寝ても疲れが取れない慢性疲労症候群の原因と対処法

ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。

毎日7~7時間半の睡眠をとっているのに毎朝、疲労感が残ったまま目覚めて一日が始まってしまい、休みの日も疲労感で動くことが出来ない。仕事の日は気合いで何とかやっているが、身体が重だるく1日元気がない状態が続いていて、自律神経の問題を疑って当院へご来院されることがあります。

疲労を主体とした症状で、甲状腺機能低下症など疲労感を主とする別の疾患が存在しない場合には慢性疲労症候群という病名が付けられる場合があります。

慢性疲労症候群の原因は不明とされています。

今回はそんな寝ても寝ても疲れが取れない原因と対処法について一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までお読みください。

結論:慢性疲労症候群は原因が不明ですが、副腎疲労症候群が関係していれば改善の糸口になる。

慢性疲労症候群は病院の検査で客観的な異常が認められないにもかかわらず、日常生活を送れないもしくは日常生活を送るのが辛いほどの疲労感が長期間続く状態をいいます。

おおよそ半年程度、辛い疲労感が継続し、うつ病など他の疾患がなければ慢性疲労症候群と診断される場合があります。

簡単に言えば、常にずっと疲れた状態で寝ていても回復しないことが半年続いていて 貧血、 電解質の異常、 腎不全、炎症性疾患、 睡眠障害、 甲状腺機能低下、副腎、精神疾患などがないというのが、診断基準のポイントになります。

慢性疲労症候群は家族性の病気と考えられています。つまり、家族や親族の誰かが慢性疲労症候群であることが多いことが指摘されています。

しかし、遺伝的な要因が原因なのか生活習慣が似通っているから発症するのかまではわかっていません。

慢性疲労症候群に似たような言葉で、副腎疲労症候群といわれるものがあります。こちらは同じように症候群とついてはいますが、正確には病名ではなく状態を表す言葉です。

私達の身体はストレス反応を起こすと副腎からコルチゾールというストレスホルモンを分泌してストレスに対抗しようとします。

コルチゾールには血糖値を高めてエネルギー生産量を増やして、活動力を高めようとする作用があります。

しかし、ストレス反応が頻繁に何度も起こる状態が持続すると副腎からのストレスホルモンの分泌が不安定になってしまい、その結果、血糖値やエネルギーの生産量が不安定になり、慢性的な疲労感が誘発されるとする説です。

そして、今度は疲労感そのものが生物的ストレスとなり、ストレス反応を引き起こしてしまいいくら休んでもストレス反応が止まらない為、改善しないという状態になっていきます。

当院でもストレス反応が何度も起こることで、副腎疲労が蓄積し、その結果疲労感などが慢性化した慢性疲労症候群を診させて頂くことがありますが、施術と食事・睡眠・運動・ストレス管理を行っていくことで改善されていくことが多いです。

しかし、ストレス反応が何度も起こる原因が、今の環境にある場合とあなたの養育環境にある場合の二つがあり、より大きな原因がどちらかにより改善の難易度が変化ます。

ストレス反応は何のためにある?

ストレス反応とは簡単に言えば、危険が迫っていると脳が判断した際に交感神経優位な状態にして、危険から逃れやすくするための反応です。

例えば、ライオンなどの肉食動物がウロウロしている環境で生活している場合には、リラックスしてぐっすりと深い睡眠をとると、ライオンに捕食されてしまう危険性が高まります。

しかし、常にある程度のストレス反応を引き起こして交感神経を常にある程度高い状態にして、浅めの睡眠をとるという戦略をとればライオンの足音などわずかな音でも危険を察知して覚醒し、生き延びる可能性が高まります。

これがストレス反応が存在している意義です。

本来であればストレス反応により眠りを浅くして生き残り、恐怖を感じることで安全な場所へ移住するなどの行動を起こす。

ライオンに遭遇してしまっても逃げきったり、戦ってライオンを倒せば脅威が去ったと脳が認識してストレス反応が停止します。

しかし、現代はストレスの終わりが認識しずらく、逃げずらいストレスばかりになっています。その為、現代社会はストレス反応が慢性的に持続しやすい条件が整っており副腎への負担がかかりやすいのです。

この狩猟採集を行っていた時に使っていた機能がそのまま現代の私達の身体に備わったままになっている為、今でも脳が危険な環境にいると認識してしまえば、ライオンと遭遇したときと同じようにストレス反応が体の中で引き起こされ、例えばお金が無くなると生と死を分けるかのような錯覚を私達に与えるのです。

ストレス反応が起こりやすい人・起こりにくい人

現代の環境においては、ライオンに襲われるなどということはほとんどありませんが、命に危険がなくてもストレス反応が度重なり引き起こされた際には脳が今いる環境は危険な環境だと誤認する原因になります。

その中でも重症度に大きな影響を与えるのがストレス反応が度重なり引き起こされてきたのが、脳が完成する前なのか、後なのかです。

幼少期の養育環境についてお話を伺ったり、言葉遣いの中から自分に対して強迫的な言葉をかけているかどうかで、改善のしやすさをある程度予測することが出来ます。

脳が完成する前にストレスを溜めやすい生存戦略を身につけてしまうと、より少しの刺激に対しても敏感にストレス反応を引き起こすように脳が発達をするため、平均的な生活をしているにもかかわらず、ストレス反応が度重なっていることがあります。

