こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。
本人は「学校へ行きたい」といっているけれど、朝になると頭痛・腹痛・朝起きることが出来なくて、学校へ行くことが出来ない。
しかし、休日は症状が軽くなったり、大丈夫なことも多い場合には「学校へ行きたい」の心理状態は少し複雑です。
今回はそんな子供の心の心理について一緒に考えていきたいと思います。ぜひ最後までご一読ください。
結論:自分の感情が上手く自覚できなくなっている
学校へは行かなくてはいけないという教育がしっかり行われている真面目な子供ほど、学校へ行きたいと思えば思うほど症状が重くなって、行けなくなる傾向があります。
逆に学校へ行きたくないとはっきり自覚できていて、行かないと決めてしまえる子は不登校になっても、体調不良からは比較的早く改善されていきます。
学校へ行かなくてはいけないという価値観が強すぎて、学校へ行きたくない(もしくは、学校が怖い、不安)という感情が自分自身でも自覚できなくなっていることが考えられます。
行きたいという感情と行けないという現実でストレスを受けてより体調が悪くなりやすいのもこのタイプの子供です。
なぜ自分の感情がわからなくなってしまうのか?
大人でも自分の感情がわからなくなってしまうことはありますが、子供の場合は脳が未発達の為、大人以上に感情が認識しずらくなってしまう傾向があります。
自分の感情がわからなくなってしまう要因は主に2つです。
感情を認識する学習が進んでいない
自分の感情を認識するには養育過程の中で適切なサポートを受けることで学習していくことが必要になってきます。
しかし、適切なサポートを受けることが出来なかった場合には自分の感情がわからないという状態になります。
例えば、転んで泣いている時に親に起こしてもらいながら「転んで痛かったね。怖かったね。」と声をかけてもらいながらなだめてもらうことで、転んだときに発生した身体感覚(痛みの感覚以外にも心拍数が上がり、呼吸が荒くなり、筋肉が緊張するなど)が親からなだめられることで、「痛い」と「怖い」であると学習します。
私達はこのような体験を何度も何度も繰り返すことで、感情を身体感覚と言葉(意味付け)を紐づけることによって理解していると考えられています。
しかし、適切な声掛けをしてもらっていなかったり、転ばないように常に気を付けられていたりして、このような体験が少ないと自分の感情に対しての学習が進んでいないことがあります。
その結果、自分の身体感覚を言葉に表すことが出来ない為、自己認識が出来ないという状態になります。
感情を抑圧する環境で育った
感情を我慢させる割合が多い環境で育つと、感情を自己抑制することに慣れてしまい、感情を自由に表現することができなくなることがあります。
感情を表現することが苦手になるため、他人とのコミュニケーションで言いたいことを言えなくなり、その感情もさらに我慢するというループに陥りやすくなります。
その結果、抑圧された感情が溜まり、突然爆発することになりますが、感情のコントロールが不安定になるパターンと、自律神経症状が出たり、「理由のわからない学校へ行けない」という状態が発生します。
感情を抑圧する環境で育つというのは、子供の周囲にいる大人が高圧的に子供を支配して感情を我慢させるという場合もありますが、家族の誰かが障害や病気を持っており、子供ながらに家族を支える必要があり、自分の感情を抑圧せざるを得ない場合もあります。
また、親の意向に沿う行動をした時だけ親がとても喜び、そうでない時に親が落ち込むなど、間接的に子供の行動や感情を支配しているケースもあります。
このような場合には、親の意向に沿う行動をとろうとするため、自分の感情はなかったことにして親の希望に沿う発言「学校へ行きたい」を口にし、自分は本当にそう思っていると思い込みます。
子供の価値観を尊重するような養育が行われてこないと親と子の分離が行われません。
親子で会っても別の人なので価値観が似たとしても子供には子供の考えや価値観がありますが、親の価値観に子供が合わせていると自分の価値観と親の価値観が見分けられなくなってしまいます。
子供の中で、自分の価値観なのか親の価値観なのかがわからないという状態です。
その結果、自分の本当の感情は学校へ行くことに抵抗を感じていても、自分自身ではその感情に気が付くことが出来ず、「学校へ行きたい」という言葉を口にすることになります。
この状態に陥りやすい子は、素直に言うことを聞く「いい子」であることが多いです。
わからなくなってしまった感情を認識させるには?
自分の感情が認識できなくなってしまうという問題は深刻な問題です。簡単に改善させる方法はありません。
特に子供の場合は感情を表現する語彙力が乏しいこともあり、感情を表現することで回復させていくという大人に良く用いる心理手法が難しかったりします。
その為、少しずつ工夫をしたアプローチが必要になります。
感情を言葉以外で表現できる場合がある
不登校の気質を持つ子供はクリエイティブなことが好きな子供が多いです。
絵を描くのが好き、音楽が好き、踊るのが好き、小説や文章を書くのが好きなど、芸術系のことに関心を持つ子が多いのも特徴です。
こういったことに興味がある子供であれば、クリエイティブな事に熱中させてあげることも一つです。
何かを作り出すということそのものが、自分の感情を間接的に表現する方法になることがあります。
有名な画家や音楽家に小児期に逆境体験をしている人は多く、そういった自分の内的な世界を絵や音楽などの芸術に乗せて表現して自己治療の一環として行っていることが、芸術として評価されたと考えることもできます。
身体を通した自己対話の練習をしてみる
自分がどういう気分になっているのかを認識することが苦手なので、どういう気分?どういう感情?ということを聞いてもなかなか答えられないことが多いです。
こういった自分に対しての問いは継続していくことが大切にはなりますが、感情ではなく身体感覚に注目して自分の感情を理解していくことも有効です。
例えば、学校へ行こうとすると腹痛がし始める、だけれども休みの連絡をした瞬間に腹痛が軽減する。といった場合には、学校へ行くことに対して身体が拒否していることになります。
しかし、これをそう思ってない?と話をしても自分の感情を認識できないので、「学校へはいきたい」という会話に終始してしまうことになります。
学校へ行こうとすると腹痛がするという事実から、自分は学校へ行くのが嫌なのかもしれないと理解する事を行っていくと、身体感覚や症状から自分が嫌な事を理解できるようになっていきます。
この時に大切なのは、事実を事実として良い悪いという判断をせずに、そのまま受け止めることです。
自分が嫌なことがわかったら、今度はそれを肯定するような言葉をかけていって身体がリラックスするような声掛けを探していきます。
例えば、お腹も痛いし今日は学校休もうか、学校嫌だよね、教室怖いよねなど、色々な言葉をかけてリラックスして身体の不快感が緩和する言葉を探していきます。
リラックスした言葉こそが、その子の本来の感情です。
まとめ
・自分の感情を認識できなくなっていることが原因になっていることが多いです。
・共感的応答をしてもらえずに育つと身体感覚と感情をうまく認識できなくなる。
・感情を抑圧する環境で育つと、抑圧しすぎて自分の感情がわからなくなる。
・何かを作り出すことで間接的に感情を表現するようにしていく。
・体の反応から自分の感情を理解していく。
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