取し、その原材料を加工してセロトニンを合成。そして、合成されたセロトニンを分泌するという、一連の流れがスムーズに行われる必要があります

例えば、原材料が食事から摂取出来ていない状態で、セロトニンの分泌を促す散歩を頑張っても、分泌するセロトニンそのものが不足しているので、脳内のセロトニンは増えていきません。

その為セロトニンを増やすためには、セロトニンの原材料の摂取、セロトニンの合成、セロトニンの分泌の3つの条件をすべてクリアする必要があります。

あなたの脳内のセロトニン量が減っている原因が、原料不足にあるのか、合成不足にあるのか、分泌不足のいずれにあるのかを調べる方法はありませんので、これら3つの条件を満たしているか、チェックしてみましょう。

セロトニンの原材料の摂取不足

セロトニンの原材料は、トリプトファン(必須アミノ酸:タンパク質)、ビタミンB群(葉酸ナイアシンビタミンB6)炭水化物です。

セロトニンを増やすにはバナナを食べると良いという情報をご存知の方も多いと思いますが、その理由は、この栄養をすべてを含んだ食品だからです。摂取されたトリプトファンは鉄、ビタミンB群の力を借りながらセロトニンへと変化していきます。

脳内でセロトニンを合成するのに必要な栄養素

脳内でセロトニンを合成するのに必要な栄養

トリプトファンが脳内に取り込まれるときはブドウ糖(炭水化物)と一緒に取り込まれるため、炭水化物を摂取しないと脳内のトリプトファンが不足してしまい、脳内のセロトニンは増えません。

脳内に入るトリプトファンは腸から吸収される全体の数パーセント程度だといわれており、タンパク質摂取量が不足している人ではまずは動物性、植物性を問わずまずはタンパク質摂取を増やし、その後徐々に動物性と植物性が1:1の割合になるように摂取しましょう。

1日に必要な摂取量は体重×0.9gで計算しましょう。

例)体重50kgの方の場合は、50×0.9=45g。(卵換算で3.75個)

トリプトファンは肉に多く含まれますが肉にはBCAA(アミノ酸)が含まれており、BCAAがトリプトファンよりも優先的に脳の中に入ってしまう為、脳内へのトリプトファンを増やしたい場合にはBCAAが少ない植物性たんぱく質のトリプトファンが重要になります。

豆乳、豆腐や大豆、湯葉などがお勧めです。

※タンパク質を細かく分解したものがアミノ酸です。

セロトニンの合成不足

1.光

セロトニンの合成は光が目の網膜に入る刺激によってスイッチが入ります。

うつ病の患者さんに、太陽の光を浴びるようにといわれる理由はこのセロトニン合成のスイッチを入れる為です。

雨や曇りの日には光の量が減って暗くなるため、光治療器で人工的に3000ルクス以上の光を目から入れるということでも効果が得られることがわかっています。

しかし、私達の身体は太陽光に反応するように進化していることを考えると、太陽の光を浴びるのが一番です。

太陽光

太陽光

2.睡眠

睡眠が不足していると、セロトニンを合成する脳幹にある縫線核の神経細胞に疲労がたまったままになり、合成が上手くいかなくなってしまいます。

また、睡眠にはセロトニンから作られるメラトニンが重要な役割を果たすため、睡眠障害を伴う場合にはセロトニン合成をスムーズに行うことの難易度は飛躍的に高くなります。

セロトニンを合成には睡眠が大切

セロトニンを合成には睡眠が大切

3.腸内環境を良くする

腸内環境が脳内のセロトニン合成に影響を与えていることが近年の研究で続々と報告されるようになってきました。

基本は水溶性と不溶性の食物繊維を毎日しっかりと食べ、食事によって毎日程よい固さのお通じがあるのが良いです。

腸が正常に動いて腸内環境が整っているとセロトニン合成に  必要な栄養が吸収されやすい

腸が正常に動いて腸内環境が整っているとセロトニン合成に必要な栄養が吸収されやすい

しかし、食事の問題ではなく腸が固くなって動きが悪い(腸は筋肉でできています)ことが原因の便秘や下痢が多い場合には、鍼を行って内臓の調子を整えることも必要になってきます。

