パニック障害の薬を飲み続けたくない方へ、薬をやめたいをどう実現していくのか
結論:減薬・断薬が出来るよう、慎重すぎるぐらい慎重に薬をやめるようにしていきましょう
減薬・断薬は薬がなくても長期的に健康な心身が保てる状態になっていないと、減薬の途中や断薬までは出来たけれど、数ヶ月から数年後に再発して再び薬に頼る生活に逆戻りしてしまいます。
パニック障害は再発率が50%以上と高い疾患なので、とにかく薬をやめたいという感情だけで薬をやめないことが大切です。
ある程度の期間使用されている方であれば、絶対に自己判断でやめてはいけません。
減薬・断薬を行う大前提
パニック障害は脳内のセロトニン量の低下によって引き起こされると考えられています。
薬によって化学的にセロトニン量を増やしてもセロトニン量を減らした原因がそのままであれば、薬をやめて元の生活に戻ると再びセロトニン量が不足して再発します。
セロトニンの分泌量に対してセロトニンの回収(分解)量の方が多い状態を解消しない限り、薬を完全にやめることは出来ません。
脳内のセロトニン量を減らしてしまう物理的、化学的、生物的、心理社会的ストレスを可能な限り減らした生活に変えることで、薬なしでもセロトニンの分泌量とセロトニンの回収量のバランスがとれるようになること重要です。
精神科・心療内科は薬物治療のみで再発予防まで十分な指導が行えていない病院も多いため、認知の癖の改善、運動指導、食事指導など生活習慣全般まで広範囲にあなたの改善を一緒にサポートしてくれる医療者との関わりを持つようにしてください。
パニック障害に用いられる薬は大きく2種類
パニック障害に用いられる薬には抗不安薬(ベンゾジアゼピン)と抗うつ薬(SSRI)という2種類の薬があります。
対症療法としてのお薬(抗不安薬)と治療薬としてのお薬(抗うつ薬)という目的が異なるものなので、適切な使用を行っていくことが大切です。
抗不安薬は対症療法として辛い時に使用するお薬
抗不安薬は不安感情や緊張状態を数時間から数日抑える対症療法(症状を一時的に抑える)として用いられる薬です。
即効性があり、副作用も少ないことから最初に処方されることが多い薬です。
多くの人で安定した効果が得られやすいのですが、2週間以上毎日使用すると依存形成をしてしまう為、長期間の使用は行わないようにするようガイドラインで定められています。
参考文献
しかし、依存の問題を除けば副作用が少なく、即効性があることから医師も処方しやすく、長期間使用して依存形成によりなかなかやめることが出来なくなってしまう方が多いのも抗不安薬です。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬一覧
短時間型:グランダキシン・リーゼ・デパス
中間型:ワイパックス・ソラナックス/コンスタン・レキソタン
長時間型:セルシン/ホリゾン・リボトリール/ランドセン・セパゾン
超長時間型:メイラックス
抗不安薬は2週間以上の連続使用で依存が形成される
抗不安薬(ベンゾジアゼピン)は文献によりばらつきはありますが、2週間から1ヶ月程度使用し続けると、依存が形成されるとされています。
通常は抗うつ薬(SSRI)が効いてくる2~3週間ぐらいのタイミングで、辛い時だけ使用する頓服薬へと用法を変更します。
不安感が強くてSSRIだけでは症状が抑えられない場合などは医師の判断でそのまま依存の問題を無視して常用する処方を行うこともあります。
抗不安薬を飲んでいれば症状が抑えることが出来て、日常生活への悪影響は抑えられますが、薬をやめる為には薬物依存症の治療が後に必要となります。
依存形成がなければ抗不安薬は突然やめても無害
抗不安薬は依存状態になっていなければ、突然投薬を中断しても特別害がないお薬です。
しかし、依存状態になってしまっていると薬をやめると不安、焦燥感、動悸、眠れないなどの離脱症状が出てきます。
抗不安薬をやめた際に不安症状が出てくる場合、離脱症状なのかパニック障害による症状なのかの見分けがつきにくい為、やめて症状が出る場合には医師と十分相談することが必要です。
依存症状であればそのまま使用を中止していればいずれ症状は消えていきますが、パニック障害による症状の場合はそのストレスからパニック障害を悪化させてしまうことになるので判断が難しいところです。
抗うつ薬は脳内のセロトニン量を増やす治療を目的としている
パニック障害に用いられる抗うつ薬はSSRIといってセロトニンの回収(分解)、再吸収を邪魔することで脳内のセロトニン量を増やすお薬です。
パニック障害は脳内のセロトニン量が低下することで発症すると考えられている為、抗うつ薬を長期間使用し続けることで脳内のセロトニン量を増やしていきます。
しかし、薬の性質上、セロトニンが十分足りているシナプスでもセロトニン量が増える為、その副作用が使用開始時や容量の増加時に出やすく、薬の効果を実感するまでに2~3週間程度と時間がかかります。
