ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。
パニック障害はパニック発作を繰り返し起こしたり、予期不安や広場恐怖といった不安症状を伴った場合につけられる診断名です。
そのような不安障害関連の用語でも、パニック発作と過呼吸(過換気症候群)は一緒のものなのか、違うものなのかよくわからない方も多いかと思います。
今回はパニック発作と過呼吸のちがいについて一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までお読みください。
結論:過呼吸はパニック発作の主要な症状の一つですが、厳密には別物です
パニック発作⇔過呼吸といった感じでお互いに誘発しあう関係にもある為、パニック発作と過呼吸は同一で語られることも多くわかりにくい一面があります。
パニック発作とは「急激な交感神経興奮により引き起こされるパニック」を指します。
一方、過呼吸は呼吸のし過ぎにより、赤血球から酸素をはがして(二酸化炭素の働き)細胞へ酸素を供給する細胞内呼吸が阻害された状態。(血中の二酸化炭素の低下によって引き起こされる)息苦しさ、めまい、手足のしびれなどの症状を引き起こされた状態を過呼吸(過換気症候群)と呼びます。
パニック発作と過呼吸には以下の4つのパターンが存在します。
- 過呼吸からパニック発作が誘発される発作
- パニック発作から過呼吸が誘発される発作
- パニック発作を起こしても過呼吸を伴わない発作
- 過呼吸のみでパニック発作を伴わない
それぞれのパターンについて理解するとパニック発作と過呼吸(過換気症候群)の違いが理解しやすいと思いますので、解説していきたいと思います。
過呼吸からパニック発作が誘発される発作
二酸化炭素を吐き出しすぎると、血液中の二酸化炭素が不足します。
血液中の二酸化炭素は赤血球から酸素をはがす作用がある為、二酸化炭素が不足すると細胞呼吸(細胞が赤血球から酸素を受け取り二酸化炭素を血液中に捨てること)が行われずらくなります。
その結果、細胞では酸素が不足した状態になります。細胞で酸素が不足した状態になる為、酸素の不足と誤認して息苦しさを感じますが、実際には酸素は赤血球についた状態で体内には存在しています。
その為、酸素飽和度を計測するパルスオキシメーターで血液中の酸素飽和度を調べると酸素は95%以上と正常にもかかわらず、息苦しさを感じているという状態になります。
神経細胞も酸欠を起こして働けなくなり、息苦しさを感じる、冷静な思考が出来なくなる、神経が働かなくなるため、手足がしびれる、めまいなどの症状が出ます。
このような身体的なストレスと息苦しさから死を意識して不安になり心理的なストレスも加わり、そのストレスで急激に交感神経が興奮してしまいパニック発作を誘発します。
パニック発作から過呼吸が誘発される発作
何らかの原因で、急激に交感神経が興奮することでパニック発作が発生します。
不安感、動悸、冷や汗、めまいなど交感神経の作用に身体ストレスが加わることでさらに交感神経が興奮します。
交感神経には呼吸を浅く、早くさせる作用がある為、結果的に、体内の二酸化炭素が吐き出されてしまい、血中の二酸化炭素が不足して過呼吸が誘発されます。
過呼吸によって交感神経が興奮する為、さらに交感神経が高まりパニック発作がさらにひどくなるといったループを形成していきます。
パニック発作を起こしても過呼吸を伴わない発作
何らかの原因で急激に交感神経が興奮してパニック発作を起こし、不安感、動悸、冷や汗、めまいなどの交感神経の作用による症状は出てきて、多少呼吸が早くなることがあっても、血中の二酸化炭素が不足しすぎにならなければ過呼吸にはなりません。
その結果、息苦しさやしびれといった過呼吸特有の症状が出ないパニック発作が起こることもあります。
しかし、交感神経が刺激されると多かれ少なかれ呼吸は早くなるため、血中の二酸化炭素量が減って細胞の代謝が落ちた場合には、ソワソワする、落ち着かないなどの神経症状が出てくる場合があります。
