起立性調節障害・不登校とスマホ依存~スマホ・ゲームとの付き合い方を考える~

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

起立性調節障害になって学校へ行けなくなると、頭も働かないので勉強もできないし、スマホやゲームで時間を潰している子供は多いです。

起立性調節障害になると眠れなくなる子供も多くその時間を潰すためについついスマホをいじってしまう子供も多いため、スマホとの付き合い方は非常に悩ましい問題です。

今回は起立性調節障害・不登校の子供のスマホとの付き合い方について考えていきたいと思います。是非最後までご一読ください。

結論:スマホとの付き合い方について一度しっかりと話し合いを行うことが大切

起立性調節障害の親御さんから受ける相談の一つが、スマホやゲームを使わせていいのか?といったご相談です。

初回の来院時に、子供本人との信頼関係が構築できる前からスマホを制限するような指導をしてしまうと、ほぼ2回目以降は来院されなくなるため、当院では寝る前の使用制限のみを行い極端な制限を行うのは、身体的なアプローチがひと段落してからになります。

しかし、原理的に言えばスマホの使用時間は制限した方が自律神経を整えるのには良いのは確かです。

この問題は単純にスマホ・ゲームを制限するかしないかという単純なものではない点が判断をとても難しくしてしまいます。

スマホ・ゲームを制限する必要がある子供の場合、既にスマホ・ゲーム依存症に陥っています。その為、依存症の離脱症状に耐えるという必要性も出てきてしまいます。

また、親の方もスマホやゲームまで取り上げてしまって楽しみが何もなくなってしまって可哀想という気分から消極的な親御さんもいらっしゃいます。

また、スマホの制限を始めると、離脱症状から攻撃的になって親御さんとぶつかることで親子関係にひびが入りやすくなってしまいます。

一方的にスマホ・ゲームを制限されることで大人に対する信頼をなくし、より自体が悪化していってしまうこともあります。

その為、スマホ・ゲーム依存に関しては、なるべく触れずにアプローチしてみてそれでも症状の改善が見られないようであれば初めてスマホ・ゲーム依存症に対するアプローチを検討していくというスタンスで対応しています。

この記事では医学的なスタンスとスマホ・ゲームの制限をすることについて考えていきたいと思います。

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スマホ・ゲーム依存症は病気です

依存症というのは、意志の弱さの問題ではありません。

薬物依存症やアルコール依存症が問題視されますが、依存症は報酬系と呼ばれる快感物質が脳内に分泌されることで形成されます。

スマホも報酬系が刺激される点では麻薬やアルコール、ギャンブルと大差ありません。

快感物質(ドーパミン)が放出されることでもう一度その快感を得ようとしてその行為がやめられなくなっていきます。

実はスマホやゲームは快感物質が出やすいように作られています。その為、元々依存症になり易いのです。

依存症になってしまっている場合には、一度スマホ・ゲームを断つ、使用する時間を制限するなどの治療が必要になります。

しかし、依存症の難しさは、離脱症状が出てくることです。

薬物依存症の人が薬が欲しいがために、人からお金を盗んだり、場合によっては取り返しのつかない犯罪を犯してしまうのは、離脱症状の苦しみから行っています。

スマホ・ゲーム依存症に陥っている人が、スマホ・ゲームを取り上げられると、イライラして攻撃的になったりします。

その際に親御さんに対して暴言を吐いたり、場合によっては暴力をふるってくることもあります。

依存症の治療が必要になることを本人がまずは理解する必要があり、そのうえで制限していくことが大切です。

本人とよく話し合って、依存症になっている事、その治療が必要であること、その治療には離脱症状が伴うことなどを理解した上で、依存症治療に入る必要があります。

スマホを1時間以上使用すると過覚醒状態になるので良くない

スマホ・ゲームを長時間(1日1時間以上)使うことの問題は、長時間、光や音、情報を浴び続けることになり、ドーパミンという交感神経を刺激する神経伝達物質が放出されるため、過覚醒状態になってしまうことです。

過覚醒になってしまうと睡眠に障害が出ることが知られており、もともと起立性調節障害の子供の場合は眠れない、起きれないという睡眠の問題を抱えやすいため、睡眠に悪影響の出ることは避けてもらうことが原則になります。

起立性調節障害は自律神経の疾患ですから、交感神経だけを過剰に刺激するスマホ・ゲームの使用はそもそもよくないのです。

また、私達の脳は入ってきた情報を、何もせずにぼーっとしている時にデフォルトネットワークモードという状態になって、情報を整理していると考えられています。

しかし、長時間ダラダラと情報を浴び続けていると、デフォルトネットワークモードの状態になる時間の隙間が出来ず、脳が情報過多の状態に陥り、神経細胞の疲労がたまっていくと考えられています。

神経細胞の疲労により、自律神経系が乱れて、夜眠れない、朝覚醒出来ない、血圧や発汗・心拍数のコントロールできない、意欲がわかないといった症状も出てくるため、起立性調節障害の症状とも非常に深く関わってくるのです。

健康な子供の脳をMRI画像で撮影し、その2年後にも撮影し、生活習慣のアンケートとの相関を調べた研究では、スマホの使用時間が長い(3時間以上)子供の脳は脳の発達が止まっていたことが報告されています。