脳が完成する前

乳幼児期、幼少期から親御さんに十分守られた、受け入れてもらった、愛されたという感覚がなく育つとそれは幼少期に頻繁なストレス反応を起こした状態で成長した可能性が高くなります。

家の中にお酒を飲んで暴れる人がいた、家族間で言葉や暴力がある環境にいた、障害のある兄弟がいて親はそちらにかかりっきりであまり手をかけてもらえなかった、親の思い通りになった時だけ優しくされる、お金のことで生活が苦しかったなどがそうです。

このような環境で育った方は、わずかな刺激からストレス反応を引き起こして環境に適した行動をとれるように脳が発達します。

ライオンと頻繁に遭遇する環境で育った子供と同じように、わずかな刺激に対して脳が直ぐに反応してストレス反応を引き起こす為、直ぐに対応することは出来ますが、リラックスして休息することが苦手という神経パターンを形成します。

元々身体が弱い子供の場合は、子供の時から腹痛や体調不良を訴えることになりますが、肉体的にある程度のストレスに対して抵抗できる肉体を持っている子供の場合は疲労が蓄積して破綻するまでの間は何事もなく生活していきます。

しかし、頻繁にストレス反応を起こしていている上、十分リラックスして休めていない状態が継続していくことで、年齢が上がってくるにしたがって副腎からのホルモン分泌が不安定になり、謎の疲労に悩まされるようになります。

脳が完成した後

もう一つは脳が完成する前の環境には全く問題がなく大人になってから、一時的にストレス環境にいて脳が今は危険な環境だと認識してしまう方です。

過労や人間関係のトラブル、お金の悩み事、親や子供の心配事、長時間のデジタル機器の使用、難治性の病気、大切な人との死別や離別など慢性的なストレスが長期化したことで、ストレス反応が頻発してしまう場合です。

適切な養育を受けた方は、突発的な生物的ストレス(外傷や病気の辛さ、アレルギー、過剰な運動や同じ姿勢でいたことでの身体のコリなど)が原因でストレス反応が引き起こさせてしまうということはありますが、ストレス反応が繰り返されて、ひどくなる前に周囲の人に助けを求める、自分が潰れない範囲で自分ができることを冷静に判断してある程度ストレス反応を連続させないようにストレス管理を行うことができます。

しかし、脳が完成する前に虐待を受けたというほどではないけれど、存在そのものを受け入れてもらえたという感覚が弱いことで、自己肯定感が低く、その結果周囲の人に頼れない、周囲の人を信頼できない、頑張らないといけない、これぐらいは我慢しなくてはダメだと否定してしまう自分を追い詰めてしまうパターンを獲得している場合には注意が必要です。

ストレス反応を引き起こしやすい神経的な発達の問題は持っていないものの、ストレス反応を引き起こすまで自分を追い詰めてしまい、それが結果的にストレス反応を頻発させてしまい、脳が危険な環境にいると誤認させてしまうことになります。

ストレッサーを取り除く

副腎疲労症候群による慢性疲労症候群は長期的または強いストレス反応を引き起こしている刺激を一旦取り除いたり、減らすことが改善の上ではとても大切になります。

疲れが取れないといった睡眠に影響が出ている場合、自律神経線維を多く含む脳神経(脊髄を介さずに脳から直接出てくる神経)の支配する肩から上の筋肉がこり固まっていることがほとんどなので、整体や鍼灸で緩める必要もあります。

なぜなら、筋肉には筋紡錘といって筋肉の緊張状態を脳に伝える機能がついており、脳は筋紡錘を通じて筋肉がこり固まっている時は交感神経を優位にする必要がある状況であると判断して、その情報をもとに交感神経を優位にする指令を全身へ出してしまうからです。

鍼灸を受けて慢性疲労症候群が改善する症例があるのはこのためですが、ストレス反応を引き起こしている原因が別の要因が主体であれば、施術は生物的ストレスを減らすという補助的な作用として必要ではあるものの、原因となっている要因を取り除いて初めて改善の方向へと向かっていく下地が出来上がるのです。

まとめ

寝ても疲れが取れない状態が半年以上も続き、甲状腺機能の低下症やうつ病、腎不全など別の疾患の可能性がないという場合では慢性疲労症候群が疑われます。

慢性疲労症候群は根本的な原因がわかっていない為、有効な治療法が確立されていません。

家族性があることがわかっていますが、遺伝的な原因なのか、生活習慣の要因なのかはわかっていません。

慢性疲労症候群の原因の一つとして考えられているのが、副腎疲労症候群という状態です。

これは、ストレス反応が繰り返し起こることで副腎から分泌されるコルチゾールというホルモンが不安定になることで、疲労感が引き起こされるという説です。

コルチゾールは血糖値やエネルギー生産に関わるホルモンの為、コルチゾールが不安定になることで慢性的な疲労に悩まされるのではないかと考えれています。

ストレス反応は必要な反応ではあるのですが、頻繁に長期間繰り返されることが問題となります。

過去の養育環境もストレス反応の起こりやすさに影響する為、過去と現在両方の環境を考慮して改善に取り組むことが大切になります。

基本的にはストレッサーを減らして、ストレス反応が起こる頻度を減らしていくことで改善する下地が出来上がっていきます。

当院での改善をご検討の方は自律神経失調症をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、カウンセリングを受けたいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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自律神経失調症
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