起立性調節障害から不登校になる?
結論:起立性調節障害をきっかけに不登校になることはあります
起立性調節障害は何らかの(物理的・化学的・生物的・心理社会的)ストレスによって、自律神経が乱れ、血圧の維持が難しくなる疾患です。
不登校のお子さんの3~4割程度に起立性調節障害であると考えられています。
起立性調節障害と不登校の関係はどちらが先なのか?を明確に区別することが難しく、起立性調節障害になったから不登校になることもありますし、不登校だから起立性調節障害になるわけでもありません。
しかし、全くの無関係ではなく、起立性調節障害をきっかけに不登校になるケースは少なくからずあります。
このページではどのような理由から起立性調節障害から不登校になってしまうのか?について解説させて頂きます。
起立性調節障害から不登校になるメカニズム
起立性調節障害は元々は何らかのストレス(例えば身体の急激な成長に心肺機能が追い付いていかないなど)によって自律神経が乱れ、血圧を維持できないなどの循環障害を基盤とした自律神経の不調を引き起こす疾患です。
しかし、起立性調節障害になって朝起きられない、起きられたとしても頭痛や腹痛、だるさがひどくて学校へ行けない日が続くと、学校を休むことが多くなります。
長期間学校を休むことになったことで不登校になりやすくなります。
休んでいることが後ろめたい
真面目な子供ほど起立性調節障害で仕方ないとはいえ、本来は学校へ行かなくてはいけないと思っているので、学校を休んでいる自分を責めてしまいます。
思春期は脳の発達段階の変化の時期で、他者からの視線を特に気にし始める年齢のため、休んでいる自分を友達や先生、親はずるをしている、怠けているなど、悪く思っているのではないか?と考えるようになります。
体調不良が回復しても、学校へ行って嫌な目で見られるのではないか?あの子しばらく学校来てなかったんだよ。など、悪い噂が流れているのではと感じたりします。
長期間休んでいたことが原因で、学校へ行きずらくなる心理的な抵抗感が芽生えてしまって不登校になってしまう場合があります。
疾病利得を受けてしまっている
疾病利得(しっぺいりとく)とは、病気になることによって獲得する心理的,社会的,経済的利益のことを言います。
例えば、起立性調節障害だから学校へ行かなくていい、遅くまで寝ていてもいい、早く寝なくてもよい、勉強しなくてもいい、好きなだけゲームをしていてもいい、部活に行かなくてもよい、テストを受けなくてもいい、学校の苦手な友達と関わらなくてもいいなど、子供にとって利益になってしまうことがあります。
意識的に起立性調節障害の状態を継続しようと考えているわけではありませんが、無意識にこの利益を手放したくなくなってしまうと病気でいる限り、そういった利益を受け続けることができることになります。
利益を手放せなくなると、学校へ行けるぐらい元気になってきても、いざ学校へ行こうとすると体調不良が出てくる、学校へ行く話をすると体調を崩したり機嫌が悪くなるなど、不登校になってしまう場合があります。
起立性調節障害から不登校になってしまった場合の対処法
まずは体調不良を改善させることが優先になります。
基本的には不登校のお子さんへの対応と同じなので無理に不登校を改善させようとして登校刺激をしない事が大切です。
登校を促すようなあらゆるアプローチは本人にとって心の負担が増えて苦しみが増えるだけで、逆効果です。
不登校は追い詰めてしまうと、部屋に閉じこもって数年間引きこもりになってしまうケースもある為、慎重な対応が必要です。
不登校を無理に短期で解決しようとして、子供を追い詰めてしまうのは得策ではありません。
まずは、家の中が安心して過ごせる環境であること、学校へ行けていなくても親御さんが愛してくれて、常に味方でいることを伝えていくことが大切です。
起立性調節障害から不登校になってしまう子供の場合、学校という外の世界が怖くなってしまっていたり、家が快適すぎて外の世界に出ていく理由がなくなってしまっています。
外の世界が怖いというのは何かあった時に必ず守ってもらえるという感覚が足りていない子供に多くみられます。
何があっても親御さんが愛してくれて、守ってくれる。子供の中に安心感がでてくると、子供は探索活動(外の世界へ出ていく)を自然に行っていきます。
いきなり学校へ行かなくても、社会とのかかわりを少しずつ取り戻していくようにしましょう。
家が快適すぎる場合にはお子さんにとっての安心な環境が実は快適な環境になっていないか一度振り返ってみましょう。
甘やかすのではなく、大丈夫感、安心感を与える
何をやっても叱られない、許される環境を作ることが安心して過ごせる環境ではありません。
親は自分を愛してくれている、守られている、存在そのものを受け入れてくれているという大丈夫感、安心感をお子さんが感じられていることが重要です。
しかし、子供が将来困らないように、あれこれ口を出してしまうのが親心だと思います。
多くの子供はその親心からくる言葉の裏を理解するほど精神が成熟しているわけでも、大人でもない為、親御さんの愛情から出てきている言葉も否定の言葉としてとらえられてしまっていることがあります。
口を出されるのは、自分がダメだから口を出される、学校へ行けない自分は親に愛してもらえない、親の言うことを聞かないと親は愛してくれない、親は自分の心配ではなくて自分の思い通りにならないことを怒って叱っている、親や周囲の人のの期待に応えないといけないといった、誤った認識で自分を肯定できなくなっています。
当院での改善をご検討の方は起立性調節障害、不登校をご覧ください。
遠方で来院が難しいけれど、お子さんについて相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。