不登校の子供、社会復帰までの4つのステージ

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

当院へは朝起きられない、朝起きると頭痛・腹痛・吐き気などで学校へ行けないという起立性調節障害の子供が多く来院されています。

しかし、起立性調節障害は血圧の調整不全を主体とした病態である為、似たような症状が出ていても血圧が正常であったり、起立性調節障害でも血圧が正常である病態があるといった見解があったりと、不登校と起立性調節障害ははっきり区別することがとても難しいのが正直なところです。

起立性調節障害の血圧異常があっても不登校の問題を抱えている子供も多く、今回は不登校の子供が回復していくまでの4つのステージについて一緒に考えていきたいと思います。

結論:ステージごとに対応を変えていく必要がありますが、基本的には受容的な対応が大切です

不登校の子供は大きく以下の4つのステージに分けることが出来ます。

  1. 前駆期
  2. 進行期
  3. 混乱期
  4. 回復期

子供が学校への行き渋りや弱音を吐くなどわかりやすい変化を出してくれれば良いのですが、多くの子供は察知するのが非常に難しい小さな小さなSOSを出している前駆期があり、そこから徐々に不登校へと進行していきます。

進行期に入りきるまでは前駆期との間を行ったり来たりすることがありますが、一旦進行期に入ってしまうと、体調不良も本格化して学校へ物理的に行けなくなっていきます。

前駆期に来院されている場合は、比較的簡単に改善していくのですが、進行期に完全に入り切ってからですと、混乱期、回復期を経なくては社会生活に戻っていくことが難しくなっていくため、察知するのが非常に難しい小さな小さなSOSを見逃さないことがとても大切です。

前駆期

学校へ行き渋るなどはっきりとしたSOSをだしてくれる子供の場合は対応がしやすいのですが、なんとなく元気がない、勉強が手につかないぐらいのSOSしか出さない場合もあります。

様子の変化に気が付いても、声をかけても「大丈夫」と親に心配をかけないように子供側の方からは助けを求めてこないことも多いです。

子供自身も親に心配をかけたくないという想いや、自分の感情やどういう助けを求めたらいいのかをうまく言語化できないこともあります。

この時期は無理に根掘り葉掘り聞くのはよくありませんが、「私達は常にあなたの味方だよ」「何があっても守るからね」など、子供がいつでも親に助けを求めてもいいんだ、一緒に問題解決に取り組んでくれる味方がいると思えるような声掛けを行っていくことが大切な時期です。

進行期

朝起きられない、頭痛、腹痛、だるいなどの体調不良や学校へ行けないという具体的な不登校が始まる時期です。

小さなSOSを出す前駆期に気が付けていなかった場合には、急に学校に行けなくなったと親御さんも不安になって焦ってしまい、学校へ行くように言ったり、理由について根掘り葉掘り聞きだそうとしてしまったりします。

子供自身はまだ自分の感情の整理が出来ていない時期の為、なぜ学校へ行けないのかを言語化できないことが多く、この時期にあれこれ聞かれるのは苦痛なことが多いようです。

学校へ行かなくてはいけないとわかっているのに学校へ行けていない、親御さんに心配をかけている自分はダメだと強く感じる時期でもある為、そのストレスから体調不良が出てくることが多いです。

この段階で来院される方が多いのですが、まずは体調不良を何とかする(不登校になっているという事実を親子ともに受容できるようになる)ことから始めていくことが大切です。

 

混乱期

不登校の事実が親子ともに受け入れられてくると、子供にかかっている心理的なストレスが軽くなってきますし、親の受容的な接し方が子供にとっては安心感になることから、学校へはいけないけれど家でそれなりに楽しく過ごせる状態へと変わっていきます。

学校へ行く方法について考えるなど、ストレスをかけなければ体調が安定している為、体調を崩したくないがために、この状態を維持してしまいやすくなるようになったり、元気そうにしているので、親御さんも家で遊んでるなら少しぐらい勉強して欲しいなどの気持ちが出てきて、子供に対する受容的な態度から、指導的な態度に態度を変えてしまいがちな時期です。

体調不良が改善されている為、少しずつ自分の将来について考える余裕も出てくるのですが、学校へ行けていないので勉強が出来ていないので将来が不安なので考えるのが怖いという心理的にはさまれた状況になり、無理に考えさせると再び体調不良が起こってくることもある為、対応が難しいです。

全く触れないことも現状が維持されていくので良くないですし、過剰に触れすぎるのも体調不良を引き起こすのでバランスが求められます。

親子間だけだとせっかく安定した親子関係に傷が入ることもあるので、カウンセラーなど第三者の介入を手助けをうけることも大切です。

体調は良くなっているのですが、勉強をしなくてはいけないという気持ちと、学校へ行っていない為勉強に遅れている勉強のできない自分を見るのが怖いという感情の葛藤もある為、勉強への意欲も上がってきません。

家でダラダラゲームと動画を見て1日過ごしているという状態になる子供が多いので、勉強という形ではなく、少しずつ外に連れ出して新しい体験をさせてあげることで知的欲求を刺激することも大切です。

回復期

少しずつ自分で勉強を始めたり、外出を比較的積極的に出来るようになってきます。

自分に対するネガティブなイメージが少なくなってくるにしたがって、活動的にもなってきます。在学中のコミュニティに違和感がなければそのまま学校へ自分で行き始める子供も多い時期です。

単純に体力的に1日学校へいるのが大変だったりもある為、適度に親御さんがブレーキをかけて体調を管理しながら学校へ戻っていく時期になります。

(不登校であったことを知られている為)現在のコミュニティに戻りたくない場合には、クラス替えや進学、転校などを機に学校へ通い始める子供も多いです。

回復期にだどりつくのに、数ヶ月の場合もあれば何年もかかる方もいるので、簡単ではありませんが親御さんが根気よく子供の味方でい続ける受容的な関わりを続けていくことが大切になります。

まとめ

不登校は前駆期、進行期、混乱期、回復期の4つのステージに分けて考えることが出来ます。

全てのステージに共通して親御さんが子供の味方であることが子供に伝わるような受容的な対応が重要です。

前駆期は非常に小さなSOSしか出さない子供もいる為、必ずしも進行期へ移行しないようにできるわけではありません。

進行期に入ってしまうと朝起きられない、頭痛、腹痛など自律神経の問題が絡む体調不良が出てくるようになります。

進行期は子供の中にある葛藤や周囲の人からの圧力などがストレスとなり体調不良を引き起こしている為、自己否定的な感覚が強くなるほど体調不良もより強くなっていきます。

一旦学校へ行くことをあきらめる、もしくは学校へ行けないことを受容して許すという心のプロセスが親子ともに必要な時期です。

受容できるようになってくると混乱期に入ってきて、体調は安定しますが、学校へ行くことは出来ません。

徐々に外に連れ出すなど、新しい体験や人との関わりを通して知的好奇心を刺激して、学ぶ意欲や興味を育てていく時期です。

回復期に入ると、意欲が戻って自ら勉強し始めたり、外出もしやすくなっていくため徐々に社会復帰していくことが可能になってきます。

不登校の問題は自然にこのステージが時間経過とともに進んでいくわけではないので、徐々に対応を変えながら受容的な関わりを根気強く続けていくことが大切になります。

当院での改善をご検討の方は不登校起立性調節障害をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、子供について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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