自律神経失調症を治すためのウォーキング

自律神経失調症を治すためのウォーキング

結論:体調を見ながら運動量を調整する

ウォーキングは有酸素運動(エネルギー代謝や血糖値の安定)である点とリズム運動(セロトニンの分泌促進)である点から、自律神経を整える運動として最適な運動です。

しかし、やりすぎるとかえって体調不良を引き起こしてしまうこともある為、あなたに合ったウォーキングを行うことが大切です。

何となく自律神経がおかしいな、時々自律神経の症状が出ている、ほとんど起き上がれないという状態など、自律神経の乱れ具合によって強度(運動量)を調整する必要があります。

運動量を過度に増やすと生物的ストレスがかかりすぎて自律神経の乱れを悪化させてしまうことがありますので、必ずしもたくさん歩けば良いわけではありません。

当院でも自律神経を整える為に、散歩をご提案させて頂くことが多いですが、何歩ぐらい歩いたらいいですか?と必ず聞かれます。

まずは毎日、玄関に行って、靴を履き、玄関の扉を開けることを習慣化することから始めていきましょう。

※自律神経とは交感神経(活動力を高める)と副交感神経(リラックスする)が自動で行われる神経の総称です。

自律神経を整えるウォーキングは焦らずに生活の中に取り入れていきましょう

自律神経を整えるウォーキングは焦らずに生活の中に取り入れていきましょう

ウォーキングで期待できる自律神経への効果

ウォーキングには自律神経を整える効果を知っておくことで、どこに注目しておくと効果が出やすいのかを理解しておきましょう。

自律神経を整える目的でウォーキングを行う際の注意点として、脅迫的にならないことが大切です。

これだけ頑張って歩いているのに効果が出ない、これだけ頑張って歩いたんだからこれぐらい効いてほしいなど、過度な期待をかけてしまうとそのプレッシャーがストレスとなって、ウォーキングの良い効果を打ち消してしまいます。

プレッシャーのかからない範囲での適度なウォーキングを心がけましょう。

リズム運動によるセロトニンの分泌

セロトニンは自律神経の調節を行う作用のある神経伝達物質です。

自律神経の乱れ症状でお困りの方の多くが交感神経過剰による症状であることが多いため、ほとんどの方にとっては副交感神経の働きを高める作用がある神経伝達物質として働きます。

意識的なリズム運動を行うとセロトニンの分泌が促進されるといわれています。

 

セロトニンが増えると自律神経の調節作用が働き交感神経過剰の場合は副交感神経の働きを高め、副交感神経過剰の場合には交感神経の働きを高めてくれます。

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ビタミンDによるセロトニンの調整

散歩中に皮膚に紫外線(太陽光)を浴びると、皮膚でビタミンDが合成されます。

ビタミンDはセロトニンの調整を行う効果があるビタミンです。

セロトニンの調整を行うことで自律神経の働きを助ける作用があります。

ビタミンDは太陽光を皮膚に充てると合成される

ビタミンDは太陽光を皮膚に充てると合成される

ミトコンドリア活性によるエネルギーの増加

ウォーキングによって心拍数の上昇、呼吸の促進など適度な負荷をかけることで、より多くのエネルギーを作り出せるように細胞のエネルギーの生産工場であるミトコンドリアの働きが向上したり、ミトコンドリアの数が増えることがわかっています。

このミトコンドリアの活性や数の増加により、より多くのエネルギーを利用できるようになります。

ミトコンドリアが活性化or増加すると使えるエネルギーが増えて体力が向上するミトコンドリアが活性化or増加すると使えるエネルギーが増えて体力が向上する

ミトコンドリアが活性化or増加すると使えるエネルギーが増えて体力が向上する

多くのエネルギーを利用できるようになればそれだけ神経の働きがよくなりますから、自律神経も存分に働けるようになります。

自律神経疾患を持たれている方はわかると思いますが、自分でも驚くほど体力が低下することも珍しくありません。

ミトコンドリアを活性化させることで、利用できるエネルギー量が増える為、すぐに疲れてしまうなどの疲れやすさを改善することが出来ます。

光・交感神経刺激によるリズム・バランス調整

自律神経失調症の多くは交感神経が高まりすぎてしまうことによる症状ですが、交感神経が昼間に十分に活性化していないと夜寝る時間になっても副交感神経が十分に働くことができません。

自律神経を整えるには昼間は活動的になる、食後や夜はリラックスするという両方をメリハリをつけて行うことが大切です。

また、朝に日の光を目に入れると合成のスイッチが入ることから、うつ病やパニック障害などセロトニン不足の改善には、毎朝、起きてすぐに太陽の光を浴びながら散歩することが効果的だといわれます。

しかし、朝起きてすぐにウォーキングに行かなくてはいけない!と自分のことを追い詰めてしまうと、交感神経が働く為、出来れば朝散歩をするぐらいの心構えが大切です。

朝散歩に行けなくて自己嫌悪に陥る必要はありません。

また、朝起きてから目に光を入れることで、セロトニンの合成のスイッチが入り、体内時計リセットされて活動的にする時間、休息する(寝る)時間といった生活リズムを整える為にも太陽光は重要です。

