熱中症になった後から出始めた頭痛が治らなくて来院した10代男性(浜松市)の鍼灸症例

心身堂院長 佐野佑介
この記事を書いた人

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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<初診時のカウンセリング>
3週間前に熱中症になり、その後からずっと軽い頭痛があり部活を休んでいた。

先週になり、頭痛も軽かったため部活の練習に出たところ頭痛が悪化し、拍動性の激しい頭痛が出るようになり来院した。

今回、初めて鍼灸を受ける。

<施術内容と経過>
熱中症による脱水症状として出ている頭痛なのか、脱水によって頭や首の筋緊張がひどくなって血管圧迫が起こって、その結果として片頭痛になっているのか、もしくはその両方合わさった病態なのかがはっきりしない為、水分補給による脱水の改善を並行して行っていく事とする。

初回
全身調整を行った後、首肩周辺と痛みのある頭痛の発生しているこめかみ周辺の筋肉を緩める。

2回目(一週間後)
姿勢の改善などはみられるのだが、あまり大きな変化はなく頭痛は継続している。しかし、姿勢が改善している割に1週間しか間をあけていないにもかかわらず、首肩こりが前回と同レベルで緊張している状態である。全身調整と首肩こりの改善。

3回目(一週間後)
前回の施術後、施術したその日はかなり頭痛が楽で過ごせていたのだが、一晩寝て起きたら再び頭痛が復活していたとのこと。全身調整と首肩こりの改善。

4回目(一週間後)
首周りも柔らかくはなってきているものの頭痛は継続中。熱中症による脱水からの回復が十分に行われていっている感じがない為、水分補給のタイミングまで細かく指導。全身調整と首肩こりの改善。

5回目(一週間後)
前回の施術後、もう一度病院へ行き検査したとのことでやはり脱水が改善してきていないとのことで点滴で水分を入れてきた。点滴後も頭痛にあまり大きな変化はなかった。内臓調整を追加する。

6回目(一週間後)
大きな変化は出ていない。感情面の不安定感が感じられたため心理療法を行ったところ頭痛が軽減。

7回目(一週間後)
前回の施術後からは4日ぐらい頭痛が軽い状態で楽に過ごせていたとのこと。心理療法と合わせて神経を鎮静化させる目的で気功療法を追加。

8回目(一週間後)
慢性的な弱い痛みはあるが、強い痛みが出る頻度が減ってきている。心理療法と気功療法。

9回目(一週間後)
だいぶ頭痛が改善し、いしきして頭痛を探せば痛みを感じることは出来るが、普通に生活している分にはほとんど自覚することなく過ごせていた。

10回目(10日後)
日常生活では頭痛を感じることはないが、運動した後にだけ1時間程度頭痛が出ている状態が継続している。

11回目(二週間後)
テストがあり、その緊張感からか勉強し過ぎなのかわからないが頭痛が悪化して首こりがひどくなっていた。首こりを緩めることと、気功療法の併用。

12回目(二週間後)
日常生活ではほとんど頭痛を感じることはなかった。運動後に頭痛が出るが、運動直後ではなく少し時間がたってから30分程度頭痛が出て自然に消えるという感じになってきている。

13回目(3週間後)
かなり状態は良くなり、運動後に痛みが強くなることもあるが、痛みが全くでないことも増えてきている。

14回目(一カ月後)
運動しても頭痛が出ることもなくなり、問題なく過ごせている。今回で卒業とした。

<まとめ>
脱水、神経の過剰興奮、首こりが複雑に絡み合った頭痛の症例。

脱水による頭痛は鍼灸の適応範囲外の為、水分補給については初回からの指導に甘い部分があったと反省しなくてはいけない。

首こりも頭痛を引き起こしてはいたのだが、施術の内容と経過からすると気功療法による脳の神経の興奮を鎮める施術が一番よく聞いており、脱水になった際に神経の異常興奮がはじまったのではないかと思われるが、こういったパターンの症例は初めて勉強させて頂いた。

※こちらの記事は症例であり、全ての方に効果を保証するものではありません。効果には個人差があります。

頭痛の改善について詳しく解説していますので、ご興味がある方は是非ご覧ください。