ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。
うつ病・パニック障害になって生活の色々なところに制限が加わってくると、病気になる前の自分に戻りたいという気持ちになりますよね。
当院でも初診時にどこまでの改善を望まれているのかお伺いしているのですが、以前の自分に戻りたいと希望される方が多いです。
今回はうつ病・パニック障害になる前の自分に戻ることについて一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までお読みください。
結論:発病前の自分に戻ると再度発病してしまいます
発病する以前の自分のように元気になりたいというお気持ちになるのはとても自然なことです。
しかし、冷静に考えていくと発病前の自分にそのまま戻ってしまうと、再度発病してしまいます。
どういうことかというと、うつ病やパニック障害はストレス反応が長期的に引き起こされ続けることで、発症する疾患です。
その為、発病前と同じ環境、同じ考え方に基づいた感情の動きや行動、同じ仕事量、同じ生活習慣など、発病に至った原因となるストレスを同じだけ受けてしまうと再び発病することは目に見えています。
当院では発病前の自分に戻るのではなく、あなたの心身に過剰な負荷がかからないような生き方に変えていきましょう。
とお伝えすることが多いです。これは今のままの辛い状態で一生過ごしていくという意味とは全く異なります。
原理的に言えば一度発病してしまうと、神経細胞が死滅したり、損傷を受ける為、ストレスに対する抵抗性は下がってしまうことが多いです。
元々生活をされていた状況が、神経細胞の死滅や損傷がない無傷な状態の心身であっても耐えきれなかったという事実を受け止めることから始めましょう。
一度発病し死滅や損傷した神経細胞もある程度の時間をかければ回復はしてきますが、依然と全く同じ神経ネットワークを形成するわけではない為、依然と全く同じ状態に戻ることはありません。
うつ病やパニック障害を改善する時には、発症する以前よりもかかるストレスが少なくなるように調整した環境、ストレスを受けにくい考え方、感情の反応、行動、調整された仕事量、規則正しい生活習慣など、ストレス調整を行いあなたの心身が耐えられるストレスレベルへの調整が必要になります。
発病前に近い良い体調で生活できるようになることは可能だと思いますが、発病前と同じような生活が出来るのか?といわれると答えはNo!です。
医学的には発病前と同じような生活に戻すことはお勧めできません。
発病前はストレスに耐えられていたわけではない
うつ病やパニック障害になる前までは、一晩ぐらい寝なくても翌日も元気に過ごせていたし、食べすぎたり飲みすぎたりしても翌日ちょっと辛いだけで何日も体調不良を感じることがなかった。
運動なんかしなくても毎日よく眠れたし、スマホやゲームを長時間やっていても問題なかった。
食事も特別気を付けず、インスタント食品も甘い食べ物も食べたいだけ食べても元気な状態で過ごせていた。
こういった一般的に身体に悪い事をしていても直ぐに不調が出てこなければ、自分の身体はこれぐらいのストレスには耐えられるのだと思い込んでしまうお気持ちはよくわかります。
しかし、体調の不調として自覚できなかっただけで、ダメージは蓄積されていきます。
例えば、靴ひもを何度も結んでいると、ある日突然プチっと切れてしまうことがあるかと思います。切れた時にだけたまたま強い力で結んでしまった可能性もありますが、ほとんどの場合、靴ひもを何度も結んだり、紫外線などの影響で靴ひもがもろくなってしまい見えないレベルで小さなダメージが蓄積した結果、ある日突然靴ひもが切れてしまいます。
身体の場合は自己修復能力があるので、ある程度の範囲内の負荷であれば多少の劣化は修復できます。
しかし、自己修復できる範囲よりも強い負荷をかけていた場合には、靴ひもが切れるのと同じように徐々にダメージが蓄積していき、ある日を境に壊れてその機能を果たせなくなってしまいます。
自律神経も物理的に存在している神経細胞であることに変わりはありませんから、負荷をかけ続ければ破壊されてしまいます。
現在、うつ病やパニック障害になってしまったということは、元々あなたの自律神経系が耐えられるレベル以上の負荷をかけ続ける生活をしていたことになります。
発病以前のあなたが強い負荷をかけて大丈夫だったのは、親から与えられた身体に備わっていた貯金を切り崩して使っていたので実現できていたのです。
ストレスを調整しましょう
ストレス=悪というイメージを持たれている方が多いですが、必ずしもストレス=悪というわけであはありません。
なぜなら、適切なストレスは心身に良い作用があるからです。
代表的なのはストレスとしては適度な運動です。運動は健康に良いということはご存知の方も多いと思いますが、運動は身体にとっては交感神経を刺激し、筋肉に負担をかける生物的ストレスの一種でもあります。
しかし、うつ病やパニック障害の方が運動を行うと抗うつ薬に引けを取らないほどの改善効果があることがわかっています。
これは短期間で適切な負荷をかけて、そのあと十分な休息をとることで得ることが出来るストレスの良い効果です。
しかし、あなたがうつ病・パニック障害を発症するようなタイプのストレスも存在します。
それは長期間もしくは強すぎるストレスです。
あなたが調整する必要があるストレスは1週間以上もストレスにさらされる状況や種類が異なったとしても頻回にストレスが発生して結果的に長期間ストレスにさらされている状況です。
強いストレスは予期しないところから突然やってくることが多いため、調節が難しいことが多いですが、強いストレスがかかりそうだと予想できる場合には、なるべく減らしていくことも大切です。
どのストレスを調整すればいいのかは人によって異なる
一般的にストレスには物理的、化学的、生物的、心理・社会的ストレスの4つのストレスが存在しています。
ストレスの種類についてさらに詳しくは過去記事をご参照ください。
施術を受けただけである程度症状が改善されてしまう方も一定数いますが、これは体調不良という生物的ストレスの調整が重要だったということになります。
しかし、体調不良を引き起こされた原因となったストレスが生活の中に残っていないのかはしっかりと探して調節することが大切です。
騒音などの物理的ストレスの調節が必要な方の場合は引っ越しをする、騒音の少ない職場に異動もしくは転職をするなど生活環境を変えることも必要になります。
心理・社会的ストレスの場合は人間関係の問題である場合と、物事の捉え方の歪みに生じている場合があり、多くはその両方が複雑に入り混じっている為、カウンセリングで自己理解をしながら認知行動療法を行っていくことが重要になります。
まとめ
発病前の自分に戻りたいというお気持ちはわかりますが、発病前に戻ると再び発病する運命にあります。
元気を取り戻すためには、あなた自身の生き方をあなたの心身に過剰な負荷にならないようにストレスを調節していくことが重要になります。
発病前と同じ生活が出来るようになることを目標にするのではなく、あなたが体調不良に悩まされないで生活できることを目標にすることの方が現実的であり、大切です。
発病前は○○が出来ていたのに・・・というものは多いと思いますが、その生活の中で受けてきたダメージの蓄積によりうつ病やパニック障害を発症していると考えられます。
体調不良に悩まされずに、または最小限の体調不良で生活をしていけるようになるためにはストレスの調節が必須になります。
あなたのどのストレスが原因で発病したのかを分析し、ストレスを調節していくことで改善し、健康な状態を維持していきましょう。
当院での改善をご検討の方はうつ病、パニック障害、全般性不安障害をご覧ください。
遠方で来院が難しいけれど、カウンセリングを受けたいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。