心と自律神経を整える低血糖ケア

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

血糖と聞くと糖尿病を指摘されたことがないから関係ないと思うかもしれませんが、全くそのようなことはありません。

細胞は血液から供給される糖(血糖)をエネルギー源としている為、血糖値が安定していないとエネルギーが安定供給されません。

鬱やパニック障害、胃腸障害、めまいなど自律神経症状でお悩みの方が正しく低血糖ケアを行うと症状が安定してくる場合も多いです。

今回はそんな血糖ケアについて一緒に考えていきたいと思います。自律神経症状でお悩みの方、うつ、不安な感情でお困りの方は、最後まで是非ご一読ください。

結論:低血糖ケアを行うことは、神経の問題全般に有効な方法

私達の体はブドウ糖、脂質、タンパク質(アミノ酸)など様々な物質からエネルギーを得ることができます。

しかし、神経細胞はブドウ糖ケトン体(脂質)の二つしかエネルギーとして利用することができない細胞です。

ケトン体(脂質)は炭水化物(糖)が体に不足した状態のときのみ働く特殊な代謝系なので、普通の食事では実質的にブドウ糖しか神経細胞はエネルギーとして利用できません。(ケトン体をエネルギーとして使う(ケトジェニック)場合は特殊な食事管理を行う必要があるので、専門家の管理のもと行うことが大切です。)

神経細胞は血中のブドウ糖(グルコース)にエネルギーを依存している

神経細胞は血中のブドウ糖(グルコース)にエネルギーを依存している

その為、血糖が安定している(ブドウ糖が安定供給される)ことで、神経が常に働くことができる状態が維持できます。

神経細胞は細胞内にエネルギーを貯蔵しておくことが出来ない細胞の為、エネルギー供給を完全に血糖に頼っています。

その為、低血糖状態は神経細胞にとっては急にエネルギー不足を引き起こされ、ダメージを受けてしまいますので、自律神経の問題を抱える方は低血糖状態を作らないことがとても大切になります。

低血糖を防ぐシステムが環境の変化により乱れやすい

私たちの祖先は、低血糖になると全身の細胞にエネルギーが供給されなくなり、活動できなくなってしまう為、低血糖を防ぐシステムを進化させてきました。

血糖を下げるホルモンはインスリン一つしかないのに対して、血糖を上げて低血糖にならないように働くホルモンは成長ホルモン、副腎皮質ホルモン(コルチゾール・アルドステロン)、副腎髄質ホルモン(カテコールアミン)、甲状腺ホルモン、グルカゴン、ソマトスタチンなど実に多くの種類があります。

私達の身体は純度の低い炭水化物からエネルギーを摂取して、低血糖になりやすい環境に適応しています。

その為、現代のように炭水化物の精製技術が発達し、純度の高い精製された炭水化物を豊富に得られる環境になったことで、急激な血糖の上昇を頻繁に引き起こすような食生活へと切り替わっていきました。

急激な血糖の上昇の度にインスリンが大量に分泌(インスリンスパーク)されることで、今度は大量に分泌されたインスリンの作用で血糖が急激に下がって低血糖を引き起こしてしまう現象を引き起こしてしまいます。

急激な血糖値の上昇は過剰に分泌されたインスリンにより低血糖を引き起こす

急激な血糖値の上昇は過剰に分泌されたインスリンにより低血糖を引き起こす

この血糖値の乱高下が血糖を安定化するシステムの乱れを引き起こすようになり、完全に破綻した状態を糖尿病といいます。

神経は血糖にエネルギーを頼っている

神経細胞は細胞内にエネルギーを貯蔵できない細胞です。

筋肉などは細胞内にエネルギーを貯蔵しているため、低血糖状態になっても貯蔵しているエネルギーを使って活動することができますが、神経細胞はエネルギーを貯蔵できないため血液中のブドウ糖にそのエネルギー供給を頼っています。

神経細胞は血糖からエネルギーを供給し続けてもらっている

神経細胞は血糖からエネルギーを供給し続けてもらっている

神経細胞が集合している場所が、脳ですから、低血糖状態が定期的に発生している場合には脳の活動に悪影響を与えることになります。

その結果、脳が主に担当している自律神経の調節、感情の調節、思考、感覚器(視覚、聴覚、平衡感覚など)といった機能に問題が発生してきます。

低血糖は神経の働き全般に悪影響を与えてしまうので、低血糖を防ぐことが感情の安定、自律神経の安定には不可欠なのです。

低血糖を引き起こす原因

低血糖を引き起こす原因は血糖を下げるインスリンの働きだけでなく、血糖を維持するための血糖を上げるホルモンが不安定になることでも発生してきます。

ここでは、低血糖を引き起こす原因について紹介していきます。

基本は3食の食事をバランスよく食べることです。

インターネットで特殊な食事法を見つけて実践する前に、小学校の家庭科の授業で習う基本的な食事を心がけましょう。

基本の朝昼夕の3食は規則正しく食べましょう。

基本の朝昼夕の3食は規則正しく食べましょう。

急激な血糖の上昇

急激に血糖値が上昇すると、その血糖値を下げるために、インスリンが大量に分泌されます。その結果インスリンの作用により血糖値が下がります。

問題になるのは、大量にインスリン分泌されたことで適正な血糖値に戻るのではなく、血糖値が下がりすぎてしまうことです。(インスリンスパーク)その結果低血糖が引き起こされます。

