社会不安障害・社交不安障害・対人恐怖症・あがり症の薬を使わない治し方

社会不安障害・社交不安障害・対人恐怖症・あがり症の薬を使わない治し方

結論:身体をリラックスさせたうえで、段階的暴露療法を行っていくことで改善することが出来る。

社交不安障害の75%が8〜15歳に発症する為、若年者に多い疾患です。

適切な治療を行うことで発症後2~3年程度で寛解してくると言われていますが、未治療の場合はそれよりも長い期間、何年も症状に苦しむことになります。

以前は「気の持ちよう」「性格の問題」として病気として考えられていませんでしたが、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を投与すると症状が緩和することから疾患として認識されるようになりました。

ちょっとしたことで緊張してしまう。社交不安障害は改善可能な病気です。

ちょっとしたことで緊張してしまう。社交不安障害は改善可能な病気です。

どのような状況で緊張してしまうのかにはいくつか種類があり、外食や他の人との食事が難しくなってしまう会食恐怖症であったり、人前で話をすることが難しくなるプレゼン恐怖症などもあります。

臨床的には身体な緊張状態を緩和してリラックスやすい身体状態を作り、段階的暴露療法を行っていくことで普通に生活が出来るようになっていく疾患です。

人前で話せない・人前で話すと緊張してしまうので苦手は病気?
ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。 人前で話をしようとすると手足が震える、動悸がする、手汗がひどい、声が震える・裏返ってしまう、赤面、眩暈、気が遠のく感覚など、会社などで大勢の人の前で話をする...

悩んでいるのはあなただけではない

最初のうちは自分でも病気かどうかの判断がつかない、なぜこんな些細なことで緊張してしまうのだろうか…、今まで大丈夫だったのになぜ突然…、自分はおかしくなってしまったのではないか?と考えてしまう方が多いです。

勇気を振り絞って周囲の人に相談しても、考えすぎだよ、もうちょっと気楽に考えてみたら?など、解決策にならないアドバイスをもらって人に話すことをやめてしまう方も多いです。

結局、一人で抱え込んでしまい、ネットで情報を集めて自分なりにやってみるけれど上手くいかず・・。ということを繰り返す方が多いです。

社交不安障害は人口の2%程度いるといわれており、日本全国で200万人程度いると考えられています。うつ病の次に多い疾患です。

恐怖を感じる事柄を避けてしまうと、どんどん症状が悪化していく場合もあるので、一人で悩まずに早めに専門家に相談しましょう。

薬に抵抗がある場合には、カウンセラーやメンタル疾患を扱う当院のような鍼灸院を利用することも検討してみましょう。

社交不安障害でない場合には注意

症状が出始めたきっかけが明確にある場合には社交不安障害ではなくPTSD(心的外傷後ストレス障害)の可能性があります。

PTSDは別の疾患なので専門の治療が必要です。

PTSDは別の疾患なので専門の治療が必要です。

例えば、人前で怒鳴りつけられたり、自分が話したときに笑われた、体調が悪いまま食事していて食事中に強い吐き気に苦しんだり、嘔吐してしまい周囲の人から奇異な目で見られ、誰も助けてくれなかった。などの、恥ずかしかったり、恐い体験があるとそれが心的外傷となってフラッシュバックしてしまいます。

PTSDは社交不安障害のアプローチ法とは異なり、PTSDの専門家による治療が必要です。

薬を使わない選択肢

社交不安障害の病院での治療は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)といってセロトニンを増やすお薬を投与すると症状が改善されたことから、病気であるということが認知されるようになった疾患です。

薬物療法で行う場合にはSSRI(抗うつ薬)が用いられますが、比較的副作用が出やすいお薬であり、好発年齢を考えると薬物治療は躊躇したくなる年齢です。

薬を使わなくても改善できるケースも少なくない為、必ずしも薬を使用しなければ全く治療が出来ないという疾患でもありません。

重度で外出が全く出来ないといった状態でなければ、薬を使わない方法をまずは試してみてそれでもダメなら最終的に薬物治療を検討するでもよいと思います。

薬を使わないで社交不安障害を改善していくには?

