ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。
自分では特別ストレスを感じていないし、生活習慣もしっかりしている。それなのに自律神経失調症、うつ病、パニック障害になり、なかなか治らない。こういった方は意外と多いです。
ストレスが原因になるという話は私自身も良くさせて頂くことにはなってしまうのですが、そもそもストレスとは何?と聞かれて正確に答えられる方は意外と少ないです。
今回はストレスとはどういったもののことを言うのか?について一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までお読みください。
結論:ストレスとはストレス反応を過剰or長期引き起こす刺激
ストレスというと一般的には、心理ストレスを指すことが多いのですが、医学におけるストレスとは「ストレス反応が引き起された状態」ことを指します。
ストレス反応とは闘争・逃走反応とも呼ばれ、詳しくは当院のトップページの説明を合わせてご参照頂ければと思いますが、簡単に言えば交感神経を興奮させる反応です。
自律神経による症状が現在出ているということは、何らかのストレス反応が強くもしくは長期的に体の中で起こっていることを示しています。
ストレス反応とは、必ずしも心理的に嫌な事によって引き起こされるわけではありません。
また、よくあるのが、元々ストレスがかかって体調が悪かったが、ストレス原因が取り除かれた後も症状だけが残り続けている場合です。
つまり、現在は特別ストレスがかかっていないけれど、症状による生物的ストレスがかかり続けている場合でも自律神経の症状が以下のように負のループを形成してしまい治らない状態になってしまいます。
ストレス反応を引き起こすストレスとは?
ストレス反応は、ストレスを与えるものであるストレッサーにより引き起こされます。
ストレッサーには大きく以下の5つのストレッサーが存在します。
- 物理的ストレッサー(暑さや寒さ、湿度、光、騒音、人混みなど)
- 化学的ストレッサー(公害物質、アルコール、薬物、酸素・二酸化炭素の欠乏や過剰、一酸化炭素など)
- 生物的ストレッサー(アレルギー反応や咳や痰を引き起こすウイルスや細菌、睡眠不足、不規則な生活リズム、栄養の過不足、体調不良など)
- 心理・社会的ストレッサー(人間関係や仕事上の問題、家庭の問題、お金の問題など)
- ストレッサーの不足(副交感神経の過剰を引き起こし、自律神経のバランスを乱して症状が出ると生物学的ストレッサーとなります。)
ストレッサーすべてが自律神経を乱す「悪」ではなく、このようなストレッサーが過剰に強すぎたり、長期間継続することで自律神経の乱れを引き起こします。
適度な運動やその場限りの不快感など、適切な強度で且つ短期的なストレッサーである場合には、むしろ心身を強化してくれます。
現在あなたの置かれている環境や身体の状態などから、ストレッサーを一つずつ取り除いていくことが自律神経を整えていくうえで重要になります。
誤解されがちな心理・社会的ストレス
心理・社会的ストレスは人間関係や仕事上の問題、家庭の問題、お金の問題などがありますが、ストレッサーになるかどうかは、必ずしも感情的に嫌である必要はありません。
一般の認識と異なる為、少しややこしいのですが、「嫌な事=ストレス」ではありません。前述しましたが、医学におけるストレスとは「ストレス反応を引き起こす」ことです。
楽しい事であってもストレス反応が起こればそれはストレスであり、その楽しい事はストレッサーです。
有名なものにマリッジブルー(結婚前後に不安や嫌悪感を感じたり、気持ちが沈んで鬱っぽくなる)があります。
本人も幸せな事なのになぜこのような気分になるのか?と自分の気持ちに戸惑いを感じますが、これは結婚という幸せや楽しいという感情の変化がストレス反応を引き起こして、その結果としてうつ病のような症状を引き起こします。
ストレス反応が原因なので心理的に考えると、誤解されやすいのですが「本当は結婚したくない」というわけではありません。幸せを強く感じたからこそ、環境の変化に対してストレス反応が引き起こされて出てくる病的な症状です。
同じようにあなたが生活の中でやっている好きなものや楽しいものの中にストレス反応を引き起こしているものがある場合には、自律神経を整える為にその刺激を取り除く必要があります。
楽しくてもストレスを引き起こすデジタル機器の長時間使用
スマホ、タブレット、ゲーム機、PC、TVなどのデジタル機器は、明るい画面や大量の情報を浴び続けることによって脳が刺激を受け、ストレス反応を引き起こします。
しかし、デジタル機器の多くはドーパミンという快感物質が分泌させるため、快感を感じていて疲労が自覚しにくく、ストレスとしてほとんど自覚できないうえに、ドーパミン依存状態になります。
ドーパミンは報酬系といわれる脳の快楽を主る場所を刺激します。デジタル機器を使用すると、簡単に言えば、アルコール依存症や薬物依存症の状態と同じような脳の状態が引き起こされます。
同じ報酬系を刺激するアルコールをストレス解消として飲まれる方がいますが、ストレスホルモンを調べた研究ではアルコールを飲んでもストレスホルモンの値は低下しないことがわかっています。
むしろ、飲んだ後にアルコールによる害(睡眠の質の低下、肝臓でのアルコール分解によるエネルギー消費、血糖値の乱高下、利尿作用による脱水、神経伝達の阻害など)が生物学的ストレスとなってストレスホルモンを増加させるのではないかと考えられています。
デジタル機器の長時間使用も基本的には同じで、ストレスホルモンが低下するという報告はなく、むしろ睡眠の質の低下や不眠の原因、イライラや不安を感じやすくなってメンタルヘルスに悪影響が出る、コミュニケーション能力の低下などによってストレスが増えることがわかっています。
デジタル機器は使用していて楽しい気分にさせてくれます。
しかし、画面に映る動きや光、情報が脳を刺激する為、ストレス反応を引き起こします。