4.脳血流の改善

脳への血流は前後左右で計4本の動脈によって行われています。

首の前と首と頭の付け根の筋肉の過度な緊張は、この動脈の血管を圧迫して脳への血流を邪魔する原因になります。

首肩こりで脳への血流が悪くなるとセロトニン合成に悪影響が出やすくなる

首肩こりで脳への血流が悪くなるとセロトニン合成に悪影響が出やすくなる

血流が悪くなればそれだけ原材料も運ばれる量が減り、原材料を加工するのに必要なエネルギーや酸素も不足します。セロトニン合成の為の神経細胞の働きそのものが低下することになります。

鍼灸を行うとセロトニンの分泌が促されるという研究もされていますが、物理的に血管近くの首こりがある場合には、首こりの改善を行うことには合成の観点からいっても重要です。

5.ビタミンB群、ビタミンC、鉄、炭水化物

この4つの栄養素は(セロトニンを合成する神経を含めた)神経細胞が働くために特に必要な栄養素となります。

ビタミンB群、ビタミンCは水溶性であるため、体内にとどまっている時間が少ないので1日に何度も意識して摂取する必要があります。

また、炭水化物は低GI(または低GL)の血糖値が上がりにくい食品を最低3~6回程度に分けて食べることで血糖を安定させ神経細胞にエネルギー(ブドウ糖)が供給され続ける状況を作り出しましょう。

砂糖や精製された穀物類は血糖値が急上昇した後に、その反動で低血糖になることがあります。(インスリンスパーク)この低血糖状態は神経細胞にエネルギーが供給されない状態なので、低血糖の状態はセロトニンの合成も分泌も行われにくくなりますので、あまりお勧めはできません。

鉄は蓄積する栄養素の為、過剰にならないように場合によっては病院で血液検査を受けながら食事の中に取り入れていきましょう。

セロトニンの分泌不足

セロトニンの分泌に関してはプラス刺激とマイナス刺激があります。

プラス刺激をしても、マイナス刺激が加わったままでは打ち消しあうかマイナスになって効果がありません。
まずはマイナス刺激を取り除いたうえで、プラス刺激を行うことがセロトニンを増やす近道になります。

1.セロトニンの分泌マイナス刺激

セロトニンの分泌を低下させる一番の原因がストレスです。

しかし、ここでいうストレスというのは一般的に思われている、心理的なストレスだけではなく、生物的ストレスも含まれます。

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例えば、暑い、寒い、湿度が高い・低い、気圧の変化、悪臭、騒音、体の痛みや他の自律神経症状などが身体的なストレスとなります。

もちろん、心理的なストレスは可能な限り取り除くことは望ましいので、あなたのことを大切に扱わない人からは距離をとるというのが大切ですし、一人であれもこれも責任を背負い込んでいるのであればその責任から逃れることから始めましょう。

2.セロトニンの分泌プラス刺激

セロトニンの分泌は意識的なリズム運動によって促進されることがわかっています。すぐに始められるのは

・散歩
・よく噛んで食べる(ガムを噛んでいるのもOK)
・意識的な呼吸

の3つがおすすめです。

散歩・呼吸・よく噛んで楽しく食べるはセロトニンの分泌を促す

散歩・呼吸・よく噛んで楽しく食べるはセロトニンの分泌を促す

人や動物と肌が触れ合うこと(皮膚刺激)でも分泌が促進されますので、家族でのスキンシップやペットと触れ合う、鍼灸やマッサージなどのも良いです。

ポイントは心地いいことです。プラス刺激を一生懸命やりすぎるあまりそれがマイナス刺激にならないよう、心地よくやれることから始めていきましょう。

セロトニンの分泌はそれほど特殊なことをしなくても促進されます。

もともと皮膚を少しなでるだけでもセロトニン分泌は増えますので、特殊なことをしなくてもよいことは覚えておきましょう。

セロトニンを増やすのは基本的な生活習慣

色々と細かく解説しましたが、要約すると

バランスの取れた食事、規則正しい生活リズム、適度な運動、睡眠という基本的な生活習慣を整えることがほぼ全てです。

例外的に首こりから脳への血流が悪くなっていたり、腸の動きがおかしくなっていたり、心理的な問題を自分でコントロールできない状態の場合には専門家の手助けが必要ではあります。

しかし、そういった手助けも基本的な生活習慣が崩れていては効果がありません。

あなたの健康を守れるのはあなただけであることを忘れないでください。

当院での改善をご検討の方は自律神経失調症適応障害パニック障害全般性不安障害うつ病をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、生活習慣や改善について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。