社交不安障害は脳内のセロトニン量の低下が原因だと考えられています。その為、脳内のセロトニン量を増やせば原理的には改善されていきます。

脳内のセロトニンは合成・分泌・再吸収(分解)によって量が調整されています。

食事や運動、生活習慣・身体を整えて脳血流を改善するなど、セロトニンが分泌され易いように身体的なアプローチ、生活環境や生活習慣を整えることでもセロトニン量は増やすことが出来ます。

特にリズム運動(歩行など)を中心とした有酸素運動は統計的にもSSRIに引けを取らない効果がある事がわかっています。

セロトニンの自然な増やし方については過去記事をご参照ください。

セロトニンを増やす方法
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心理療法で社交不安障害を克服する

ある程度セロトニン量が確保されるだけでも症状は軽くなってきますが、本格的に克服するには段階的暴露療法(心理療法)を行うことが必要です。

暴露療法はただ漫然と行えばよいわけではなく、正しく行わないと逆効果になることがあります。

段階的暴露療法を自己流で行ってはいけない

段階的暴露療法は不安の原因になる刺激に段階的に触れる(適切な強度で暴露する)ことで、不安を克服していく心理療法です。

しかし、この段階的にということを十分に理解しないまま不適切な強度で暴露すると、強い不安や恐怖感、パニック発作を引き起こして苦しい思いをすることになります。

非常に苦しいためそれが結果的に、私には克服できないという確信を深めてしまったり、強い不安や恐怖感からPTSDを発症させてしまうこともあります。

不適切な強度での暴露療法は症状を悪化させる

不適切な強度での暴露療法は症状を悪化させる

暴露療法に失敗してから専門家のもとに訪れたとしても、暴露療法は効果もなかったし辛いからもうやる勇気が持てない。

PTSDの症状にも悩まされるようになって病態が複雑化しているなど、改善が難しくなってしまいます。

インターネットで調べた知識に頼るのは危険です。専門家の指導を受けましょう。

認知行動療法で自分の思考の癖を振り返る

社交不安障害の方は、緊張しそうな場面になると心臓の鼓動が早くなる、体がこわばる、顔が熱くなるなどの自分の身体的な変化に意識がフォーカスしてしまいます。

実際に周囲の人が全く気が付いていなかったとしても、相手に緊張しているのがばれているのではないか?と「他人から自分がどう見られているのか?」「自分の身体の緊張状態がどうなっているのか?」にすべての意識が集中してしまっています。

現実を正しく認知する能力が低い傾向があり、自分の頭の中で作り出した想像と現実が混ざってしまっていることが多くあります。

こういった想像と現実にズレが生じやすい場合には想像と現実のズレを認識するという認知行動療法(CBT)を合わせて行っていくことが有効になります。

養育環境を振り返ることも大切です

社交不安障害を含む不安障害は乳幼児期の養育環境によって発症しやすいことが報告されています。

過保護、過度のしつけ、情緒的な交流が少ない、批判的な言葉が多い、両親夫婦仲が悪い、心理的・精神的虐待などです。

これらはマルトリートメント(不適切な養育)といわれ、子供の脳の発達に悪影響を与え、MRIなどで脳の画像検査を行うと、脳が変形して発達してしまうことが報告されています。

参考文献

NHK出版新書 523 子どもの脳を傷つける親たち | NHK出版
不適切なかかわりが、子どもの脳を変形させる脳科学が明らかにした驚くべき事実「子どもの前での夫婦喧嘩」、「心ない言葉」、「スマホ・ネグレクト」に「きょうだい間の差別」──。マルトリートメント(不適切な養…
乳幼児期の養育環境が不安への抵抗性に大きな影響を与える。

乳幼児期の養育環境が不安への抵抗性に大きな影響を与える。

患者さんが子供の場合は子育て方針や子供との接し方を親御さんが修正することで改善していくことが可能ですが、大人の場合には認知行動療法をはじめとした心理療法を行って改善を行っていく必要があります。

当院での改善をご検討の方は社交不安障害をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、生活習慣や改善について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経・メンタル専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
パニック障害、広場恐怖症、うつ病などの精神疾患領域と起立性調節障害、機能性ディスペプシア、眩暈などの自律神経疾患の専門の鍼灸師。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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