神経発達障害から起立性調節障害・不登校になる?気が付かれないのはなぜ?

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

起立性調節障害や不登校になるお子さんの中には、神経発達症を見落とされてきている子供も多く含まれます。

見落とされてきている子供の多くが、一見すると何の問題もないように生活していることが多く、今回はそんな見逃されがちな神経発達症の問題から起立性調節障害や不登校になるケースについて一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までご一読ください。

結論:過剰適応という状態が見逃す原因になる。

神経発達症は自閉症スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)、学習症(LD)などがあり、通常であれば友達との関係でトラブルを起こしやすい、不注意な行動やじっとしていられないことが多い、学力低下などで気が付いてもらえる場合があります。

近年、名称が変更になりました。
発達障害→神経発達症
自閉症スペクトラム障害→自閉症スペクトラム症
注意欠如多動性障害→注意欠如多動症
学習障害→学習症

しかし、グレーゾーンであったり、診断基準ギリギリの場合には通常の何倍も頑張ることで問題を表面化させずに生活してしまう子供が一部います。

神経発達症を抱える方は多かれ少なかれ努力によって社会に溶け込みながら生活されていきますが、これが過剰になると常に気を張った状態となり、それが神経疲労を引き起こして、ストレスとなり起立性調節障害や不登校になるケースがあります。

しかし、小さい時から頑張って周囲に合わせてきたことがある為、本人もそれが当たり前に思っていて自覚がないことも多いです。

その為、自覚によって今とっている過剰適応状態から抜け出すことは難しくなってしまいます。

現在、起立性調節障害や不登校で体調不良が出ている場合に一番効果的なのは、環境を調整してあげた方がその子の体調不良の改善にはよい場合が多くあります。

神経発達症っぽくない?

過剰適応になっている子供の多くは「神経発達症っぽくない」ことが多いです。

コミュニケーションもそれなりにとることが出来るし、落ち着きがなくてじっとしていられない、極端に学力が低いといった特徴が表面に出てきていません。

本人も頑張ってそのようにふるまい続けていることが常態化しているので、脳がオーバーワークになっていることに気が付いていないことがほとんどです。

皆と同じことをしているのだけれど、なぜ自分だけこんなに疲れるのだろう?と感じている場合はありますが、単純に皆よりたくさんやらないと覚えられないとか、人の目をあえて気にすることでコミュニケーションでミスが出ないようにしているといった具合ですが、本人は「皆やっている」ことだと思っています。

その為、頑張ってそのようにふるまっているけれど、それ以外のやり方がわからない、どうやれば自分の本来の頑張らない状態で過ごせるのかがわからなくなっている点にあります。

そんなに頑張らなくていいよと伝えても、今まで適応するために身につけてきた脳の使い方をそんなにすぐに切り替えられるわけではありません。

過剰適応は現在の環境への適応なので、環境を変えてあげれば過剰適応は自然に収まってきます。

その為、環境そのものをその子が無理しすぎずに適応できる環境へ整え直してあげることが必要になってきます。

神経発達症のイメージが環境を変えることへの障壁になる

神経発達症がわかったことで、私が今までずっと苦労してずっとつらかった原因がわかってホッとする子もいます。

しかし、今まで保育園(幼稚園)、小学校、中学校、高校と普通に通ってきたことで、自分も他の平均的な同級生の友達と何も変わらないというセルフイメージを強く持っている場合にはそのようにはなりません。

その為、「平均的な同級生」と同じことが自分にもできる。出来ないのは自分の努力や頑張りが足りないからだと思い込もうとする子供も多いです。

そうなると、神経発達症があってそのストレスから自律神経が乱れてお腹が痛い、頭が痛い、朝起きられないなどの症状が出てきていることを説明されたとしても、それを受け入れてしまったら自分が普通ではない(平均的ではない)ことになるので、セルフイメージが崩壊してしまうことを避ける為に、受け入れることが出来ないという状態になります。

その為、子供の希望は現在の環境を維持する事になります。

神経発達症の残酷な一面ではありますが、平均的な子として(普通に)生きていきたい。という希望は、いずれは受け入れる必要があります。

親御さんも子供の希望をかなえてあげたいという気持ちになりますし、親御さんも神経発達症を受け入れずらい場合もある為、その結果として過剰適応している現在の環境に残る方法を模索するという出口のない迷路に迷い込んでしまうことになります。

自閉症スペクトラム症の傾向が強いと、平均的である、普通であることにこだわり続けてしまう場合もあり、体調不良を抱え続けていくうちに、うつ病や自律神経失調症などになっていく場合もあります。

神経発達症が影響している場合には、子供の希望を優先しすぎることの危険性も同時に親御さんには理解しておいていただくことが大切です。

元気に過ごすための環境の整え方

神経発達症が原因になっている場合には、環境の調整が必要になることが多くあります。

○○という環境であれば大丈夫というわかりやすい環境調整は出来ないので、その子の得意と苦手を参考にしながらトライアンドエラーを繰り返していくことで、その子にとって過ごしやすそうな環境を見つけていくことが大切になります。

その為、現在通っている学校をどうするのか?進学や就職などもその子にとって過剰適応にならない環境を探していくことが必要になります。

中学生などで別室登校であれば大丈夫な子供もいますし、フリースクールや自宅学習の方がよい子もいます。高校も通信制の方が融通が利きやすいので最終的に通信制に転校される方が多いです。

今は大学も通信制大学があります。

むやみやたらに頑張ると過剰適応を起こして体調不良を起こしてしまうので、子供の体調の変化を見ながら、無理をしているようであればその時々において調整していくことが大切です。

まとめ

・神経発達症やそのグレーゾーンにあっても過剰適応により見落とされてしまうことがある。

・過剰適応が原因でストレスがかかりすぎている場合でも、過剰適応を自由にやめることは難しい。

・基本的には環境を調整していくことが大切。

・過剰適応していると神経発達症のように見えないことが多いが、神経疲労はしている。

・適応できていた過去の実績が、神経発達症を受け入れられないことが障壁になることも。

・ストレスが継続するとうつ病リスクが高まることも多いので、希望ではなく冷静な判断が必要。

・体調を見ながら無理しすぎずに適応できる環境を探していくことが大切。

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心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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