セロトニンを増やす方法
結論:食事・睡眠・運動・ストレス管理をベースにリズム運動を取り入れましょう。
自律神経失調症・パニック障害・うつ病などはすべてセロトニン不足が関与していると考えられています。
脳内のセロトニンを増やすためには、以下の一連の流れがスムーズに行われる必要があります。
2.脳内で原材料を加工してセロトニンを合成する。(光)
3.合成されたセロトニンを分泌する。(リズム運動)
例えば、原材料が食事から摂取出来ていなければ、分泌する為のセロトニンがどこにもないので、セロトニンの分泌を促す散歩を頑張っても、脳内のセロトニンは増えていきません。
あなたの脳内のセロトニン量が減っている原因が、原料不足にあるのか、合成不足にあるのか、分泌不足にあるのかは不明ですが、食事・睡眠・運動・ストレス管理を行いセロトニンが適切に分泌されるようになれば、改善していくことができます。
セロトニンの原材料の摂取不足
脳内のセロトニンの原材料は、トリプトファン(必須アミノ酸:タンパク質)、鉄、ビタミンB群(葉酸、ナイアシン、ビタミンB6)、炭水化物です。
セロトニンを増やすにはバナナを食べると良いという情報をご存知の方も多いと思いますが、その理由は、必要な栄養素をすべてを含んだ食品だからです。
摂取されたトリプトファンは鉄、ビタミンB群の力を借りながらセロトニンへと変化していきます。
トリプトファンが脳内に取り込まれるときはブドウ糖(炭水化物)と一緒に脳内へ取り込まれるため、炭水化物を一緒に摂取しないと脳内のトリプトファンが不足してしまいます。
脳内に入るトリプトファンは腸から吸収される全体の数パーセント程度だといわれており、タンパク質摂取量が不足している人ではまずは動物性、植物性を問わずまずはタンパク質摂取量を増やして、脳に送られるトリプトファンの量を増やしてから、徐々に動物性と植物性が1:1の割合になるように調整していきましょう。
1日に必要なタンパク質の摂取量は体重×0.9gです。
例)体重50kgの方の場合は、50×0.9=45g。(卵換算で3.75個)
トリプトファンは肉に多く含まれますが肉にはBCAA(アミノ酸)が含まれており、BCAAがトリプトファンより先にブドウ糖と脳の中に入ってしまう為、脳内へのトリプトファンを送るにはBCAAが少ない植物性タンパク質のトリプトファンが重要になります。
豆乳、豆腐や大豆、湯葉などがお勧めです。
セロトニンの原料を摂取する前に、基本的な食事ができていることが大切なので、効果を得るにはまずはバナナよりも先に三大栄養素を整えるようにしましょう。
※タンパク質を細かく分解したものがアミノ酸です。
セロトニンの合成不足
1.光
セロトニンの合成は光が目の網膜に入る刺激によってスイッチが入ります。
うつ病の患者さんに、太陽の光を浴びるようにといわれる理由はセロトニン合成のスイッチを入れる為です。
雨や曇りの日には光の量が減って暗くなるため、光治療器で人工的に3000ルクス以上の光を目から入れるということでも効果が得られることがわかっています。
2.睡眠
睡眠が不足していると、セロトニンを合成する脳幹にある縫線核の神経細胞に疲労がたまったままになり、合成が上手くいかなくなってしまいます。
デジタル機器の長時間使用はドーパミンを分泌して脳を覚醒状態で維持してしまう為、1日1~2時間以内の使用にとどめ、日が沈んでからは使用しないようにしましょう。
3.腸内環境を良くする
腸内環境が脳内のセロトニン合成に影響を与えていることが近年の研究で続々と報告されるようになってきました。
水溶性と不溶性の食物繊維を毎日しっかりと食べ、食事によって毎日程よい固さのお通じがあるのが良いです。
しかし、食事の問題ではなく交感神経優位によって、腸が固くなって動きが悪い(腸は筋肉でできています)ことが原因の便秘や下痢が多い場合には、鍼灸を行うなどの医療的な介入によって内臓の調子を整えることが必要な場合もあります。
