子供をスマホ・タブレット・ゲーム依存にしない・させない対策

ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。

スマホをはじめとしたデジタル機器はここ10年ぐらいで急激に普及した為、人間の脳に与える影響やそのメカニズムがまだよくわかっていないことも多い分野ですが、徐々に脳への影響についてわかってきています。

今回はそんなスマホ・タブレット・ゲーム(以下:スマホ)といったデジタル機器の長時間使用が与える脳への影響とそういった影響を与えない方法について一緒に考えていきたいと思います。是非最後までお読みください。

結論:未成年は使用時間を1時間未満に制限をかけたうえで、デジタル機器を与えましょう

1時間未満に制限と聞くとそんなに短いの?と思われるかもしれませんが、子供が1時間以上スマホを利用した場合、認知能力、記憶力、認知能力が低下することがわかっています。

また、3時間以上スマホを使用している子供の場合は、MRI画像で脳の発達を調べたところ発達が止まっていることがわかっています。

脳の発達は後頭葉から前頭葉に向かって徐々に発達してくるため、我慢や理性を司る前頭葉の部分が未発達な成長途中の子供の脳では自分でスマホを管理することは脳の発達の観点から見ても、まだできません。

その為、前頭葉がある程度発達する成人までの間は、親御さんがある程度デジタル機器の管理に関与する必要があります。

しかし、一度スマホを自由に使わせてしまってから、制限をかけようとすると離脱症状などもあり、強い抵抗や反発にあったりしてしまいます。

その為、スマホを与える時点で1日の使用を1時間未満に制限をかけることを条件に与えるという予防的な措置が一番効果的です。

限られた使用時間である1時間未満をどうやってうまく使用するのかを考えて使用することで、将来、自己管理のスキルにつながっていきます。

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スマホの長時間使用で子供に起こること

スマホを1日の中で長時間(1時間以上)使用することで子供の脳にどのような影響が出るのか?が研究されており、以下の7つの影響があることが確認されています。

メカニズムはまだ不明ですが、スマホは特に前頭葉という脳の前の部分の機能を抑制してしまうことがわかっており、使用をやめてからも抑制の効果が持続します。

前頭葉

前頭葉

人間の脳は環境への適応の為に、未発達の状態で生まれ、生まれた環境に合わせて発達を調整するようになっています。

その為、環境からの適切な刺激を受けることで脳の発達が正常に行われていきます。

子供の場合は前頭葉が抑制(使われない)されることで、適切な刺激を受けることが出来ず、発達しなくなってしまうことが特に問題となります。

前頭葉は特に人間が人間らしさを発揮する部分で、考える(思考)、判断、行動、感情のコントロール、コミュニケーション(他者の気持ちを理解する)、記憶、応用力、集中力、やる気などに関与すると考えられています。

学力の低下

思考力や判断力、記憶力、応用力、集中力などが低下する為、結果的にIQが低下しやすくなります。

スマホの恐ろしいところは勉強時間が削れたから学力が下がっているわけではないという点です。学校の授業を受けて自宅でスマホを全く使わない子供と、学校の授業を受けて自宅でスマホを3時間いよう使用するが自宅学習を2時間行う子供の場合、自宅学習を行った後者の方が学力が上がるのでは?と思いたくなります。

しかし、実際には自宅学習をしないけれどスマホを全く使わない子供の方が学力が高まりやすい傾向にあります。

勉強の効果が脳の機能低下によって打ち消されることがわかっています。

集中力の低下

大人でもスマホの使用時間が長い方ほど、集中力が低下しますが子供の場合も同様に一つのことに集中していることが出来なくなってしまいます。

ADHDのような症状が出る為、近年発達障害の診断を受ける子供が多い原因の一つがスマホなどを小さい時から使っていることで集中力が保てなくなっているのではないか?と考える学者も多いです。

情緒不安定

前頭葉は感情をコントロールし、論理的思考に関与する部位です。その為、キレやすい、落ち込みやすい、不安になり易いなど、情緒の不安定が前頭葉が発達しないことによることが原因とする説も考えられています。

若年者の自殺率が増加傾向にありますが、こういった情緒の不安定からメンタルヘルスへの悪影響が起こっているかのうせいも考えられています。

コミュニケーションスキルの低下

私達は直接会って話をすることで、脳の活動が同期するという現象が起こることがわかっているのですが、オンラインでのビデオ通話を含めたコミュニケーションではこのような現象が起こらないことがわかっています。

脳の活動が同期するというのは、他者と感情の交流が起こっていることを示していますが、オンライン上でのコミュニケーションではこのような現象が起こりません。

その為、オンラインコミュニケーションをいくら行ってもコミュニケーションスキルはほとんど向上しないことになります。

直接会って人と会話することで、コミュニケーションスキルは高まっていくのです。

脳の発達への悪影響

日本だけでなく海外でも発達障害の診断を受ける子供の数が増えています。

発達障害というのは本来は「遺伝的要因」により脳の発達が平均的な子供とは異なる発達過程となるものですが、「後天的な要因」で脳の発達が行われないことで発達障害と誤診されている子供が多いのではないか?と考えられています。

