子どもへの言葉の暴力が止まらない。子供と接する親の心のケア。

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

起立性調節障害や不登校になるお子さんを連れてこられた親御さんから子供に怒鳴りつけてしまう、優しくできない、イライラして無視してしまうなどのご相談を受けます。

今回は子育ての際に顕在化してくる親御さんの心の問題について一緒に考えていきたいと思います。ぜひ最後までご一読ください。

 結論:親御さん自身の心の課題を改善しよう

パートナーシップや子育てにおいてあなたがどのような環境で育ってきたのか?はとても大きな影響を与えます。

これはスピリチュアル的な話ではなく、あなたの心と体が成長する時期にどのような環境で育ったのかによって、あなたがどのような環境に適応した形で成長するのかが決まってくるからです。

もちろん、生まれつきの遺伝的な要素というのも大きいのですが、どの遺伝子がオンになり、どの遺伝子がオフになるのかが、成長期に置かれた環境の影響を強く受けることもわかっています。(エピジェネティクス)

もし、子育ての際についカッとなって子供にきつく当たってしまう、優しくできない、ハグなどが苦手といった問題を抱えているのであれば、親御さん自身の心の課題と向き合っていくことが必要になります。

心の課題と向き合うことで遺伝子の発現の仕方(遺伝子のオンオフ)が変化することも近年の研究でわかってきています。地道ですが、あなたの生まれ育った環境について今一度振り返ってみることが大切です。

あなたの子育てはどこから来た?

子供にいつも優しく、適切な子育てをしている人もいれば、ついついカッとして子供にひどい言葉を浴びせてしまうなど、本当は優しく適切な子育てを行いたいのに、出来ないということはよくあります。

これは良い子育てを行いやすい素質が、あなたが小さい時の養育環境に大きく影響を受けてしまうからです。

ここでは、子育ての際に親御さんの育った養育環境の大切さについて解説させて頂きます。

生物学レベルであなたの子育ては自分の親から強い影響を受ける

私達人間と同じ哺乳類のラットを使った実験で、親ラットが子ラットを良く舐める(スキンシップを取り、愛情をかける)行動をとる親ラットに育てられた子ラットは、成長し親ラットになった時も同じように子ラットを良く舐めることがわかっています。

しかも、良く舐められて育ったラットは、健康でストレス耐性が強く、攻撃性が低く、社会性が高いこともわかりました。

さらに実験では、良く子ラットを舐めるラット、あまり子ラットを舐めないラットの違いを遺伝子によるものではないということを証明するために追加実験を行いました。

良く舐められて育ったラットとあまり舐められずに育ったラットが親になった時に、子ラットをすり替えたのです。

その結果は、良く舐める親ラットに育てられた子ラット(あまり舐められずに育ったラットから生まれた子ラット)が親になった時に、子育ての際に子ラットを良く舐める親ラットに成長し、健康でストレス耐性が強く、攻撃性が低く、社会性が高いラットに成長しました。

反対に良く舐める親から生まれ、あまり舐めない親ラットに育てられた子ラットが成長したときにはあまり子ラットを舐めない育児を行い、病気になり易く、ストレス耐性が低く、攻撃性が高く、社会性が低くなりました。

もちろん、100%人間と同じではありませんが、どういう環境で育てられるのか?は非常に大きな影響を与えることがわかる実験です。

お母さんがストレスを受けると赤ちゃんもストレスを受ける

お母さんと赤ちゃんをいったん離した状態で、お母さんに少し意地悪なクイズを出してストレスを与え、その後、赤ちゃんをお母さんの腕の中に戻すという実験があります。

驚くことに、お母さんの腕に戻された赤ちゃんの心拍数が急激に上昇しました。お母さんに意地悪なクイズを出さなかった場合には、赤ちゃんの心拍数は変化しませんでした。

つまり、お母さんがストレス状態にあると、赤ちゃんにそのストレス反応が伝染してしまうことが分かったのです。

子育てにおいてどういう対応をすればいいのか?なんと声をかければよいのか?について迷われることが多いと思います。

もちろんどういう対応をする方が良いのか、どういう言葉、声掛けおこなうのがよいのかは大切です。

しかし、態度や言葉以上に親が穏やかな心(精神状態)でいることが、子供にとって非常に重要だということがこの実験からはわかります。

現在、お子さんが不登校状態であるなら、まずは親御さんが心穏やかな精神状態で日々を過ごすということが大切です。

優しい言葉や受容的な態度をいくらしていても、親御さんの心の中は怒りや不安を我慢した状態であれば、子供に伝わってしまいます。

また、我慢はいつか必ず破綻します。親御さん自身が体調不良になる場合もあれば、我慢できずに怒鳴ってしまうこともあります。

私は親のようにならない!

