こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。
過呼吸発作は1度起こすと頻回・頻発する傾向があります。理由は体内の二酸化炭素量が慢性的に不足気味になっしまい、少し呼吸が早くなるだけで体内の二酸化炭素が不足するからです。
過呼吸発作は二酸化炭素不足が原因で誘発されますので、平常時の二酸化炭素が不足気味になると、頻回・頻発しやすく条件がそろってしまいます。
今回は過呼吸発作によって体内の二酸化炭素気味になり過呼吸発作が頻回・頻発してしまう原因と過呼吸発作を起こしにくい身体の状態へと改善していく方法について一緒に考えていきたいと思います。
呼吸法を行うことでパニック障害に伴う自律神経症状や不安感が軽減されることも多いので、ぜひ最後までご一読ください。
結論:体内の二酸化炭素が足りないので呼吸法で二酸化炭素を体内に貯めよう
過呼吸発作(過換気症候群)は呼吸が早くなることで、二酸化炭素を体外へ排出しすぎたことで一時的に急激な体内の二酸化炭素不足が発生した状態です。
その結果として赤血球から酸素がはがれにくくなり、神経細胞に酸素が十分供給されないことから細胞レベルで酸欠を起こし、冷静さを失ってしまった際にパニック発作が誘発されます。
(詳しくは過去記事を参照。)
過呼吸自体は30分以内に収まることがほとんどです。
しかし、過呼吸を起こしたことをきっかけに体内の二酸化炭素濃度の保持量を決めるセンサーの設定が低く設定変更されてしまうことがあります。
二酸化炭素濃度の保持量の設定が低く設定されると、無意識にしている呼吸が呼吸過多(通常よりも呼吸量が多い)になるようになり、過呼吸発作は起こしていなくても常に過呼吸の一歩手前の状態で生活している状態になります。
パニック発作を起こした後から、過呼吸が頻発するようになる方とそうでない方がいらっしゃいますが、頻発するようになってしまった方は体内の二酸化炭素濃度の保持量の設定が変化してしまったと考えることが出来ます。
過呼吸が頻発するようになるととても怖いですし、苦しいですから辛いですが、呼吸法により二酸化炭素濃度の保持量を設定を元に戻すことで、呼吸過多状態から脱出し、再び過呼吸を起こしにくい元の状態へと戻ることが出来るようになります。
当院でも体内に二酸化炭素を溜める為の呼吸法の指導を取り入れたことから、過呼吸が関わっているパニック発作の場合は、施術で効果が出るよりもはるかに早い段階で、パニック発作のコントロールを行えるようになるクライアントさんが増えてきました。
過呼吸性のパニック発作は呼吸の管理を行えるようになることで、ほとんどコントロールできるようになります。
二酸化炭素をためる理由
前述したように二酸化炭素には赤血球から酸素をはがして細胞に酸素を渡す作用があります。
その為二酸化炭素が不足すると酸素が細胞に供給されにくくなり、結果的に細胞で酸素を使ってエネルギーを作り出すことが出来なくなり、細胞の活動が低下します。
過呼吸によって、不安になる、手足がしびれる、動悸がする、息苦しくなる、意識がなくなりそうな感じ、めまいなどの症状が出るのは、神経細胞が酸欠により正常に機能できなくなってしまった為に発生します。
神経細胞の酸欠により、脳の働きが低下して現実を冷静に判断する能力が低下する為、死ぬのではないかという恐怖を感じ易くなります。
過呼吸発作の原因は、体内の二酸化炭素不足
パニック障害の方の呼吸を観察すると、過呼吸発作を起こしていない時でも平均的な人よりも呼吸が早いもしくは呼吸が大きい、口呼吸などの傾向があります。
この呼吸では体内の二酸化炭素は少ない状態が維持されてしまい、呼吸過多といえる過呼吸予備軍の状態です。
体内の二酸化炭素の保持量は脳幹にある呼吸中枢が基準を決めていて、常に血中の二酸化炭素濃度を計測して、基準まで血中の二酸化炭素濃度が高まると息苦しさを感じたり、自覚できないレベルで呼吸中枢から呼吸を早くしたり、大きく息をするように指令が発せられ呼吸をコントロールします。
過呼吸発作を1度起こした際に基準が下がってしまったり、普段から口呼吸で早くまたは大きな呼吸をしていると二酸化炭素の濃度基準値が下がって、すぐに呼吸を早めるような命令が呼吸中枢が発せられるようになります。
この状態は過呼吸発作を起こしやすいだけでなく、普段からも全身への細胞への酸素の供給量が若干少ない状態が慢性的に持続する為、だるい、やる気が出来ない、お腹の調子が悪いなど全身の自律神経症状を出しやすくなります。
一度、二酸化炭素濃度が低い基準に変更されてしまうと、意識的に二酸化炭素濃度の基準を上げるアプローチを行わないと元の基準値に戻らない為、呼吸法が必要になってきます。
二酸化炭素を増やす3つのポイント
呼吸中枢の二酸化炭素の基準を上げる設定変更は、なるべく長い時間体内に二酸化炭素濃度の高い状態で過ごすことで変化させていくことが可能です。
具体的な方法については過去記事を参考にして頂きますが、最初は息苦しさを感じますが継続していくうちに、基準が上がっていくので息苦しさを感じずらくなっていきます。
過呼吸発作の頻度の低下、全身の細胞への酸素供給量の増大、二酸化炭素による血管拡張作用による全身の血流の増加、呼吸法を行ったことによるメンタルの安定など、良い効果が期待できます。
二酸化炭素をためるには、
①今持っている二酸化炭素を体の外に排出し過ぎない正しい呼吸を身につける
②積極的に二酸化炭素を貯める呼吸法を行う
③上記二つを継続する(最低3ヶ月)
の3つを行うだけです。
注意して頂きたいのは、二酸化炭素を吸うのは危険な行為なので絶対に行わないでください。窒息死の危険があります。
正しい呼吸について
二酸化炭素を貯める呼吸法について
まとめ
パニック発作の後から過呼吸発作が頻発するようになってしまう原因は呼吸中枢の二酸化炭素濃度の保持量の基準値に変化が出てしまうことが原因です。
基準値が下がってしまうことで、体内の二酸化炭素濃度が少し上昇しただけでも息苦しさを感じて、呼吸を早く、大きくするよう呼吸の命令が発せられるようになります。
しかし、この状態は呼吸過多の状態で慢性的な二酸化炭素不足の状態を引き起こします。
二酸化炭素不足の状態は過呼吸発作を起こしやすいだけでなく、すべての細胞が利用できるエネルギーの代謝が低下し、血管も収縮する為血流も悪くなります。
頻繁に過呼吸発作を起こさなくするためには、呼吸中枢の基準値を正常に戻す訓練が必要になります。
その為に、正しい呼吸を日頃から行って必要以上に二酸化炭素を体外へ排出しないことと、血中の二酸化炭素濃度が高い状態になれる呼吸法を行うことで正常に近づけていくことが出来ます。
あとは、継続がとても大切なので、少なくとも3ヶ月ぐらいは意識的に呼吸法を継続していきましょう。
当院での改善をご検討の方は自律神経失調症、パニック障害をご覧ください。
遠方で来院が難しいけれど、生活習慣や改善について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。
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