セロトニンが自律神経を調節している

セロトニンが自律神経を調節している

リラックスすることばかりでは自律神経は整ってきません。

リラックスするための呼吸法、入浴などの他にもウォーキングをして交感神経を刺激してあげることで全体のバランスを整えることはとても重要になってきます。

肉体疲労による睡眠効果

ウォーキングによる肉体疲労は質の良い睡眠へと誘導してくれます。

たくさん運動したときは疲れて眠くなりやすいという経験は誰でもあると思います。良い睡眠は神経の疲労を回復させてくれます。

仕事や勉強など、私達が日常的に感じる疲労の多くは神経疲労です。

肉体の疲労と神経の疲労のバランスが同じぐらいになると良い睡眠がとれると考えられています。

ストレス解消効果でストレスの悪影響を軽減

運動全般(ウォーキング)にはストレス解消効果があることがわかっています。

考え事や悩み事を悶々と頭の中でしない程度に軽く息が弾む程度の早歩きが良いとされています。

お酒やゲームをストレス解消と思われていることはありますが、実際ストレスホルモンを計測するとほとんどストレス解消効果がないとわかっています。

運動するだけでストレス解消・ストレス抵抗性もUP

運動するだけでストレス解消・ストレス抵抗性もUP

しかし、無制限に歩き続けてしまうと今度は生物的ストレスになり逆にストレスをため込んでしまう原因になります。

体力がある方でも多くて1日1万歩ぐらいまで、今まで運動してこなかった方は無理せず外に空気を吸いに行くぐらいでかまいません。

血糖が安定することによる神経代謝が安定

ウォーキング(有酸素運動)を行うと血糖(血液中のブドウ糖)が安定します。

血糖の乱れがひどくなったものが糖尿病ですが、病的になる前にも血糖の乱れは全身のあらゆる細胞の代謝に影響を与えます。

特に神経は細胞の中にエネルギーをため込んでおく機能を持たない細胞の為、低血糖状態になるとすぐにエネルギー不足に陥って神経活動が低下してしまいます。

近年16時間断食が流行り、私自身も実践したことがありますが、血糖が不安定な方の場合は、かえって自律神経が乱れやすくなりますのでお勧めできません。

ウォーキングを行うことで常に一定以上のブドウ糖が安定的に神経細胞に供給され続ける状態になると、自律神経が整いやすくなります。

ウォーキングを行う上での注意点

自律神経を整える目的で、ウォーキングを行う場合には以下の点に注意してウォーキングを行いましょう。

運動強度は強すぎ無い程度

ほとんど歩いていない方は、ウォーキングからはじめるよりも、日向ぼっこから行うことをお勧めします。

まずはウォーキング習慣をつけることからスタートするのが良いので、毎日決まった時間に玄関まで行く、靴を履く、玄関の扉を開けるなど、実際にウォーキングを行わなくても決まった時間にウォーキングを始める習慣をつけましょう。

最初は玄関からでてすぐ帰ってくる程度の軽いウォーキングからはじめて、距離を延ばすのは慣れてきて物足りなくなってきたぐらいを目安に徐々に運動強度を上げていきましょう。

昨日何歩歩いたから、今日はそれよりも多くなど、毎日増やしていかないでください。

ある程度の運動強度のまま、物足りなくなったら増やすという形で、最初はゆっくりと歩数を増やすことで運動強度は上げていきましょう。

研究論文による報告では4400歩ぐらいから健康効果はあるとされていますが、運動による健康効果の原則は横になっているだけに比べればどれだけ軽い身体の運動も効果があります。

60代以上の日本人を対象とした研究では、8000歩ぐらいからは歩く歩数を延ばしても健康効果は頭打ちになってくるとの研究もありますが、年齢によっても変化する可能性があります。

活性酸素による悪影響

ウォーキングに限った話でありませんが、運動するとどうしても活性酸素が生産されます。また、紫外線の浴びすぎも活性酸素を増やします。

活性酸素は遺伝子を傷つけ老化を促進するといわれていますので、運動前にビタミンCなどの抗酸化物質をサプリなどで摂取しておくと、ウォーキングによる活性酸素の悪影響を最小限に減らすことができます。

もちろん、歩きすぎは過剰な活性酸素を発生させますので、気持ちよくても歩きすぎには注意しましょう。

間違った歩き方による関節への悪影響

正しい歩行はつま先が前方に向いたまま、体重が親指と人差し指の間に乗っています。

スローモーションで歩いて、片足で安定して立てているか確認してみましょう。

つま先が外側に向いていたり、よろけるなどの場合には正しい歩き方ができていない場合がありますので、専門家に一度歩き方をチェックしてもらい、歩き方を修正した方が関節を壊して歩けなくなるというリスクを軽減できます。

歩く時間に注意

ウォーキングは交感神経を刺激しますので寝る直前のウォーキングは睡眠を妨げてしまいます。

自律神経だけを考えれば朝散歩が理想的ですが、朝起きてすぐのウォーキングは脱水を起こしていることがあるため血栓ができやすかったり、心疾患をお持ちの方は心筋梗塞などのリスクが高まるともいわれています。

心療内科医・精神科医は朝散歩をお勧めしますが、循環器の医師はお勧めできないという立場になるようです。

完璧を目指す必要はありません、日差しが強すぎない太陽が昇っている時間帯(朝少し時間がたってからか、夕方日が沈む前)にウォーキングするぐらいをお勧めしています。

当院での歩き方の指導も含め、自律神経症状の改善をご検討の方は自律神経失調症をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、生活習慣や改善について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経・メンタル専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
パニック障害、広場恐怖症、うつ病などの精神疾患領域と起立性調節障害、機能性ディスペプシア、眩暈などの自律神経疾患の専門の鍼灸師。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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