スマホの長時間使用は脳の発達を停止させてしまうことがわかっているのです。

治療期間中の理想的なスクリーンタイム時間

健康な大人でも1日のスマホの利用時間は2時間程度にとどめることが大切だとされています。

18歳未満の子供の場合は健康な場合でも脳への悪影響が確認できないのは1日1時間未満の使用に留めている子供であることがわかっています。

一応理想ではありますが、動画を見てゲームを少しするとすぐに1時間ぐらい消費してしまいますので、いきなり1時間を目指すというのは現実的ではありません。

減らしていくとしても、徐々に減らしていくことが、離脱症状を軽くするうえでは大切です。

本人と話し合って、目標の期間内にどのぐらいまでスマホ・ゲームの時間を調整していくのか?を決めていくことが大切です。

まずは寝る前と食事中はスマホ使うのをやめましょう

いきなり強い制限をかける方法もあるにはあるのですが、ひどい依存状態に陥っていない(部屋にはもっていかないなどの約束が守れる)のであれば、寝る2時間前からはスマホを使わない、食事中はスマホを手の届くところに置かないことから始めてみましょう。

夜に目から強い光が入ってしまうと、体内時計が乱れてしまいやすくなるため、なるべく夜の時間帯はスマホを制限し、特に寝る前2時間ぐらいは使わないようにしてもらうことぐらいから始めてみることをお勧めしています。

食事は家族(必ずしも全員である必要はありません)でとって、家族の会話の時間として使って頂けると良いです。

とにかく、少しでもいいから変化をつけるということから始めていくことが大切になります。

孤独にならない状況を作れているのか?

起立性調節障害・不登校になると学校へ行くことが出来なくなる一方、スマホで仲の良い友達とは連絡を取り合って、一緒にゲームをしたり、LINEでメッセージをやり取りすることで、自分の居場所を確保している場合もあります。

相手が健康な状態の子供の為、スマホで連絡を取り合う時間やゲームをする時間が夜になることが多く、孤独にさせないという意味では制限をかけていいのか非常に悩ましい問題です。

私達は社会性の動物なので、仲間がいないという状況は強烈なストレスを感じます。

スマホ・ゲームによって自分の居場所を確保している場合には、極端なスマホの制限は子供が社会的な孤独を感じてしまうことにつながってしまいます。

元々スマホ依存になり易い理由には、家族時間の短さも指摘されており、親御さんが忙しくて子供に関わってあげる時間を十分とれないからこそ、スマホにその代わりをさせてしまっているということが考えられます。

親が子供のそばにいて話をしたり、ゲーム(この場合はトランプなどのアナログなものです)をしたりする時間がとりずらいことが関係していることも多いです。

夜中に不安で怯えていないか?

起立性調節障害・不登校の子供は学校へ行けていないということで、将来への不安を強く抱えていることがあります。

その為、家族が寝静まってからも自分が眠れないと頭の中で不安な思考がぐるぐると回っていることがあります。

その不安感を払しょくするために、スマホをいじって不安感から一生懸命、気を逸らしている場合があります。

スマホ・ゲーム依存症だけでなく、薬物依存、性依存、アルコール依存、ギャンブル依存など、依存症は自己否定感が強く、自分が存在していていいという自己肯定感が持てずに、不安感を抱えている人が、その不安感を快感物質で紛らすことで安定しようとした結果、依存症になっていくことが知られています。

一時的に、スマホ・ゲーム依存症をやめることに成功したとしても、自己否定感や自分は存在していていいという無条件の自己肯定感を獲得しない限り、依存症を再発させたり、依存の形を変えていくだけになります。

子供に対する接し方に自信があって子育てが出来ている方は少ないと思いますが、もし、注意や否定的な声掛けが多かった場合には、今からできる肯定的な声掛けを多くしていくことも大切です。

スマホ・ゲーム依存症を治す必要性について話し合いを行う

起立性調節障害・不登校でスマホ・ゲームの時間が長くなってスマホ・ゲーム依存症になってしまっている場合、単純にスマホ・ゲームを取り上げればよいというものではありません。

本人にどういった心身への影響があるのか、脳にどのような変化をもたらすのかを伝え、その結果どのような弊害が起るのかを親子で理解する事から、はじめることが大切です。

そのうえで、スマホ・ゲームを長時間行わない為に、どのような対策を取り、どのような手助けが必要なのかを一緒に考えていくことが大切です。

例えば、スマホの使用時間を1日3時間に制限すると本人の意志で決めた場合には、親のスマホの方から使用制限をかけてもらうなど、使えないようにする仕組みが必要です。

子供の同意なしにスマホの使用制限をかけてしまうと親子間での信頼関係が崩れて、修復不能になる場合もあるので、友達とのコミュニケーションに何時ごろLINEが出来るようにしておきたいといった自主性の元に行っていくことが大切です。

依存状態がひどい場合には、強引に制限をかけてしまうという方法もありますが、その場合には親御さん側にももっと深い知識が必要になるので、重症になる前の対策が大切です。

まとめ

スマホ・ゲームを長時間やらないといけなくなっているのは、依存症になっている可能性がある為、依存症の治療が必要になる場合があります。

起立性調節障害・不登校の子供は特に長時間のスマホ・ゲームが脳に疲労を蓄積し、自律神経をより乱してしまう為、理論的に言えば1日1時間以上のスマホ・ゲームはお勧めできません。

しかし、スマホ・ゲームにより居場所を確保していたり、孤独感を和らげていたり、自己否定感や自己肯定感の低さからくる不安感を払しょくする目的でスマホ・ゲームをやっている場合にはそちらを安定化させることも考えることが大切になります。

スマホ依存症を改善するには、まずはスマホ・ゲームを長時間行うことで心身にどのような影響が及ぶのかについて親子でしっかりと学習し、本人の自主性の元に使用時間を制限していくことが大切です。

当院での改善をご検討の方は不登校起立性調節障害をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、子供について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経・メンタル専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
パニック障害、広場恐怖症、うつ病などの精神疾患領域と起立性調節障害、機能性ディスペプシア、眩暈などの自律神経疾患の専門の鍼灸師。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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