モラハラを受けて体調不良になるメカニズムと対策

ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。

自律神経の乱れに悩まされるきっかけで比較的多いのがモラルハラスメント(以下:モラハラ…倫理・道徳に反した嫌がらせ)です。職場やパートナー、義両親などからモラハラ被害を受けていて、そのストレスから自律神経系の体調不良に悩まされてしまう方は少なくありません。

今回はモラハラを受けて体調不良になるメカニズムと対策について一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までお読みください。

結論:モラハラは長期ストレスになりやすい為、自律神経への負担が大きい。

職場や家庭内でモラハラを受けていて、その結果、適応障害・うつ病・パニック障害・社交不安障害・全般性不安障害・睡眠障害・自律神経失調症など、自律神経系の問題を抱えて来院される方は少なくありません。

モラハラは職場や家庭内など、長期的に関わり続ける必要のある人間関係で発生することが多く、その結果、精神的なストレスが長期化しやすくなる傾向があります。

自律神経は短期的なストレスに対しては強いのですが、長期的なストレスには非常に弱い特性があるため、モラハラをきっかけとして自律神経の問題を抱えられる方は少なくありません。

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また、モラハラを受けやすい人というのは、「自分が悪いから・・・」と責任を自分に持ってくることで他者との衝突を避けるコミュニケーションパターンを持っている方が多いです。

その為、モラハラを受けていることに本人も気が付いていないことが多く、自分が努力して頑張れば認めてもらえると信じて頑張り続けた結果、自律神経が耐え切れなくなって深刻な状態まで悪化してしまうことも多いです。

自律神経は一度大きく破壊してしまうと、完全に元の状態に戻すことが難しくなるため、なるべく早い段階で、モラハラを受けていることに気が付いて適切な対策をとることが大切です。

モラハラに耐え続けることで、一生自律神経の問題を抱え続ける人生にしないように注意しましょう。

長期ストレスが自律神経にダメージを与えるメカニズム

モラハラは精神的な虐待を受けることになるため、心理ストレスを受け続けることで自律神経系に悪影響が出てきます。

私達の体は脳の奥にある視床でストレスであるかどうかを判断し、ストレスだと判断されると交感神経を高める命令と副腎からコルチゾールというホルモンの分泌を促して、血糖値を高める、交感神経を刺激するという二つの命令を全身に伝えます。

その結果、闘うか・逃げるかといった身体行動を起こしやすい状態になるようにできています。

しかし、心理ストレスは実際に筋肉でエネルギーを消費して戦ったり、走って逃げるわけではありません。

コルチゾールは体の中のエネルギー消費を活発化させますが、高濃度の血中コルチゾールが長期間継続していると、脳の神経細胞を破壊することがわかっています。

その為、コルチゾールの分泌が過剰にならないように、コルチゾールが分泌されすぎている場合にはコルチゾールの分泌を減らすようにする機能が体には備わっています。(HPA系)

しかし、長期間のストレスはこのHPA系の調節作用を乱すことがわかっています。

つまり、ある程度の状態までは長期ストレスにも耐えることが出来ますが、HPA系の調節機能の破綻が起こってしまうと、交感神経刺激が持続して止められなくなってしまいます。

その結果として、自律神経に問題が生じ、症状によって適応障害や不安障害、睡眠障害、うつ病など様々な病気を引き起こします。

HPA系が破綻するより前に、モラハラによる長期ストレスを取り除くことが出来るかどうかがとても重要になってきます。

モラルハラスメントに気づく

モラハラを受けやすい人の特徴は、思いやりがあり、優しく、周囲に対する気遣いができる、人との衝突を避けるなどの方が多いといわれています。

人としては良い性格特性なのですが、モラハラ加害者からはモラハラを行っても反撃してこない攻撃しやすい相手と認識されてしまいやすい傾向でもあります。

モラハラの加害者は深層心理的には自分に自信のない、自己肯定感が低い人がなりやすいとされています。自分の自信のなさ、自己肯定感の低さを他者を支配することで埋めようとするのです。

モラハラを受けていると自覚できる人はモラハラに対して対処ができるのですが、そもそも「自分の実力がないから叱られる」「私が成長するように厳しく言ってくれている」など、優しい性格からモラハラ加害者に対して怯えこそあれ、怒りを感じていない方も少なくありません。

