嫌われたくない、でも、必ず誰かに嫌われる理由

ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。

他人から嫌われるのが怖いと思うのは私たちの本能に刷り込まれた強烈な反応です。しかし、実際にはすべての人に嫌われないというのは不可能です。

今回は嫌われたくないけれど、誰かには絶対に嫌われてしまう理由について一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までお読みください。

結論:人の好き嫌いは記憶によって決まる

私達人間は身体的に見れば自然界では弱者です。

しかし、集団で生活すること(群れを作ること)で生き残ってきました。一人では自然界では生きていくことが出来ません。

その為、私達には仲間はずれになること、他の人から嫌われることに対して非常に強く恐怖の感情が出るような本能が備わっています。

そちらの方が、集団から排除されるリスクを低下させることにつながり、生存に有利に働くためです。

人に嫌われたくないと感じること自体はいたって自然なことなのです。

しかし、この本能が獲得された時期は私達が血族を主体とした非常に小さな集団で狩猟採集の移動生活をした時に獲得した本能です。

農業の発明により私達は狩猟採集生活よりもはるかに多くの人口を養えるようになり、その人口を養うためにはより大きな集団を形成することが必要になりました。

その結果、血族を主体とした非常に小さな集団から、より大人数の集団生活を送るようになりました。

しかし、これが人に嫌われる遭遇率を高めることにつながっています。

当たり前ですが私達には一人一人、好き嫌いがあります。

ランダムに選んだ二人のうちピーマンが嫌いな人がいる確率よりも、ランダムに選んだ一千人のうちピーマンが嫌いな人がいる確率の方がはるかに高くなります。

大人数の集団になればなるほど、自分のことを嫌いな人がいる確率は上がっていきます。(同じだけあなたのことを好きな人がいる確率も上がっていきます。)

好き嫌いは遺伝的な本能レベルで嫌がる部分(甘いものを美味しいと感じる、思春期の娘が父親の臭いを嫌がる、蛇を怖がるような脳の反応がある、小さな子供は苦味を嫌がるなど)もありますが、多くは脳の学習によって決まってくるものであると考えられています。

つまり、その人が過去に経験してきたことと関連づけられて、好き嫌いが関係していると考えられています。

好き・嫌いになるメカニズム

好き・嫌いを決定づける要因は過去の経験が非常に強い影響力を持ちます。

例えば、カレーを食べた後で気持ち悪くなった経験があると、カレーの味・匂いなどの情報が抽象化されて記憶され、気持ち悪い時の匂いとして記憶されるため、苦手になる可能性があります。

ちょうど同じタイミングで感染性胃腸炎に罹っていて気持ち悪さがたまたま同じタイミングで出てきたとしても、脳はこの因果関係を合理的には判断せず、その時の記憶を抽象化して保存し、未来の判断に利用しています。

つまり、気持ち悪くなった原因は感染性胃腸炎であったとしても、気持ち悪くなった時に周囲にあったもの(情報)であるカレーの匂い、味は危険だと間違った学習をしてしまうことがあるのです。

これが自覚的な記憶にあれば、昔カレーを食べた後に気持ち悪くなったから、カレーが苦手なんだなと自分でも理解できるのですが、抽象化された記憶は本人も覚えていないことが多いです。

人の好き嫌いも抽象化された記憶が作り出している

食べ物の例で説明させて頂きましたが、人の好き嫌いも同じように抽象化された記憶により作り出されていると考えられています。

過去に自分に対して褒めてくれたり、優しく安心させてくれたり、守ってくれた。そんな人の情報を抽象化して記憶しています。

同じように自分に対して否定的だったり、攻撃をしてくる人、不安や怒り、恐怖を感じている時にそばにいた人の情報も抽象化して記憶します。

抽象化して記憶された情報はその後の好き嫌いの判断に利用されます。

抽象化された記憶とは、髪型、匂い、表情、体格、目の動かし方、声、話し方など、ノンバーバル(非言語)の情報を多く含みます。

例えば、母親もしくは父親がメガネをかけている方の場合、メガネをかけている人は自分のことを保護してくれる可能性が高い(保護してくれた実績がある)と脳は判断し、抽象化された情報を持っている人を好みます。