自分自身が親にあまり良い感情を抱いていないと私は自分の子供に親のような子育ては絶対にしない!と反面教師にして子育てをしようとされる方が多いです。

その結果として現れるのが、自分の親の子育てを基準に真逆の子育てを行おうとすることです。

親が過干渉の親に育てられた方の子育ては、過干渉の逆である放任主義(無関心)になり易く、逆に親が放任主義(無関心)で育てられた方は、子供に積極的に関わろうとして過干渉な子育てになり易くなります。

子育ては子供の性格の特性などに合わせて、子供に必要な手助けを子供を基準にどういう子育てを行うのかを臨機応変に関わり方を変えていくことが大切です。

兄弟でも遺伝子の共有は1/4程度な為、性格が違い育て方がかわるように、その子がどのような手助けを必要とするのかをよく観察し、必要な手助けを必要なタイミングで、必要な事だけを行うことが大切です。

自分の親の子育てを基準に自分の子育て方針を決めてしまうと、たまたま子供の生まれ持った性格特性が当てはまらない限り子供の心理に悪影響を与えることになります。

私は親のようにならない!というのは、既に子供のことが視界から外れてしまっています。この子はどういう子育て(成長の手助け)を必要としているのだろうか?そういう視点で子育てを行うことが必要になっていきます。

子供は敏感です。親の興味関心が「自分にない」ことをすぐに感じ取ります。

子供が求める子育てがわからない

このようなお話をさせて頂くと、子供がどのような子育て(成長の手助け)を必要としているのかがわからないという問題に直面します。

実は自分自身が親にどのような子育て(成長の手助け)を必要としているのかという子育てを受けていないと、子供の心理に寄り添う共感する脳の発達があまり行なわれないことがわかっています。

子供が求めていることを察知しずらくなるということです。

その結果、子供の感情に寄り添いずらく、子供が求めている手助けとは違う手助けを行ってしまうという能力的なハードルが立ちはだかります。

例えば、「弟・妹におもちゃをとられた」という体験を子供が話した際に、共感的な親はおもちゃをとられて”悲しかった”という感情体験に共感します。「おもちゃとられて悲しかったね。遊びたかったのに嫌だったよね。」など、子供の傷ついた心を推察し、寄り添います。

感情がなだめられたうえで、「パパ(ママ)が何か手伝えることあるかな?どうしていくのがいいのかな?」など、解決策を一緒に模索していきます。

しかし、自分自身が親からあまり感情に共感されずに育つと、子供の心を推察しずらい為、「兄(姉)ちゃんなんだから、我慢しなさい」、「別のおもちゃを買ってあげるね」など、解決策を提示してしまうなど、子供が求めている手助けとは違う手助けをしてしまいがちになります。

子供の心の発達にとって重要なのは感情体験を共感してもらい、解決策を一緒に探すことです。また、自分自身で辛い感情を処理できないときに寄り添ってもらうことでなだめてもらうのを助けてもらうことです。

子供に親代わりを求める

子供の時に親に感情体験を共感してもらい、心に寄り添ってもらえない関係は親子逆転が起こっていることが多いです。

本来共感してもらう側の子供が逆に親の感情に共感しなくてはいけない環境で育っていることが多く、親子関係とはそういうものだと学習しています。

親の言う通りにしないと親の機嫌が悪くなる、なんであなたは○○なの!と親の理想にあなたが沿わないことで親から怒りをぶつけられたり、無視をされたりする、悲しげな表情をしたり、がっかりした表情を見せるなど、子供が親の機嫌を取ったり、喜ばせるようにふるまうことになります。

そういう環境で育つと親子関係は子供が親に共感して、親の機嫌を取ったり、喜ばせたりする役割をする関係だと無意識に学習します。

親になった今、やっと自分に共感してもらえる順番がやってきたと思ってしまうのです。

子供に優しくしたいのについカッとなって怒ってしまうなどの場合は、自分が親になった時に子供に自分に共感するよう無意識に求めているシーンで発生します。

パパ(ママ)の立場を理解して、わがまま言って困らせないで!言うことを聞きなさい!言った通りに行動しなさい!親を不安にさせるような行動をとらないで!など、親側の感情に子供に共感してもらえない時に怒りが発生します。

ついカッとなって起ってしまうのを治すには?

ついカッとなって子供に怒ってしまうという状態は、親に感情を共感され、なだめられるという体験が不足したまま大人になることで発生してきます。

自分の思考の癖などを自覚する認知行動療法なども一部有効ですが、過去の自分の辛かった体験の記憶にアクセスして、当時の親に代わって今の自分が共感・なだめるという自分自身の心と向き合うことが有効です。

一番有効な方法は、パートナーなどに感情を共感されなだめられるという体験を通して、本来行われるべきだった体験を再体験していくことだとも考えられていますが、パートナーがそういったタイプの方でない場合にはこの方法は難しくいことも多いです。

心理的に過去の自分の感情体験と向き合うことも改善には有効です。

まとめ

・まずは親自身が心穏やかに生活できるようになることが大切。

・子育ての問題はあなたが受けた養育と深く関係している。

・親のストレス反応は子供に伝染するので、ストレス対策をしっかり行いましょう。

・自分の子育てのルーツを探っていきましょう。

・現在形成されている思考の癖や過去と向き合うことで子供と良好な関係を築きやすくなります。

当院では親御さん向けのカウンセリングも行っておりますので、ご希望の方はお問い合わせよりご予約をお取りください。

遠方で来院が難しいけれど、子育てについてご相談されたい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

鍼灸師 佐野 佑介をフォローする
アダルトチルドレン不登校心理・脳科学起立性調節障害
広告