起立性調節障害「学校へ行きたい」の言葉の裏側

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

起立性調節障害で午前中はどうしても動けないという子供は多いですが、午後になって体調不良が落ち着いた時間帯や比較的体調が良い日であっても学校へ行かない。本人は学校へ行きたいというが一向に行くそぶりを見せない。

今回は「学校へ行きたい」と口では言っているけれど、体調が良い日であっても学校に行かない起立性調節障害の子供の言葉の裏側について考察してみたいと思います。ぜひ最後までご一読ください。

結論:不登校の問題を同時に抱えている子供が多い。

通院開始当初の「学校へ行きたい」という言葉が、言葉そのものの意味ではなく、もっと複雑な心理から出てきている言葉であることがあるケースが多くあります。

起立性調節障害の症状で朝起きられない、起きることが出来ても頭痛がする、お腹が痛い、だるい頭がぼーっとするなどの症状に悩まされる子供が多いです。

体質的な自律神経の弱さや生活リズム、栄養などの問題とは別に、自律神経を乱す要因として心理的な問題を含むケースでは単純に疾患から来る体調不良以外の理由で学校へ行けないことも少なくありません。

心理的な問題を話してくれる子供は少ないですし、言語能力も未熟な為、自分の感じていることを言葉にできない、自分で自分のストレスを自覚できていない子供も多いので、話をしていても原因がわからないことがほとんどです。

神経系がまだまだ発達途上であり、自己の確立も終わっていない為、精神的にも未熟です。

その為、大人からは「学校へ行きたい」といっているのに「学校に行きたくない」心理ってなに?

どうしても理解が難しいのですが、「学校へ行きたい」という子供の言葉をあまりにもそのまま受け取って親御さんが一生懸命になりすぎてしまうと、子供を追い詰めてしまうこともありますので注意が必要です。

 

体調不良から学校へのイメージが悪化する

起立性調節障害の程度が強くなると、立っているだけ、座っているだけでも辛いことが多いので、ただいるだけであっても身体的に学校に行って消耗してしまっていることがあります。

また、起立性調節障害の子供の中には、発症前に既に頻尿(過活動膀胱)や過敏性腸症候群などの疾患を持っている子供も多いです。

このような疾患を持っていると、学校で失敗してしまったらというストレスと戦い続ける場所が学校ということになり、緊張状態が続いて必要以上に疲労することも少なくありません。

中学3年生ぐらいの子供に多いのは、受験を意識し始める夏休み明けぐらいから、競争にさらされることが自分の理解しているストレスよりもはるかに強くプレッシャーとしてかかってそのストレスから起立性調節障害を発症する子供もいます。

学校生活の○○が嫌だとはっきり自覚は出来ていないものの、漠然と学校に対する無意識レベルのイメージが悪くなってしまうことで、学校へ行こうとすると恐怖感や不安感が出てきていることもあります。

感情を抑圧する性格の子供(自己主張の少ない扱いやすい良い子)の場合、具体的な嫌なことがなければ、学校が嫌だと自分が自覚できなくなっており、「ストレス≒嫌なこと」というイメージから、自覚が全くない場合も多いです。

そして限界になってから、ある時から突然、学校へ行くことに耐えられなくなり、学校へ行けなくなります。

その際に血圧異常が認められる場合には起立性調節障害と診断されることになりますが、血圧異常が見つからない場合には、自律神経の乱れという診断になったり、不登校の進行期に出てくる自律神経症状として、心の問題として扱われることになります。

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今まで学校へ行けていたのに突然どうしてと親としては心配になるかと思いますが、ほとんどの場合、今まで学校に行けていたのはかなり無理をして学校へ行っていた子供が多いです。

起立性調節障害が発症するタイミングの多くが長期休み後であったり、何か大きな大会が終わった後に発症するケースが多いといわれています。

友人や先生など、特定の○○が嫌だという、明確な理由がなく、漠然と学校というものからストレスをうけていると考えられるため、特定の原因を見つけて取り除くだけでは解決に結びつきません。

急に子供が学校に行けなくなると親としてはハラハラドキドキしてしまいますが、一番つらいのは子供ですから、是非支えてあげて下さい。

「学校へ行きたい」という言葉の裏には、自分でもうまく説明できない「学校へ行きたくない」が潜んでいる可能性があることを頭の片隅に置いておいてあげて下さい。

学校へ行かせるべきか、行かせないべきか

学校へ行かないことが増えると、学校へ行った際に友人から変な目で見られないだろうか?勉強についていけるのだろうか?など、新たなストレスが発生します。

かといって、無理に学校へ行かせれば、自律神経にも負担がかかってより症状が重くなることもあります。

長期間休むことで学校への復帰が難しくなる側面もあるため、学校へ行かせるべきか、休ませるべきかは専門家としても意見が分かれるところです。

どちらがいいのかは、ケースバイケースで、単純に起立性調節障害の症状を改善させる健康を優先する医療の立場としては、休ませるというのを、私はお勧めするケースは多いです。