過呼吸のみでパニック発作を伴わない
呼吸のし過ぎにより、二酸化炭素が吐き出されて過呼吸状態になり、息苦しさやしびれを感じるが、冷静に過呼吸が起こってしびれているだけだと理解されている場合には、過呼吸発作のみが起こる場合があります。
過呼吸で手足がしびれているが呼吸を整えて放っておけば元に戻るので息苦しさやしびれから不安を連想しなかったり、過度に交感神経が興奮しないと過呼吸のみが起こります。
風船を膨らませるなどで頭がくらくらするといったものも過呼吸のみでパニック発作を伴わない代表的な症状です。
また、過呼吸を意図的に起こすために大きく早い呼吸法を行うと、手足がしびれてきたり、めまいがするといった過呼吸特有の症状を引き起こすことも可能です。
過呼吸は必ずしも不安障害でなくては発生しないわけではなく、呼吸の方法によって発生してきます。
すごく簡単に言えば・・・
少々乱暴ではありますが、パニック発作は単純に急激に交感神経が興奮した際に現れる自律神経症状にプラスして不安や恐怖感といった感情の動きを伴います。
しかし、急激に交感神経が興奮したことで現れる自律神経症状だけで、不安や恐怖を感じずに冷静でいられる場合には、急なめまいに襲われた、急な動悸がしたとなります。
通常はこのような急激な交感神経の興奮による自律神経症状が出てきた時に、不安や恐怖を全く感じない方というのは比較的少ないです。
その為、急激な交感神経の興奮が起こってそこからパニック発作が引き起こされる、もしくは過呼吸をきっかけに急激に交感神経の興奮が起こってそこからパニック発作が引き起こされます。
その為、パニック発作と過呼吸は臨床的にはほぼ同義として扱われることが多く、どちらの場合でも呼吸を安定させると自律神経が落ち着いて発作が軽減されてきます。
過呼吸とは違う交感神経過剰の息苦しさ
交感神経が興奮すると呼吸筋や腹部の筋肉が緊張し、それによって呼吸筋がゆったりと動くことが出来なくなったり、首周辺の筋肉が固くなることで首を絞められているような感覚がしてくる場合があります。
自分が思っているほど胸郭が拡がらないことや胸や首に圧迫感を感じと呼吸は出来ていているけれど、息苦しさを感じるという圧迫感によるメカニズムで息苦しさを感じる場合もあります。
胸やお腹、首を絞めつけるような服を着た状態で呼吸をしようとすると、なんとなく息苦しく感じるのと同じで、実際にしまっていなくても首の前を手でおおわれるだけでも息が吸いにくいような感じがしてきます。
交感神経が過剰になると首から肩にかけての筋肉がこわばりやすくなるため、筋肉の緊張によって息苦しさを感じる場合もあります。
息苦しさが出ているから必ず過呼吸が起こっているわけではありませんが、ゆっくりとリラックスする呼吸法を行うことで交感神経の興奮を鎮め、息苦しさを改善することも可能です。
まとめ
パニック発作と過呼吸(過換気症候群)は同じものとして扱われることが多いですが、厳密には違うものです。
しかし、パニック発作⇔過呼吸という具合にお互いに誘発しあう関係にある為、実際には同じものとして説明されることが多くあります。
パニック発作と過呼吸には、過呼吸からパニック発作が誘発、パニック発作から過呼吸が誘発、パニック発作を起こしても過呼吸を起こさない、過呼吸のみでパニック発作を起こさないという4つのパターンが存在します。
パニック発作は不安や恐怖といった感情の変化を伴うのがパニック発作であるとざっくり考えてもらえると理解しやすいかと思います。
一方、過呼吸はしびれやめまい感など二酸化炭素不足による細胞呼吸が阻害されて、細胞の酸欠による神経症状が出て来る症状を指します。
日頃からゆっくりと長い小さな呼吸を行っているようにすると交感神経の興奮が起こりにくくなり、二酸化炭素不足による過呼吸も予防できます。
当院での改善をご検討の方はパニック障害、全般性不安障害をご覧ください。
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