適応障害とうつ病の違い

適応障害とうつ病の違い

結論:適応障害は一時的、うつ病は慢性化したもの。

適応障害とうつ病について調べると症状に大きな差がないと思われる方も多いです。

病院で適応障害と診断されたけれど、インターネットで調べると自分の症状がうつ病とも一致していて、本当はうつ病なのではないか?と不安になる方もいらっしゃいます。

血液検査ではっきりとどちらであると判別できるわけでもないので、実はうつ病なのではないか?と不安になるお気持ちもわかります。

心療内科や精神科の診断は経過をみながら診断を変えていくのはよくあることなので現時点でつけられた病名に一喜一憂する必要はありません。

適応障害は職場などに行くといったストレスにさらされている状態の時に症状が強くなり、自宅にいる時などストレスが減ると症状が軽減します。

うつ病ではストレスにさらされると状態は悪化するものの、ストレスが減っても症状の軽減がそれほどみられません。

脳そのものが調子が悪い状態で固定化されているのがうつ病です。適応障害はまだ固定化されていない段階なので、初期に適切な治療と休養を行うことで比較的改善しやすい状態です。

ストレスを取り除きにくいのがうつ病

適応障害もうつ病もセロトニンをはじめとした神経伝達物質の不足が原因で発症すると考えられています。

セロトニンは脳内で常に分泌されていますが、ストレスを受けるとその分泌量が低下します。

適応障害はストレスのない環境では脳の正常な活動が可能な状態が保てる量のセロトニンがありますが、分泌量が低下しているときにセロトニンの絶対量が不足して、症状が出てきます。

会社や学校をを休むことで、ストレスを軽減することができればセロトニン不足が発生するほどの分泌の低下が起こらない為、適応障害はストレスから離れれば症状が軽減します。

うつ病の場合はストレスのない環境であっても正常な脳の活動が出来ない量までセロトニンが不足しているため、ストレスの原因から離れていても症状が軽減されません

症状の辛さという生物的ストレスによってセロトニンの分泌量が正常に戻りにくいため、休息していてもセロトニンの量が回復するまでには適応障害よりもはるかに長い時間が必要になります。

適応障害はストレスの原因から離れれば、症状は軽減する症状の辛さによる生物的ストレスが少ないことがほとんどです。

セロトニンの量は収支のバランスによって決まる

脳内のセロトニン量が増えたり減ったりするのは、お金の収支と同じように考えるとわかりやすいです。

セロトニンの分泌量(収入) - セロトニンの分解量(支出) =セロトニン量の増減量(貯蓄)

a.分泌量と分解量が釣り合っている(分泌量=分解量)時には、脳内のセロトニン量は増えも減りもしません。

b.分泌量よりも分解量が多い(分泌量<分解量)の時には、脳内のセロトニン量は減っていきます。

c.分解量よりも分泌量が多い(分泌量>分解量)の時には、脳内のセロトニン量は増えていきます。

適応障害やうつ病になるのはbの状態の結果です。

治す時にはcの状態を作り出す必要がありますが、うつ病は症状が継続している分、症状からのストレスでセロトニンの分泌量が増えずらくcの状態に持ってくることが難しかったり、cの状態でも本当にわずかずつしかセロトニン量が増えていかないため回復までに時間を要します。

適応障害でも仕事や学校が休めずストレスのある環境から抜け出さなければbの状態が継続していきます。

なるべく早くストレスから離れて休むことが大切です。

適応障害の状態のまま、薬やカフェインなどでごまかしてストレス環境に身を置き続けると、うつ病まで進行して長期療養が必要になるので早期に療養に入ることが大切です。

どのぐらいの期間で治るのかなど、回復の速度は、分泌量が分解量よりもどれぐらい多いのかで決まります。

適応障害の場合はおおむね3ヶ月ぐらいになることが多いです。

回復を順調に進めるポイント

適応障害やうつ病になる方は真面目な方が多いと良く言われます。

仕事や学校へ早く復帰しなくてはという焦りが働くと、ストレス環境から離れても何もしていないことにストレスを感じて休んでいるのになかなか回復しなくなってしまいます。

休職し療養を始めても初めの一ヶ月ぐらいは上手くリラックスできない方が多いです。

2ヶ月目ぐらいから徐々にしっかりと休息をとれるようになり、回復が始まります。

3ヶ月目に入って状態が安定し始めてきたころから社会復帰に向けて体力づくりやストレス耐性を身につけるなど徐々に社会復帰への準備を進めて順調にいって、だいたい3ヶ月ぐらいで社会復帰といった感じです。

身体的にだるさなどがひどくなければ、散歩をして体を動かしたり、料理をすることも治療の助けにはなります。

適応障害だからこそ療養に入ろう

適応障害の段階だからまだ大丈夫。

薬を飲めば何とか仕事を継続できるから大丈夫!とそのまま無理して仕事や学校生活を継続するのはお勧めできません。

セロトニンが低下すると認知機能が低下するため、正しい判断ができなくなっていってしまいます

頭が全然回転しなくなって、書類も読めなくなっているのがわかっているのに、何とか仕事だけは続けようとしてしまう方も多いです。

自分が仕事や学校を継続できる状態にないことを認識できなくなっており、そういう方は、現在の生活が破綻するまで無理を続けます

私達の身体はストレスを受けるとコルチゾールというストレスホルモンを分泌してストレスに対抗しようとします。

しかし、このホルモンが長期間大量に脳にとどまると神経細胞を死滅させます。

適応障害でも抗不安薬や睡眠薬を使えば今の生活を維持できてしまうことは少なくありませんが、コルチゾールを減らす作用がある薬ではありません。

適応障害は神経細胞が死滅する直前もしくは死滅が始まった初期の段階であり、うつ病は死滅が進んだ状態を指す病名です。

死滅したり、傷ついた神経細胞を回復させるにはとても長い時間がかかりますし、治療をしても完全に元道理に戻るわけではありません。

神経細胞を死滅させないことが大切です。

まとめ

適応障害とうつ病の違いは、適応障害は外の状況によって体調が変化する状態ですが、うつ病の場合は外の状況に関わらず体調が悪い状態です。

適応障害はストレス原因を取り除いて休養することで比較的短期間で改善が可能ですが、うつ病は症状によるストレスも加わるので、簡単に改善できる状態ではなくなってしまいます。

早く復帰しようと焦ることで、回復期間が延びてしまう場合があるので注意が必要です。

適応障害の場合は最低3ヶ月ぐらいはかかる気持ちで療養に入りましょう。

適応障害からうつ病へと進行させてしまうと、改善にかかる時間も長くなりますし、再発率も急激に高まります。

神経細胞が死滅しないように、早期に療養に入り、十分回復させてから社会復帰を徐々に行っていくことが大切です。

当院での改善をご検討の方は適応障害うつ病をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、生活習慣や改善について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経・メンタル専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
パニック障害、広場恐怖症、うつ病などの精神疾患領域と起立性調節障害、機能性ディスペプシア、眩暈などの自律神経疾患の専門の鍼灸師。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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