もちろん、勉強が遅れれば進学や就職など、人生においてマイナスに働くこともあります。幸い現代はインターネットの発達で、勉強だけなら家に居ながらでも出来ます。

無理して学校へ戻すようにしても、そのストレスから体調不良が悪化してしまい、結局体調を崩して学校へ行けなくなるなることも多いので、短期的に無理に学校へ通うことにほとんど意味がありません。

中長期的に見てその子にとって何が良いのか?を考えていくことが大切です。

学校への復帰を目指すのか、新しい環境を整えるのか

施術を行って体調が改善してくると、すんなり何事もなかったかのように学校へ復帰していく子も多くいます。

こういった子供の場合は起立性調節障害からくる体調不良だけが原因で学校へ行けなかったと考えられます。

しかし、そうでない子供の場合は起立性調節障害からくる体調不良が改善されてきても、学校への復帰が出来ません。

不登校の進行期の体調不良が起立性調節障害として血圧の異常として出てきたか、休んでいる間に、前述したように学校へ戻る心理的なハードルが高くなってしまったことが考えられます。

不登校連動型の起立性調節障害の対応方法
起立性調節障害と不登校の心理が重なっている症例では、単に起立性調節障害の改善だけを考えればよいわけではありません。肉体対的な起立性調節障害のケアを行いながら不登校の心のケアも必要になってきます。朝起きられないのみの症状の場合には、不登校の心理が裏にあることがありますので、注意が必要です。

施術を行って体調が良くなってきてからも、「学校へ行きたい」と口では言うけれど、実際には体調の良い日があっても学校へは行かないという子は少なくありません。

再び元の環境(学校へ通うこと)に対する不安や恐怖に打ち勝つほど元気になっていないか、学校へ行く理由が存在しない場合があります。

起立性調節障害は、病気としての側面を無視してはいけませんが、それとは別に不登校の子供と同じ心理的な問題を同時に持っている場合があることも見逃せません。

失敗談

私が過去に診させて頂いた高校生の男の子でしたが、「学校へ行きたい」と初回の時に聞いていたので、学校へ戻ることを目標に施術を開始しました。

施術を行い、生活習慣を整えるうちに体調が良くなってきて、ある程度早い時間から活動できるようになってきたので、部活だけでも、午後の授業だけでも学校へ行ってみたら?という提案をしたことがあります。

その提案を行った次の予約から通院を渋るようになり、そのまま来院しなくなりました。

「学校へ行きたい」という言葉を安易にそのままの意味でとらえて私自身も子供を追い詰めてしまった失敗例です。

「学校へ行きたい」という言葉の裏側には、行きたくない感情を認めてしまうと、怠けている、甘えていると思われるのではないか、行くように強要されるのではないかという不安や恐れなど、「周囲の人が学校へ行かない自分を攻撃したり、否定してくるのではないか?」という警戒した結果出てくる言葉の場合もあります。

高校生の改善例で多いのが、頭痛などの症状は施術を行ううちに改善してくるが、学校のある日だけは体調が悪くて行けず、結局、出席日数が足りなくなって留年が確定し、単位制の高校への編入が決まったりすると、不安定だった体調が安定して、何事もなかったかのように、元気になる子も多くいます。

同じ環境へ戻る、再度学校へ行くというのは、長期休んだ後では難しいことがあります。

起立性調節障害の身体的な問題についてはケアが必要ですが、「学校へ行きたい」という言葉は、親御さんや周囲の先生や友達への期待を裏切らない為に発している言葉だったり、怠けている、甘えていると思われる他人からどういう風にみられるのかといった不安や恐怖からでてくる言葉の場合があるので注意が必要だと感じます。

まとめ

起立性調節障害の子供がいう「学校へ行きたい」という言葉は学校がある時間帯に体調が良くなって学校へ行くかどうかをよく確認してみてください。

言葉では学校へ行きたいと言っていても、学校がある時間帯に体調が良くなっても学校へ行けない場合や体調が改善する時間が下校時刻以降になる場合には実際には、もっと複雑な心理から出てきている言葉であることが多いです。

子供の「学校へ行きたい」という言葉を実現しようと親御さんが一生懸命頑張りすぎると子供を追い詰めてしまう場合があります。

病気としての辛さを感じていた空間が学校だったため、無意識化で学校へのイメージが悪くなって不登校の心理が出てきていたり、過活動膀胱(頻尿)や過敏性腸症候群などを持っている場合には学校に対する無意識化のイメージが悪化したことが原因となっていることもあります。

無意識化のイメージの為自覚することが難しく、解決の糸口が見つけにくくなります。

無理に学校へ行かせることは基本的に体調の悪化を招いてしまう為、医療の立場としてはお勧めできません。

起立性調節障害の症状が改善してきても学校へ戻ることが出来ない子供の場合は、不登校の問題と関連があることがあります。

休みが長くなることで不登校になることも多いため、体調不良が良くなったからと言って子供にプレッシャーをかけてしまうと私のように失敗してしまうことがあるので、子供の心に寄り添うことがとても大切です。

当院での改善をご検討の方は起立性調節障害不登校をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、お子さんについて相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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