ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。
夜中に何度も目が覚めてしまって、また眠るを繰り返しているという睡眠の悩みをお持ちではないでしょうか?そのままひどくならず、自然に治っていく場合にはあまり問題にならないこともありますが、何度も目が覚めるのは睡眠障害ではよくみられる中途覚醒という症状です。
中途覚醒を放置した結果徐々に寝付けない、一度目が覚めると全然眠れなくなって睡眠不足を抱えるようになってきてしまう方もいますので、初期対応が大切な状態でもあります。
今回は夜中に何度も目が覚めてしまう原因と対処法について一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までお読みください。
結論:十分なリラックス状態で入眠することが大切
睡眠の悩みを持たれている方は多いのですが、私達の医学知識はそこまで睡眠について多くのことがわかっているわけではありません。
実はそもそもなぜ生物は睡眠をとるのか?といった根本的な謎すらまだよくわかっていないのです。
眠ることで疲れが取れて回復するという経験はだれしもしたことがあると思いますので、眠っている時に脳を休めているという考え方は多くの方が持たれています。
しかし、私達が考えているほど実際に脳が休んでいるということはなく、脳の活動自体は寝ていても低下せずに、かなり活発に活動していることがわかっています。
もちろん、疲労の回復に関わる活動や体感的にも疲労が取れますから、疲労の回復は睡眠の役割の一部ではあります。
睡眠状態にはレム睡眠とノンレム睡眠の二つの状態があり、一般的には深い睡眠(ノンレム)、浅い睡眠(レム)という表現をすることが多いですが、睡眠学では状態の違いであって、深いとか浅いとかといった意味ではないという考え方も出てきています。
正常な睡眠のパターンは入眠直後からノンレム睡眠が始まり、一旦レム睡眠に戻った後に再度ノンレム睡眠を一周期として、一晩に4~5回繰り返して目覚めるというパターンをとります。
レム睡眠とノンレム睡眠の周期は1周期で90分といわれていますが、これも個人差が大きいことがわかっています。
1周期の長さに個人差はありますが、1つの周期の中に現れるレム睡眠とノンレム睡眠の割合が入眠直後(1周期目)はレム睡眠が多くノンレム睡眠が少ないという割合ですが、覚醒前(4~5周期目)になるにしたがってレム睡眠が少なくノンレム睡眠が多くなるといった具合に割合が変化することがわかっています。
夜中に何度も目覚めてしまう方の多くの睡眠を調べると、睡眠直後のレム睡眠がそれほど多くなく、最初からノンレム睡眠の割合が多い(4~5周期目の睡眠に近いパターン)ことがあり、それが夜中に何度も起きてしまう睡眠パターンだと考えられます。
一般的には眠りが浅いと言われる状態です。
どのようなメカニズムでこの周期が形成されているのか、入眠直後のノンレム睡眠の割合がどのようなメカニズムで多くなってしまうのか?はわかっていませんが、交感神経が高い状態(ストレスがかかった状態)で入眠するとずっと夢を見ていたような、疲れがあまりとれていない状態になることが多いのは多くの方が経験されたことがあるのではないでしょうか?
臨床的にはリラックスした副交感神経優位の状態で入眠出来るようになってくると、入眠時のレム睡眠の割合が増えることが多くなります。
夜中に何度も目が覚めてしまう方は入眠時に十分リラックスした状態になれているのか、リラックスを邪魔する要因を一つ一つ丁寧に取り除いていくことが改善のカギとなります。
飲酒はレム睡眠を阻害する
アルコールが体内で分解されるとアセトアルデヒドという物質が発生します。
入眠障害(なかなか寝付けない)を持たれている方はお酒を飲んで眠った方が寝やすいという方は多いのですが、アルコール依存症の原因になり易いので睡眠に問題を抱える方は基本的には禁酒がお勧めです。
アルコールの摂取を行うと副交感神経が刺激されて入眠しやすくなるのですが、アセトアルデヒドにはレム睡眠を阻害する作用があることがわかっています。
その為、副交感神経優位のリラックスした状態であっても睡眠のパターンに悪影響を与えてしまいます。
入眠直後のからレム睡眠が多めの睡眠パータンを示す為、夜中で目覚めやすくなってしまいます。
お酒を飲めないことが強い苦痛になってしまう場合には、昼飲みをして夜には身体からアセトアルデヒドが分解されてなくなっている状態にするというようなお酒との付き合い方が望ましいです。
夜のブルーライトは睡眠を阻害する
スマホ・タブレット・PC・TV・明るい照明など、夜に目にブルーライトが入ってしまうと、眠気を誘発して体内リズムを調節しているメラトニンというホルモンの生成を阻害してしまう原因となります。