精製度の低い穀物(炭水化物)を食べていた祖先の環境では、急激な血糖値の上昇はほとんど起こりませんでした。

しかし、文明が発達し科学力によって私達は砂糖、小麦、白米など、精製度の高い穀物が手軽に安く手に入る現代の食を取り巻く環境を手に入れました。

環境が変化したことで通常ほとんど起こりえなかった、頻繁に急激な血糖値の上昇が起こるようになり、それがインスリンの過剰分泌による低血糖を引き起こす原因になります。

過度な糖質制限

ダイエットを目的に糖質制限をされる方が増えましたが、不十分な知識から安易に糖質制限を行うことで低血糖を引き起こしてしまい、神経にダメージを与えてしまっているケースが見受けられます。

炭水化物をエネルギーとして使わない代謝は脂質をエネルギーとして代用する脂質代謝を行う必要がありますが、ビタミンなどの消費も激しい為、素人が行えるほど食事管理が簡単なものではありません。

安易に糖質制限を行うことで低血糖を招きやすくなります。

オートファジーを狙った断食

オートファジーを狙った断食や1日1食を行うと、古くなったタンパク質が分解されて調子が良くなる。

サーチュイン遺伝子が動き出して老化を防止してくれるという研究がなされていますので、体調不良で悩まれている方は取り組まれた方もいらっしゃるかもしれません。

元々食べすぎの肥満の方であれば、体に蓄えているエネルギーを放出させるということでこういった食事を減らす健康法は行うことに一定の意味があるのですが、もともと痩せ気味の方(BMIが22よりも低い方)は飢餓状態になり、単純に体に悪いことも多いです。

食事をとらないと体調が良くなるのは消化吸収に使うエネルギーを他の活動に振り分けることができる為、体調が良いと感じますので、標準体重の方がどうしても行う場合には、ここぞ!というときにだけ使うに留めましょう。

不規則な食事タイミング

朝食を抜いたり、仕事が忙しいなどで食事の時間が安定しないことで、次の食事までにエネルギーを使いきってしまい低血糖を引き起こすことになります。

食事の回数は3回程度は確保したいところです。

食事の回数が増えることと、食事量が増えることは別なので、少ない食事をこまめにとることは低血糖予防には効果があります。

運動不足

運動不足はエネルギー代謝を悪くさせてしまうことから、血糖のコントロール機能が低下してしまいやすくなります。

特に無酸素運動ではなく、エネルギーを大量に消費する有酸素運動が重要です。

心身のストレス

人間の体は精神的、心理的ストレスを受けると、血糖を上げてストレスに抵抗しようとする反応が出ます。

このストレス反応は捕食動物がそばにいるときに素早く戦うか逃げるかを行う為に発達したシステムで、ストレスを受けた後には戦うか逃げるかでエネルギーを消費することになるのですが、現代のストレスは戦うか逃げるかでエネルギーを消費することがないストレスがほとんどです。

その為、ストレスによって血糖に乱れだけが発生し、本来は戦うか逃げるかで消費される予定だった血糖を再び下げるためにインスリンが分泌されて低血糖状態を引き起こしやすくなってしまうのです。

血糖コントロールの遺伝的要因

血糖のコントロールが上手な人、苦手な人というのは遺伝子である程度決まっています。

精製度の高い穀物を沢山食べても、特に問題ない人もいれば、砂糖を少し食べるだけで血糖が乱れて体調不良が出やすい方まで様々です。

低血糖ケアが必要な方は後者で、低血糖ケアはすべての方に必要なものではありませんが、自律神経失調症、うつ病、不安障害などの疾患に悩まされる方の多くは後者の体質の方が多く見受けられます。

低血糖の改善方法

低血糖はここまでご紹介してきたことが原因となって引き起こされますので、それぞれに対策を行うことで改善を行うことができます。当院でお勧めしているいくつかの改善方法についてご紹介していきます。

食事回数を増やす

1日トータルでの食事量は変えませんが、食事回数を増やすことで低血糖を予防することが期待できます。

まずは3食食べるという習慣がない方は3食からスタートして、その次に食事と食事の間に2~3回ぐらいの補食をはさむようにしていきます。

当院でお勧めしているのは 朝食、午前10時、昼食、午後3時、夕食、20時といった具合に3食の食事に補食として2~3時間後に補食をはさむようにお勧めしています。

仕事をしていても午前の休憩時間と午後の休憩時間に補食を入れれば実現可能です。

寝る直前に血糖を上げすぎると睡眠を妨げるので寝る時間の2時間前ぐらいに補食は済ませておきましょう。

低GI/GLの炭水化物を中心にする

インターネットでGI値と調べると50gの炭水化物を摂取した際に最も血糖値の上がりやすい食品を100とした血糖値の上がりやすさを数値化したグリセミックインデックス(GI)を調べることができます。

GIは50gの炭水化物で単位を統一していますので、もっと使いやすいように一般的な量を食べる量に換算しなおした血糖値の上がりやすさを示したものがGL値です。

例えばにんじんのGIは80ですが、GLに修正すると6です。

GLはあくまでも一般的な量ですから、たくさんニンジンを使った料理を使えば血糖値は上がりやすくなりますので注意が必要です。

ストレス管理

身体的なストレスは、環境を調節することで回避することが可能です。気温によるストレスであればエアコンの利用や衣服で調整するなど。

湿度も除湿器やエアコンで環境をコントロールすることが可能です。

心理的ストレスの場合には、ストレスの原因(例えば苦手な人や嫌いな仕事など)から物理的に距離をとるといった、環境の調節を行えるならまずはそういったことから行います。

それと同時に、認識(認知)の歪みによって過剰なストレスがかかっている場合には認知を修正していく心理療法を行っていくことで、ストレスを軽減していきます。

また、運動にはストレス解消効果がありますので、定期的な運動もお勧めです。

当院での改善をご検討の方は自律神経失調症をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、生活習慣や改善について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。