あなたが嫌な気分になっているという時点で、モラハラではないか?ということを一度立ち止まって考えてみることがとても大切です。

モラハラ加害者は「あなたが悪い」と巧妙に洗脳するような言動や行動をとることが多く、気が付かない間に「私が悪いから・・・」と洗脳を受けてモラハラに気が付かないでずるずる自律神経を破壊していってしまっていることがあるので注意してください。

モラハラに気が付いたら物理的に離れる

モラハラを受けていることに気が付いたら、直ちに物理的に離れることが大切です。

程度にももちろんよりますが、職場であれば上司(モラハラをしているのが上司であれば上司の上司)に相談して部署異動をしてもらう。

彼氏・彼女の関係性であれば別れる。夫婦・義両親であれば、なるべく離れた部屋で生活する。子供を連れて実家に避難するなどです。

一番解決が難しいのは、夫婦で経済的にパートナーに依存している状態で、実家も離れていて逃げるに逃げられない状況です。

当院でもモラハラから体調不良になってしまっている方を多く診させていただくのですが、初期であれば安全な環境を構築し、適切な休養をとることで自律神経の問題はほぼ問題ないレベルまで改善されていきます。

しかし、モラハラを受け続ける環境で生活されている方の場合は、改善例はほとんどありません。ほとんどの場合、抗不安薬など症状を抑える薬を使い続けてなんとか生活を維持しているという状態になります。

モラハラを受ける環境に身を置いたまま、自律神経の問題だけ改善していくことはできません。

モラハラ環境から離れても体調不良が継続する

モラハラを受けている環境から離れたら、すぐに体調が回復するという場合もありますが、体調不良が継続してしまう場合には、受けたダメージを回復させる必要があります。

交感神経優位な状態が長期間続くと、全身の筋肉がこわばっていることが多く、この筋肉のこわばりが生物的ストレスを引き起こしてモラハラが取り除かれ、心理ストレスが軽減した状態でも症状が持続してしまう場合があります。

生物的ストレスに対しては鍼灸施術などで、物理的に筋肉を緩めて副交感神経を刺激して、睡眠がとりやすい状態に誘導し、十分な休息をとることで改善されやすくなっていきます。

あまりにもHPA系の機能が低下してしまっている場合には、抗うつ薬など薬物療法で強引に引き戻すことが必要なケースもあるため、予防が一番大切ということに変わりはありません。

まとめ

自律神経の問題を抱えるきっかけとして、モラルハラスメントを受けた結果体調不良になる方が少なくありません。

モラハラは長期的な人間関係の間で発生することが多い為、長期ストレスになりやすく自律神経が乱されやすいタイプのストレスです。

自律神経を一度破綻させてしまうと元に戻すことが難しくなる為、早期にモラハラに気が付き適切な対処を行うことがとても大切です。

ストレスが加わることでコルチゾールというホルモンが分泌されますが、このホルモンが過剰に分泌される状態が持続すると神経細胞を破壊することがわかっています。

その為、過剰に分泌された状態にならないようにストッパー(HPA系)がついていますが、このストッパーも長期的にストレスにさらされるとやがて機能が低下し、破綻してしまいます。

HPA系の破綻よりも先にモラハラによる心理ストレスを取り除くことが予防に非常に重要になります。

モラハラを受け易い性格があり、またその性格から、モラハラを受けていることに気が付いていない場合もあります。

モラハラは自分には関係ないと考えず、嫌な気分になっているときはモラハラを受けているのではないか?と立ち止まって考えてみることがとても重要です。

モラハラに気が付くことがとても重要なのです。

モラハラを受けている場合には、モラハラ加害者から物理的に離れることが対策として重要になります。

夫婦関係で経済的に自由がない状態の場合は、逃げられずずるずると状態を悪化させていきたいので注意が必要です。

モラハラ環境から離れることで回復していくことも多いですが、長期間ストレスを受けていた場合には、心理ストレスから身体の状態が悪くなって生物的ストレスも受けるようになっている為、そちらのケアも必要になる場合があります。

鍼灸などの自然療法で対応できる範囲であれば、全身のこわばりを改善してリラックスして生活していくことで回復していきますが、HPA系の低下が深刻な場合は薬の使用も必要が場合があります。

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