メラトニンはセロトニンが酵素によって変換されたものですが、目にブルーライトが入るとセロトニンをメラトニンに変換する酵素の働きを阻害します。
本来は朝起きた際に光が目に入ったことで、メラトニンの生成を止めて、セロトニンの合成によって覚醒度を高める為に使われている機能ですが、夜に目からブルーライトが入ってしまうと脳がまだ昼間であると錯覚して交感神経を刺激して覚醒度を高める原因となります。
加齢とともにリラックスは難しくなってくる
高齢になると睡眠の問題を抱えやすくなる方は多いです。
その理由は副交感神経は加齢とともに機能が徐々に低下していくことにあります。
若い時と同じように動くことが出来ないのと同じように、副交感神経も若い時と同じ機能を保つことが出来ないようなのです。
老化に対する研究が進めば今後この問題は解消されていくのかもしれませんが、現状では機能低下した副交感神経を再び復活させる方法というのはまだわかっていない為、若い時からの積み重ねによる予防が大切だとされています。
過度にストレスをかけた状態や交感神経優位の状態での生活が長いとそれだけ副交感神経系に負担を強いることになる為、副交感神経の機能低下は早く発生しやすくなるといわれています。
また、アルコールなど神経系に負担をかける作用のある物質の摂取も神経の機能低下を引き起こしやすいのでなるべく避けることが大切です。
ストレス反応は交感神経を刺激する
ストレスと聞くと一般的には悩み事・心配事などの心理ストレスを思い浮かべられることが多いかと思いますが、医学的には「ストレス反応」が引き起こされた状態を指します。
ストレス反応が起こると視床のストレス中枢から直接交感神経系が刺激されるだけでなく、視床を通じて交感神経を刺激するホルモンが分泌されることで交感神経が刺激されます。
ストレス反応を引き起こす原因については過去記事をご覧ください。
昼間の運動不足は夜の副交感神経の働きを低下させる
昼間の運動は交感神経を刺激しますが、自律神経には昼間に十分に交感神経が刺激されることで夜になると副交感神経が高まりやすくなるという性質があります。
交感神経と副交感神経のメリハリをつけることで自律神経の働きが良くなるのですが、昼間もあまり太陽を浴びず、運動もせずという運動不足の生活をしていると、夜になっても十分副交感神経が高まらない為、リラックスした状態での睡眠に入りにくくなります。
また、運動不足を解消しようとして夜に運動を行ってしまうと、今度は夜に交感神経を刺激してしまって睡眠を邪魔する要因になります。
運動不足の解消は昼間に行うことがとても大切です。
運動はウォーキング、ジョギング、自転車など同じ動作を繰り返すリズム運動を行うとセロトニンの分泌が促されるため、自律神経を整える上でお勧めです。
また、前述したようにセロトニンは夜になるとメラトニンという眠気を誘発し、体内時計を調整するホルモンに変化する為、脳内のセロトニン量を増やしておくことでより良い睡眠を得られやすくなります。
まとめ
夜中に何度も目覚めてしまうのは睡眠障害の中途覚醒という症状です。中途覚醒してもそのまますぐに眠れて徐々に中途覚醒がなくなっていく場合には問題がありませんが、徐々に悪化していく方もいる為、寝付きが悪くなる、再度眠ることが出来なくなってきてしまっている場合には注意が必要になります。
睡眠については今の科学ではあまり詳しいことはわかっていないのが実情です。
しかし、中途覚醒を起こしやすい方の睡眠パターンを調べると通常は入眠直後に多いNonRem睡眠の割合が少なく、Rem睡眠の割合が多いことが多いです。
その為、入眠直後のNonRem睡眠の割合が少ないパターンの睡眠は緊張した状態で入眠すると発生しやすいことが多いため、なるべくリラックスした状態で入眠することが大切です。
飲酒はNonRem睡眠を妨げる要因になるので、基本的には禁酒、どうしても飲むのであれば昼間に飲んで寝る時間帯にはアルコールが身体に残らないように工夫しましょう。
ブルーライトも脳を覚醒させてNonRem睡眠を妨げますので、夜はブルーライトを発するデジタル機器の使用は控えてください。
加齢とともに自然とリラックスは難しくなっていきますが、根本的な治療法は現在ない為、若い時から副交感神経に負担をかけすぎない予防が重要です。
ストレス反応が起こっていると交感神経が刺激されている状態ではNonRem睡眠は邪魔されやすくなってしまうのでストレス管理を行うことも大切になります。
当院での改善をご検討の方は自律神経失調症をご覧ください。
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