パニック障害・うつ病だけれど、子供が欲しい方へ

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

パニック障害やうつ病だけれど、子供が欲しいと思われている方は多いです。子供というかけがえのない存在を持つという体験は何事にも代えがたい経験です。

しかし、妊娠・出産・子育てには非常に大きなストレスがかかり、パニック障害やうつ病などの精神疾患を持たれている方、過去に罹ったことがある方にとっては慎重に検討すべき問題です。

今回は出産後ぐらいからパニック障害・うつ病が再発・発症してしまった方を診させて頂いてきた立場から、精神疾患を持たれている方が子供を持つことについて一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までご一読ください。

結論:十分なサポート体制を構築できることが重要

一度体調が回復していたとしても、パニック障害やうつ病に罹ったことがある人は、神経系が弱ってしまう為、ストレスによって再発するリスクが高くなります。

しかし、あなたの人生において子供を持つ・持たないという経験はあなたの人生に大きく影響を与える選択です。

パニック障害やうつ病を持っている方が子供を持ってはいけないということではありません。条件さえ整えば、子育てを通してご自分の心の成長に結びつけられる方も多いです。

しかし、悪条件が重なってしまった状態であなたの精神疾患が再発・悪化した場合には子育てに支障が出てしまいます。

あなたに負担がかかりすぎて再発・悪化を起こさない為の環境づくりと、もし、再発・悪化を起こしてしまったときのサポート体制をあらかじめ構築しておくことが大切です。

その為には、厳しいですが子供を持つことのリスクを事実ベースで把握したうえで、対策を行っていくことが重要です。

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 パニック障害やうつ病を抱えた方の子育ては再発・悪化のリスクが高まる

パニック障害やうつ病の症状は、ストレスや疲労により再発・悪化する疾患です。

パニック障害やうつ病を抱えている方が子育てを行う際には、再発・悪化するリスクが高まることは理解しておきましょう。

元々ストレスがきっかけとなる疾患の為、子育てという大きな負荷や責任が精神的なプレッシャーとなり、再発や悪化のトリガーになることは少なくありません。

具体的には夜泣きやおむつ替え、授乳など、特に乳幼児期は慢性的な睡眠不足、ご自分の時間が無くなり目が離せない、大人と会話する機会も減り孤独感が強くなるという状態になり、身体的にも心理的にもストレスが増大します。

再発・悪化してしまった際に、思うように治療の為の通院が行えなくなったり、回復の為に十分な時間の睡眠をとる、食事を適切なものにしてもらうなど、生活習慣の改善を行うことが行いずらい状況に置かれやすいことも多いです。

当院に来られている方も子供の面倒を見てもらう都合上、なかなか来院が難しくなって思ったように改善が進まなかったり、睡眠不足が影響しているけれど睡眠時間が十分確保できない、子供の食事を作ることで手いっぱいで、自分は朝昼を菓子パンでごまかしているだけの状態など、施術を行っても思ったような効果が得られにくいことが多いです。

再発・悪化しない為に何が出来るのかを考えてみましょう

再発・悪化しないためには、どうすればいいのでしょうか?

まずは現時点で多少のストレスがかかっていてもパニック障害やうつ病が再発しない程度までストレスに対して強くなることが重要です。

日頃から食事、睡眠、運動を取り入れた生活を行うことを数ヶ月から数年程度続けることで、多少の寝不足などに対するストレス耐性は回復してきます。多少の無理は可能になる場合があります。

また、ストレスマネージメントが重要ですので、身体的ストレス以外の心理ストレスに対しては、心理テクニックを身につけたり、自分なりのリラクゼーションや自己ケアの時間を確保できる環境を構築しておくことも大切です。

一般的には子供が出来ると自分の時間が無くなるといわれますが、その状況になってしまうと再発・悪化のリスクが高まる為、一般的な母親とは異なる子育ての仕組みを模索することも大切です。

子供がヤングケアラーとして育つ可能性

残念な事実ですが、精神疾患を抱えた親の子供は、ヤングケアラーとなる可能性が指摘されています。

これは、親の病状に対応するために子供が大人のような役割を果たすことを意味します。

この状況は、子供自身にとっても大きなストレスとなり、その心身の発達に悪影響を及ぼすことが知られています。

当院へ来院されている方の中には、今現在ヤングケアラーとして育ちそれが原因で10代でパニック障害やうつ病になっている方もいれば、過去にヤングケアラーとして育ってきた経歴を持たれている方が大人になって精神疾患を発症していることは多いです。

ヤングケアラーとなると親の体調や機嫌を伺ったり、本来は親から受ける愛情やお世話を親の体調不良から受けられないことで心身の発達に悪影響を受けます。

また、心理的に不安定な親を助ける為に、家事など日常生活のサポートだけでなく、親のカウンセラーの役割を担っている場合もあります。

子育てをする親自身がパニック障害やうつ病を再発・悪化させないことや平常時での感情を安定させることで予防が可能です。

しかし、仮に親自身がパニック障害やうつ病を再発・悪化した際に、周囲の人が親代わりの役割を行えれば、ヤングケアラーとして育つことはありません。

子供自身が将来精神疾患に罹患する可能性

精神疾患の家族がいる家庭で育った子供は、将来、精神疾患を発症するリスクが高まることが研究で示されています。

これは遺伝的な原因(精神疾患にかかりやすい遺伝子を持っている)と、前述したヤングケアラーとして育つなどの環境的な要因が組み合わさることで発生します。

子供にとって親の助けが得られない環境というのは安全を脅かされ、ストレスが強くかかった環境で育つことになる為、危険な環境に適応した状態(基本的に交感神経が高まってリラックスしずらく、警戒し、他者を信じない)に育ちやすくなります。