4.脳血流の改善
脳への血流は前後左右で計4本の動脈(総頚動脈・椎骨動脈)によって行われています。
首の前と首と頭の付け根の筋肉の過度な緊張は、この動脈の血管を圧迫して脳への血流を邪魔する原因になります。
血流が悪くなると、原材料も運ばれにくくなり、セロトニン合成に必要なエネルギーや酸素も不足します。
鍼灸により首こりを改善すると自律神経系の症状が改善することが、松井孝嘉医師(東京脳神経センター)により多数報告されています。
5.ビタミンB群、ビタミンC、鉄、炭水化物
この4つの栄養素は(セロトニンを合成する神経を含めた)神経細胞が働くために特に必要な栄養素となります。
ビタミンB群、ビタミンCは水溶性であるため、体内にとどまっている時間が少ないので1日に何度も意識して摂取する必要があります。
また、炭水化物は低GI(または低GL)の血糖値が上がりにくい食品を最低3~6回程度に分けて食べることで血糖を安定させ神経細胞にエネルギー(ブドウ糖)が供給され続ける状況を作り出しましょう。
砂糖や精製された穀物類は血糖値が急上昇した後に、その反動で低血糖になることがあります。
低血糖状態は神経細胞にエネルギーが供給されない状態なので、セロトニンの合成も分泌も行われにくくなりますので、低血糖を起こさない食事管理が重要です。
セロトニンの分泌不足
セロトニンの分泌に関しては分泌を促すプラス刺激と分泌を抑制するマイナス刺激があります。
プラス刺激をしても、マイナス刺激が加わったままでは打ち消しあってしまったり、マイナスになってしまい効果がありません。
まずはマイナス刺激を取り除いたうえで、プラス刺激を行うことがセロトニンを増やす近道になります。
1.セロトニンの分泌マイナス刺激
セロトニンの分泌を低下させる一番の原因がストレスです。
しかし、ここでいうストレスというのは一般的に思われている、心理的なストレスだけではなく、生物的ストレスも含まれます。
例えば、暑い、寒い、湿度が高い・低い、気圧の変化、悪臭、騒音、体の痛みや他の自律神経症状などが生物的ストレスとなります。
もちろん、心理的なストレスは可能な限り取り除くことは望ましいので、あなたのことを大切に扱わない人からは距離をとるというのが大切です。
一人であれもこれも責任を背負い込んでいるのであればその責任から解放されることから始めましょう。
2.セロトニンの分泌プラス刺激
セロトニンの分泌は意識的なリズム運動によって促進されることがわかっています。すぐに始められるのは
・散歩
・よく噛んで食べる(ガムを噛んでいるのもOK)
・意識的な呼吸
の3つがおすすめです。
人や動物と肌が触れ合うこと(皮膚刺激)でも分泌が促進されますので、家族でのスキンシップやペットと触れ合う、鍼灸やマッサージなどのも良いです。
ポイントは心地いいことです。
プラス刺激を行わなくてはいけないと強迫観念にとらわれているとマイナス刺激になってしまいますので、心地よくやれる範囲で行っていきましょう。
皮膚を少しなでるだけでもセロトニン分泌は増えますので、特殊なことをする必要はありません。
セロトニンを増やすのは基本的な生活習慣
セロトニンを増やすには、バランスの取れた食事、適度な運動、睡眠、ストレス管理という基本的な生活習慣を整えることがほぼ全てです。
首こりから脳への血流が悪くなっていたり、腸の動きがおかしくなっていたり、心理的な問題を自分でコントロールできない状態の場合には専門家の手助けが必要になります。
あなたの健康を守れるのはあなただけであることを忘れないでください。
当院での改善をご検討の方は自律神経失調症、適応障害、パニック障害、全般性不安障害、うつ病をご覧ください。
遠方で来院が難しいけれど、生活習慣や改善について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。