嫌いになる場合はこの逆で、不快な感情にした人やその時にそばにいた人の情報を抽象化して記憶しておくことで、次回以降抽象化された情報を持っている人を避けたり、攻撃対象だとみなして嫌いになります。

嫌われる原因は相手の経験に依存する

あなたが相手に対して不快な行動や言動、攻撃を加えていないにも関わらず、相手があなたのことを嫌いになることがあります。

その原因の多くは前述した通り、過去の相手の人生経験の中でどのような人がそばにいて、どのような扱いを受けてきたか?などに大きく依存します。

あなた自身も経験があるとは思いますが、何となくこの人のこと苦手だなとか、怖いと感じる人が今までにいたと思います。

その原因はあなたに対してあまり友好的ではなかったり、あなたが不快な気分になった時にそばにいた人の特徴を何か持っているためです。

それはあなた以外の人も同じで、たまたま相手が過去に経験してきた人生の中で不快に感じた際に記憶された情報に似た情報をあなたが持っているというたったそれだけの理由で嫌われてしまうのです。

もちろん、嫌がらせをされる(する)など、相手(あなた)から攻撃を受け続けていれば情報が抽象化されて記憶されていくため、嫌いになっていきます。

厄介なのは、なぜ嫌いなのか?なぜ好きなのか?といったことは抽象化された記憶が元になっているのですが、本来は「過去の経験からそう思う」と認識できていれば良いのですが、私達の脳は最もらしい理由を作話して辻褄を合わせてしまう性質を持っている点です。

つまり、私達が好き・嫌いになる理由は快・不快な感情になった過去の経験を元に判断しているだけで、あなた自身のことを適切に評価することが私たちはできないのです。

嫌われた際に好かれようとはしないでください

それでも、他人から嫌われると凹んで気分が落ち込んでしまいますよね。

それ自体は本能的に刷り込まれている防衛反応なので、他人から嫌われて辛いのは自然なことなので、その感情を否定する必要はありません。

自分自身に「嫌われて辛いよね〜」と慰めの言葉をかけて自分自身を慰めてあげてください。

しかし、好かれようと努力することはやめましょう。

前述したように過去の相手の経験によりあなたが嫌われてしまっている可能性が高いため、あなたが努力をしても相手の過去の経験を書き換えることはできないからです。

相手に好かれようと色々としているうちにあなた自身がすり減っていってしまいます。

理由はわからないけれど、過去に不快な感情になった時に、私と特徴が似た人がそばにいたんだなぐらいで捉えて、あなたの特徴が掴みにくくなるぐらいの距離まで物理的に離れて生活するように心がけましょう。

人の好みを変えようとしても多くの場合、あなた自身がすり減ってしまうだけなので、そこにエネルギーを使うぐらいなら、あなたのことを好いてくれている人のためにエネルギーを集中しましょう。

まとめ

他人から嫌われたくないという感情は私達が生き残るために獲得した本能のため、とても自然な感情です。

しかし、大人数で生活するようになったことで、あなたのことを嫌いだと感じる人と遭遇する確率が上がっているのも事実です。

私達の好き嫌いは過去に経験した快・不快という感情を抱いた際にそばにあった情報を抽象化して記憶したものが判断基準として使用されています。

そのため、あなたが何もしていなくてもあなたのことを嫌いになる人が出てきてしまいます。それはあなたが何らかの特徴を持っているがために、他人が過去に不快になったタイミングでそばにあった情報の特徴をあなたが持ってしまっていると自然に発生するからです。

しかし、あなたが悪いわけではなく、あくまでも相手の経験によるものなので、あなたは何も悪くありません。しかし、嫌われないということは原理的には不可能です。

嫌われた際に好かれようと努力するとあなた自身が疲弊してしまう原因になるので、やめましょう。

あなたが好かれようとするというのは、相手の経験の記憶を書き換えようとすることと同じ行為のため、不可能だからです。

あなたのことを嫌いになった人に好かれる努力よりも、あなたのことをすいてくれる人と楽しい時間を過ごすためにエネルギーを集中させましょう。

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心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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心理・脳科学
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