その結果、常に緊張状態が維持され十分なリラックスが行いずらい自律神経系の発達を行う為、ストレスを受けることが増え、子供が将来精神疾患を発症するリスクが高まります。

遺伝的な原因は完全に排除することは出来ませんが、遺伝的な要因を持っていても環境的な要因が重ならなければ精神疾患になる確率は低下しますので、遺伝子だけで決まるわけではないことは安心してください。(※神経発達症(旧:発達障害)は遺伝性の為、精神疾患のリスクが高まります。)

それでも子供が欲しい気持ちは大切にして良い

ここまで、精神医学で知られている事実をお伝えしてきましたが、繰り返しますが子供をあきらめましょうという話をしたいわけではありません。

パニック障害やうつ病を抱えていたとしても、子供が欲しいという気持ちは大切にしていい感情です。

しかし、何となく「幸せになりそう」といった幻想だけで子供を持ってしまうと、こんなはずじゃなかったとなってしまいます。

現実的にあなたが直面するであろう問題を客観的に知り、理解しておけば対策することも可能です。

子供を持つことは、新しい経験や喜びをもたらすだけでなく、自己成長の機会でもあります。子育てを通して心が安定する方もいます。

しかし、その上で大切なのは、自分自身の状況を正確に理解し、適切なサポートが受けられるように十分な準備と対策を行っておくことです。

自分自身の体調管理、周囲のサポート体制の構築、子供が健康的に成長できる環境を整える方法について具体的に考えることが大切です。

手厚い周囲のサポート体制を構築しておく

パニック障害やうつ病を抱えて子育てをする場合、通常の子育て以上に強固なサポート体制が必要です。

これは、家族や友人からのサポートだけでなく、医療機関や行政サービスからのサポートも含みます。

まずは予防としてあなたがパニック障害・うつ病が再発・悪化しない為に、パートナー、両親、兄弟、親戚、友人などに頼ることが出来る人間関係が構築できていることが大切です。

また、仮にパニック障害・うつ病が再発・悪化してしまった際にどのぐらいのサポートが受けられるのか?行政ではどのようなサポートの仕組みがあるのかを予め調べておくことも大切です。

予めサポートできる家族・親戚がすぐに手伝える距離に引っ越しをしたり、保育園などへのアクセスがいい場所を選ぶことも重要です。

通常の子育てよりも、より強固なサポート体制を構築しておくことが出来れば、仮にあなたのパニック障害・うつ病が再発・悪化した場合であっても、子供への悪影響が最小限になるようにすることが出来ます。

十分なサポートが得られない場合には再検討をすることも必要です。

十分なサポートが得られない場合、子供を持つことについてはパートナーと話し合って再検討することも大切です。

例えば、以下のような条件が多い場合には特に考える必要があります。

・親や兄弟・姉妹のサポートや経済的援助が期待できない。
・友人など家族以外からのサポートが受けられずらい。
・パートナーが子育てや家事、経済的に協力的ではない。

通常の子育てであっても、このような状態では子育てはとても困難を伴います。

子供を産んだ際にあなたがどのような子育て環境に置かれるのかを、紙に書き出して整理することで、一度客観的にどのような状況に置かれているのかも整理してみましょう。

また、家族や親戚、友人に「もし子供が生まれたら」という仮の話で、どのぐらいサポートが可能なのかをなるべく具体的に相談することも大切です。

あなたと子供が不幸にならない子育てを目指しましょう。

パニック障害やうつ病を抱えている場合でも、結果的に幸せな家庭を築くことは可能です。

しかし、幸せな家庭や子育てを目指すと難易度が高すぎになってしまいます。

それよりも、あなたも子供も不幸にならない程度の子育てを目指す現実的な目標を持つことの方が重要です。

将来的に、私が親でなければこの子はもっと幸せだったのではないか?と思いたくなることもあるかもしれません。

それでも、子供が生まれれば、自分自身の病気と向き合いながら、子供に愛情を持って接することが必要になってきます。

また、パニック障害やうつ病を持たれている方が親になるということが、子供にどのような影響を与えやすいのかを理解し、それを最小限にとどめる環境づくりと努力を行うことが重要です。

まとめ

パニック障害やうつ病を抱えていても、子供が欲しいという気持ちは大切にしてください。しかし、子供の人生が関わってくる分、気持ちだけで決断するのではなく現実的に実現可能なのか?といった冷静な判断も大切です。

自分自身の現在の状況や子育てを行うことになった場合に、自分がどのような環境に置かれてどのようなストレスにさらされどう対処するのか?

精神疾患を持つ親の元で育った子供の心身の発達にどのようなリスクが伴うのかを知り、対策をとっておくことが大切です。

そのうえで、もし再発・悪化してしまった場合には、あなたの家族、親族、友人、行政から最悪の状態になった場合どのようなサポート(お手伝い、経済的援助)を受けられるのか?までを想定しておきましょう。

周囲のサポート体制の構築、子供が健康的に成長できる環境の整備などを行うことで、あなた自身とあなたの子供のための最善の決定を行うことが大切です。

当院でのご相談をご希望の方はお問い合わせより、カウンセリングをご利用ください。

遠方でカウンセリングへの来院が難しいけれど、相談したいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経・メンタル専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
パニック障害、広場恐怖症、うつ病などの精神疾患領域と起立性調節障害、機能性ディスペプシア、眩暈などの自律神経疾患の専門の鍼灸師。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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