特にデジタル機器の2時間以上(未成年の場合は1時間以上)の使用は脳の機能を使用後も悪影響を与える為、注意が必要です。
ストレスに対してネガティブなイメージを持たない
ストレス=悪いものではありません。ストレスには良いストレサーと悪いストレサーがあります。
また、ストレスに対してネガティブなイメージを持っている人ほどストレスの悪影響を強く受け、ストレスに対してポジティブなイメージを持っている人は悪影響を受けにくいことがわかっています。
良いストレスは適度な強さと長くても(理想的には数時間以内)1週間以内に解消されるストレスです。
悪いストレスは強すぎる場合と強さはそれほどでもなくてもストレスがかかっている期間が1週間を超えるような長期的なストレスです。
良いストレスか悪いストレスかは以下のようにストレスの強度と時間によって判断できます。
良いストレス
・ストレスの強度が適切&ストレスがかかっている時間が短い
悪いストレス
・ストレス強度が強く、ストレスがかかっている時間も長い
・ストレスの強度が強く、ストレスがかかっている時間が短い
・ストレス強度が弱く、ストレスがかかっている時間が長い
例えば適度な運動は体を健康にする生物学的ストレスになりますが、運動が健康によいことはご存知の方も多いと思います。
適度な運動は「ストレスの強度が低い&ストレスがかかっている時間が短い」という条件を満たす為、良いストレスになるからです。
しかし、1週間のうちに何度もフルマラソンを走るなどは、「ストレス強度が強く、ストレスがかかっている時間も長い」という条件を満たす為、悪いストレスとなります。
このように客観的に良い悪いが判断できるタイプのストレスは簡単に判断が出来ます。
しかし、同じストレッサーにさらされても、人によってストレスの強度やストレスがかかっている時間が変化する場合があります。
例えば、恋人に振られたとします。
しかし、人によってどのぐらいのストレッサーになるのかが異なります。
ある人はあまりの悲しさにご飯も喉を通らなくなる人もいれば、ある人は一緒にいてもあまり楽しくなかったし、解放されてよかったーっとかえってストレスフリーになる方もいます。
また、恋人に振られたのは私に魅力がない、もう誰も自分のことを誰も愛してくれないと極端な思考に陥り、自分を否定するようなことを頭の中でずっと長期間考え続けてしまう方もいれば、相性が合わなかっただけだから、次はもっと相性のいい相手と付き合いたいな~など、スパッと頭の中で切り替えが出来てしまう方もいます。
何が起こったか?だけでなく、どのようにその出来事をとらえたのか?また、何度も頭の中で繰り返し考えてストレスを受けたのかによって良いストレスなのか、悪いストレスなのかが人によって異なってくることもあります。
特に繰り返し過去のことを思い出してストレスを受けるのは反芻思考といわれ、ストレス過多になり易い思考パターンであることが知られています。
ストレッサー不足による不調
自律神経の乱れの問題の8割程度は交感神経過剰によるものなので、多くの方はストレス反応を引き起こしている原因はなんであるのか?を中心に自律神経の乱れの原因を探していくことが重要です。
しかし、あまりにも何もしていない生活をしすぎると、今度は副交感神経過剰による自律神経の乱れが生じてきます。
例えば休みの日にダラダラと1日寝て過ごしているとかえって体がだるく、やる気も起こらなくなってしまったことはないでしょうか?
これはあまりにも交感神経を刺激することがなく、副交感神経の過剰によって自律神経が乱れる症状です。
自律神経の乱れはほとんどが交感神経過剰によるものですので、情報も多いのですが、副交感神経過剰が原因の自律神経の乱れは情報も少なく、交感神経過剰と副交感神経過剰を行ったり来たりするため対応が難しい面があります。
副交感神経が過剰なだけであれば、昼間に運動させたり、多少のプレッシャーを与えることが良い方向へと向かう手助けになります。
しかし、副交感神経が過剰になったせいで自律神経症状(主にはだるさ、やる気が出ない、気分が沈む、めまい、体を起こすと辛い、血圧が低い)が出てきてしまい、その自律神経症状が生物学的ストレスになってくると今度はストレス反応が起こって、交感神経過剰になってくる為、その場合はリラックスさせて休息が大切になります。
今は交感神経過剰・副交感神経過剰のなのかに合わせて対応する方法と交感神経過剰を先に改善したのちに副交感神経過剰に対するアプローチを行っていくことが必要になります。
まとめ
自分ではストレスを感じていないからと言って自律神経に負担がかかっていないわけではありません。
ストレスを正しく理解し、自覚していないストレッサーに注目することが大切になります。
自覚していないストレッサーをひとつづつ丁寧に解消していくことが大切です。
ストレス反応が起こったことがストレスになるので、感情的に楽しい、好き、嬉しいなどもストレス反応が起こればストレスであると考える必要があります。
ストレスを引き起こすものは、物理的、化学的、生物的、心理・社会的ストレッサーおよびストレッサーの不足によりストレス反応が引き起こされます。
感情的に嫌でなければストレスがかかっていないというのは間違いですので、楽しい事、嬉しいことも含めて過度にまたは長時間継続しているものをストレスとして疑いましょう。
デジタル機器の2時間以上(未成年の場合は1時間以上)の使用は依存になり易く、依存状態になると理由をつけてストレスとして分類しないようにするため、見落とされがちなストレスになるので注意が必要です。
良いストレスと悪いストレスを見分ける方を身につけて適切に対処することが大切です。
副交感神経が過剰になっても、自律神経症状が出てくる場合があり、その結果としてストレス反応が引き起こされるのでリラックスしていれば常に良いわけではないので、注意が必要です。
当院での改善をご検討の方は自律神経失調症をご覧ください。
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