高熱後から頭痛が治らない理由~高熱後の後遺症~
結論:発熱時に発生した頭部や首の筋肉の炎症・緊張が解除されないと後遺症として頭痛が治らないという症状が残る
風邪をひく、ワクチンを接種するなどで高熱が出るのは、ウィルスや異物を身体から追い出すために免疫反応を強く働かせたことによるものです。
免疫反応が起こると、炎症を引き起こす物質が体中に広がります。
通常は風邪が治るなど、免疫反応を引き起こす必要がなくなると自然に炎症は鎮静化していくため、炎症を引き起こす物質も減っていき炎症が鎮静化します。
しかし、炎症が慢性化してしまったり、細胞が受けたダメージ(頭の筋肉の過剰緊張)が解除されないと、それが頭痛としてそのまま後遺症として残ってしまうことがあります。
これが発熱後の治らない頭痛を引き起こします。
慢性炎症は良く分かっておらず治りにくい
MRIなどの画像診断や血液検査では発病院の検査で発見することができません。
その為、鎮痛剤を出すのみで特別行える治療がありません。
生活して時間薬でよくなっていけばよいのですが、多くの場合自然に慢性炎症は治まることがなく、何年でも症状が継続してしまうというのは珍しい事ではありません。
慢性炎症については、そのメカニズムが医学的にもよくわかっていない為、慢性炎症を鎮めるための薬というものにも存在しません。
鍼灸は発熱後の頭痛が治らない後遺症に有効なのか?
慢性炎症は炎症が鎮まる過程がスムーズに進まないことが原因で低レベルではあるものの炎症が持続した状態であると考えられています。
つまり、炎症の鎮静化のプロセスがうまくいかなかった場合に、後遺症として頭痛が残っていると考えることができます。
通常の炎症プロセスは、急性炎症→回復というプロセスですが、慢性炎症は急性炎症→慢性炎症というプロセスになってしまったと考えることができます。
その為、鍼灸によって炎症を再度急性炎症状態に誘発することで、回復のプロセスをやり直させて正常な回復プロセスに戻すことができる場合があります。
鍼灸により人工的に管理された炎症を再度引き起こし、治るプロセスをやり直させることが慢性炎症を鎮める行為として有効な場合があるのです。
スマホの調子が悪い時に電源を入れなおすとよくなるのと似ています。
経験的にわかっている慢性炎症について
当院でも風邪やワクチン接種の発熱後から頭痛がずっと続いているという方を診させていただくことが多い為、経験的に慢性炎症についてわかっていることをご紹介させて頂きます。
私が考えているもっともよく見かける原因は、発熱の症状が消えた段階で心身に負荷をかけすぎた方に慢性炎症が起こっていることが多いように感じます。
炎症が完全に鎮静化する前の段階から、症状が治まったから治ったと普段通りの生活にすぐに戻してしまった方に、発熱後の頭痛が多くみられます。
また、再発するときも、慢性炎症を鎮静化させきる前に通院をやめて普段通りの生活にすぐ戻すと再発する方が多いです。
おそらく回復期に、炎症が鎮まりきる前に活動量を元に戻してしまう事が慢性炎症の誘因にはなるようです。
運動器の痛みなどで慢性化した痛みも慢性炎症によるものだと考えられている為、完全に回復する前に無理して使いすぎると慢性化して痛みが何年も続くのと同じようです。
発熱後の頭痛の治し方
高熱時に発生した急性炎症が慢性炎症に移行してしまったことが原因による頭痛の場合には、医学的に管理した状態で、急性炎症を再度引き起こして回復のプロセスをやり直すことで正常な回復プロセスにより、回復して行く可能性があります。
急性炎症を再度引き起こす際に鍼灸は、場所、管理する炎症の強さの調節のしやすさなどから考えると有効な方法だといえます。
しかし、適切な急性炎症のやり直しさえ行うことができれば、鍼灸でなくてはいけないというわけではないので、炎症の場所と管理さえしっかり行える方法であれば他の方法でも原理的には可能です。
自分で簡単にできる方法で、炎症の場所を的確に狙って、炎症の強さを適切に管理することは難しいので、専門家による手助けが必要です。
まとめ
高熱後から頭痛が治らない状態になってしまう原因として、発熱時に発生した急性炎症が正しい回復プロセスを経ずに慢性炎症へ移行してしまった際に、治らない頭痛になる場合があります。
慢性炎症について、まだ医学的には詳しくはわかっていないことが多く、慢性炎症を検査で見つける事や慢性炎症を鎮めるお薬は現段階ではありません。
当院では慢性炎症になって頭痛が起こっている場所に再度急性炎症を鍼灸刺激により誘発して、回復プロセスをやり直すことで改善した症例があります。
このことから、適切な場所に適切に管理した急性炎症を引き起こすことで、高熱後から頭痛が治らない状態は回復プロセスをやり直すことが一つの選択肢として有効だと考えられます。
原理的に鍼灸だけが唯一無二の方法ではないので、専門家による手助けを受けながら改善していくことは可能だと考えられます。
当院で高熱後の頭痛の改善に取り組みたい方は頭痛をご覧ください。