最初は少ない量から始めて最大容量まで徐々に増やし、3ヶ月から半年程度その状態を維持して脳内のセロトニン量を十分増やしてから、徐々に減薬していきます。
もともと半年から1年程度は使用を継続することを前提に投与を開始する薬の為、体調が良くなってきたとしても通院・投薬を継続することが必要になります。
長期投与が前提なので、一度飲み始めるとやめられなくなるという誤った認識を持たれる方が多いですが、抗不安薬の依存形成の方が厄介なのでそれほど気にする必要はありません。
体調が良いからやめたいと途中で思われる方が多いですが、パニック障害の再発率が高い理由の一部は十分にセロトニン量が増える前に自己判断で通院・投薬をやめてしまうことがあるので、自己判断は禁物です。
抗うつ薬SSRI一覧
セルトラリン(ジェイゾロフト)
エスシタロプラム(レクサプロ)
パロキセチン(パキシル)
フルボキサミン(ルボックス/デプロメール)
抗うつ薬は症状がなくなってからも飲み続ける理由
症状が安定してしてきて日常生活も問題なく過ごせるようになってくると、何のために通院しているんだろうとか、お薬をそろそろやめたいと考えるのは普通のことです。
しかし、常識的な心療内科医や精神科医であれば症状が良くなってからも変わらずに同じ量の薬を処方し続けます。
調子よくなっているのに、なんで薬を減らしてくれないのだろうと思われる方も多いかと思います。
頓服薬(抗不安薬)と違い、抗うつ薬は脳内のセロトニンを再吸収(分解)を邪魔することで脳内にセロトニンを留めて、セロトニン量を増やす薬です。
その為、ある程度脳内のセロトニン量が増えた段階で症状自体は安定してくるのですが、その段階で薬の量を減らしてしまうと、また症状が出てくるレベルまでセロトニン量が減ってしまい再発がしやすいのです。
例えるなら、借金していた状態から借金を返し終えた状態が、症状が安定してきた状態ですが、予定外のちょっとした出費があるとまた借金をせざるを得なくなるのと同じで、ある程度までセロトニンを蓄えておきたいというのが現在の薬物治療の基本的な考え方です。
実際に症状がなくなってからも半年から1年ぐらいは、量を減らさずに投薬を継続した方が再発率が低いというデータが出ています。
ある程度のセロトニンの蓄えが出来た時点で、減薬・断薬に向けて少しずつ投与量を調整していくのが薬物治療のオーソドックスなパターンです。
抗うつ薬はいきなりやめてはいけない
SSRIは、セロトニンの再吸収(分解)を邪魔することで脳内にセロトニンを留めておく治療法です。
セロトニン量がある程度多い状態まで投薬を継続し、それから徐々に減薬して多少のストレスが加わっても直ぐに再発しないように余裕を持った期間投与します。
無症状であることとセロトニン量が十分に確保できた状態は必ずしもイコールではありません。
SSRIを投薬していると、薬が入った状態に身体が順応する為、突然投薬をやめてしまうとセロトニンの回収と分泌のバランスが急激に崩れてセロトニン量が一気に低下して悪化してしまうことがあります。
いわゆる離脱症状を引き起こします。依存状態と言えなくもないですが、SSRIの場合は適切な減薬でやめられるお薬だと考えられています。
減薬の基本は減らして慣らすを繰り返す
通常の減薬の方法は、減薬を開始してから一定期間はその減薬量を維持します。
その減薬量をある程度の期間維持してもセロトニン量が維持して不調が現れてこなければ、さらに少し減らすといった具合に、減らしてしばらく慣らす期間をおいてを繰り返しながら徐々に減薬して最終的に断薬していきます。
どのぐらいの量を減らしていくのか、その減らした期間をどのぐらいとるのかは、医師の経験や研究報告を参考に決めていくのが一番成功確率が高い「薬をやめる方法」になります。
しかし、ある一定レベルまで減薬すると、どうしても症状が戻ってきてしまう場合には、セロトニン分泌低下となった原因を現在も抱えたままの状態になっていたり、セロトニンの分泌を促す生活習慣が身についていないことが考えられます。
ストレス環境を取り除いたり、心理的、身体的アプローチでストレスの原因を取り除くことが必要になります。
薬をやめられない場合も存在する
あまり多くはありませんが、何度も強いストレスを長期間受けて、何度も再発を繰り返しているパニック障害の場合には、セロトニンを分泌する神経細胞の数が死滅して減りすぎてしまい、それ以上薬を減らすとセロトニン量が維持できない場合もあります。
慢性化した重度のパニック障害では薬を一生使い続けていく必要があり、薬をやめるというのが不可能な場合も存在します。
そうならないためには、なるべく最初の段階で治療を始めること、途中で治療をやめないこと、再発させないことなど、徹底して再発を予防することが大切になっていきます。
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