現在のところ遺伝的なのか、後天的なのかを判断することが出来る医学技術がない為、症状や知能検査などから判断されますが、適切な環境で育てば発達障害と診断されていなかった可能性についても示唆されています。

MRIを使ってスマホの使用時間と脳の発達を追跡調査(同じ子供のMRI画像を3年後にもう一度撮影)した研究では、スマホの使用時間が1時間未満の子供の脳は正常に発達していた(前頭葉が成長していた)のに対し、スマホの使用時間が長い子供の脳は3年前から変化がなかった(前頭葉の成長が止まっていた)という研究結果も報告されています。

メンタルヘルスの低下(うつ病、不安障害、双極性障害)

情緒の不安定だけでなく、実際にスマホを長時間使う子供はうつ病、不安障害、双極性障害といった精神疾患の発症リスクが高いことがわかっています。

スマホの普及がし始めた10年前ぐらいから若年層の精神疾患が増えており、未成年の自殺者数の増加も因果関係がないとは言い切れません。

睡眠障害

スマホの使用時間が長くなるにしたがって、睡眠に問題を抱える子供が増える傾向にあります。

スマホを寝室に持ち込むだけでも睡眠時間が16分短くなったなどの研究報告もあり、睡眠に悪影響があるのは明らかです。

子供の場合は睡眠により心身の成長が促されますが、睡眠が悪影響を受けることで心身の成長を妨げてしまいます。

不登校を誘発しやすい

単純にコミュニケーション能力が低下し、学力も低下し、メンタルヘルスまで悪くなると学校への適応が難しくなります。

こういった理由であれば、なぜ学校へ行けないのかを説明することが難しいのは当然です。なぜかよくわからないけれど、コミュニケーション能力が低いので友達とのコミュニケーションで疲労してしまいやすい。

何とかついてはいっているものの、勉強を頑っているにもかかわらず努力に見合った成果が出ないといったことを抱えることになり、メンタルヘルスも悪いためネガティブな気分でいることが多くなります。

結果的に不登校を誘発しやすくなってしまいます。

親御さんがダラダラ使っている姿を見せない

現段階の研究では、大人のスマホの使用時間も2時間未満が推奨されています。

子供は親御さんの行動を真似て成長しますので、親御さん自身がダラダラとスマホを使用している姿を見せないこともとても大切です。

大人の場合は仕事上PCなどを使用せざるを得ない部分はどうしてもあるかと思いますが、プライベートで使用するスマホの使用時間を2時間未満に管理できるようになることが大切です。

スマホ子守はなにを犠牲にしているのか?

日本小児科医会は2歳未満の子供にスマホを使用させることに否定的な見解を出しています。

https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/smh_leaflet.pdf

これは人間の感覚器などの発達から考えてもその通りで、時間が経過すれば自然と能力が身につくのではなく、人が人に関わること、五感からの体験を通して人間の子供は正常な発達をしていきます。

子育てはとても大変ですのでスマホ子守をしたくなるお気持ちもわかります。しかし、子供の脳の発達にどういう悪影響があるのかということが、まだ誰もしっかりとわかっていないことだけは確かです。

もちろん、遺伝的にスマホ子守をしたからといって悪影響が全くない子供も一定数いると考えられますが、スマホの悪影響は研究レベルでは確実に存在することは確かです。

脳が完成し終わった大人であっても、脳の機能が低下するものを子供に使わせることにはもう少し慎重になった方が良いかもしれません。

 

まとめ

未成年の場合はスマホの使用時間を1時間未満になるように設定したスマホを渡すことを最初から条件として出すことで使用を開始することがお勧めです。

1度自由に使わせてしまうと、依存症状が出てきてしまいやめさせようとしても離脱症状もあり簡単には離脱させることは出来なくなります。

まだスマホが普及して10年ぐらいですが、長時間のスマホの使用が子供の脳に与える影響が完全ではないものの悪影響があることがいくつかわかってきました。

学力の低下やコミュニケーション能力の低下など、人間の人間らしさを作り出す前頭葉の発達が止まってしまう為、そのリスクを親御さんが把握しておくことが大切です。

子供は正常な発達をしていても、理性でスマホとの付き合い方をコントロールできる年齢にない為、少なくとも成人するまでは親御さんがスマホの使用を管理することが必要になります。

子供のスマホ使用に関しては最初に制限をかけることが大切ですが、親御さんがどのようにスマホと付き合っているのかも子供は見ていますので、親御さんも2時間未満(子供に合わせて1時間未満でもよいです)に使用時間を制限する姿を見せることも大切です。

日本小児科医会も2歳未満のお子さんにはスマホの使用に否定的ですので、スマホ子守についてはよく考えましょう。

既に自由にスマホを使用させてしまっている場合には、別の対応が必要になります。

当院での改善をご検討の方は不登校起立性調節障害をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、子供について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経・メンタル専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
パニック障害、広場恐怖症、うつ病などの精神疾患領域と起立性調節障害、機能性ディスペプシア、眩暈などの自律神経疾患の専門の鍼灸師。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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