ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。
パニック障害や全般性不安障害といった不安障害になると、動悸や息苦しさ、不安感といった症状が多いのですが、ソワソワ・ザワザワして落ち着かない。
同じ場所にじっとしていられない為、ウロウロと動き回っていないといられないといった感じの焦燥感(しょうそうかん)の症状に悩まされる方も多いです。
今回はじっとしていられない落ち着かない焦燥感の原因と対処方法について一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までお読みください。
結論:最終的にはセロトニンを増やすしかない
パニック障害は不安・恐怖の起点となる扁桃体(脳の奥のあるアーモンド状の部位)が興奮しやすくなった病態です。
通常は扁桃体の興奮はセロトニン神経から分泌されるセロトニンに制御されることで危険な状況で興奮するようにコントロールされています。
しかし、パニック障害の方は、セロトニンの不足により扁桃体の興奮を抑制することが行われにくくなり、わずかな刺激に対しても恐怖や不安を感じてしまうようになっていると考えられています。
不安や恐怖を感じると、本能的にはその場から逃げなくては!という反応が出ます。その為、扁桃体が興奮状態になると、焦燥感が出てその場から離れようとする反応が出てきます。
これがじっとしていられず、落ち着かない、じっとしていられない、動き回っていないといられないといった焦燥感の正体です。
しかし、あたりを見回しても実際に逃げ出す対象がいない為、何から逃げればいいのか、どこに行けばいいのか、どうすればいいのかと余計に頭の中で混乱してしまい、パニックがひどくなり、扁桃体がさらに興奮してしまってどうすればいいのかわからないとどんどんパニックになっていってしまうことが多いです。
基本的にはセロトニン不足による症状なので、改善に取り組み脳内のセロトニン量が増えてくればこのような症状も落ち着いてきます。
しかし、脳内のセロトニン量が増えてくるには時間もかかりますので、その場はどうすればいいのか?の対処法についても考えてみます。
その場から逃げ出したいという反応
パニック障害の方が落ち着かず、じっとしていられないのはその場から逃走して安全な場所まで逃げたい、もしくは、戦って生き残ろうとする、動物に備わっている本能的な行動を促す反応です。
しかし、パニック障害になり扁桃体が興奮しやすい状態になってしまうと、どこへ移動しても落ち着かないという状態がやってきます。
このその場から逃げ出そうとする反応を鎮める方法として、一旦全力でその場から走ってみるということが有効な場合があります。
じっとしていられない方の多くが、何かに没頭していたりすると気が紛れやすいということを言われる方が多いのですが、身体的に息が上がって走れなくなるまで全力で走れば強制的に意識を別に逸らすことが出来ます。
また、走ることで心拍、呼吸が上昇、エネルギーが消費、発汗が促されるなどの身体反応が発生します。
そして、ある程度の距離を走ると今度は体を休ませないといけない状態になる為、今度は休息モード(副交感神経が働く)に入ろうとします。
パニック発作の多くは急激な交感神経の興奮によるものなので、身体を使って実際に闘争(戦う対象がいないので現実的ではありません。)・逃走のどちらかを行うと鎮まってきやすい傾向があります。
体力がある方ほどたくさんの距離を走る必要がありますが、走りすぎて力が入らなくなるほど走ると闘争・逃走反応が一旦は収束することが期待できます。
部屋の中にいてうろうろしたり落ち着かない状態は、その場にいるという状況や身体を十分使って危険から逃げたという刺激が入ってこない為、いつまでもソワソワ落ち着かなくなってしまいます。
落ち着かせようとするよりも、一旦身体を疲れるまで動かしてしまうという方法も試してみる価値があります。
原理的には抗不安薬が有効ですが・・・
ストレス反応が起こり、扁桃体が興奮することで居ても立っても居られないという状態になり易くなります。
扁桃体の興奮を鎮めるように作用するお薬が、ベンゾジアゼピン系のお薬(抗不安薬)になり、原理的には何とかしたいという場合には有効な対処法です。
ベンゾジアゼピン系のお薬は、扁桃体の神経に作用することで神経の興奮を鎮めるGABAの作用を増強して、扁桃体の興奮を鎮めるように働きます。
しかし、何度も頻繁に使用していると、依存が形成されたり、効果が薄れてきたりなど問題が起こりやすい薬でもある為、医師の指示の範囲を超えての服薬は辞めましょう。
また、依存状態が形成されてしまった後に抗不安薬の効果が切れると、それだけで扁桃体が興奮する離脱症状が出てくることが知られています。
じっとしていられないという症状が、ベンゾジアゼピン系のお薬の離脱症状に起因している場合もあります。
ドーパミンの調節に問題があっても同じ症状が出る
原理的には抗不安薬が有効なのですが、じっとしていられない、ソワソワという症状が扁桃体の興奮が主体ではなく、ドーパミンの調節が上手くいかなくなったことが原因となって出てくる場合も存在します。
一時的にドーパミンの分泌が乱れてソワソワ、落ち着かない、じっとしていられないという感覚が出ている場合もあります。
通常、不安障害の場合は抗不安薬や抗うつ薬を用いることが一般的ですが、抗精神薬系(統合失調症などの治療に使われるドーパミンに対する反応を抑える)のお薬でじっとしていられない、ザワザワ、ソワソワといった焦燥感が落ち着く場合があります。(ドーパミン過剰が原因の場合)
薬の分類上は統合失調症のお薬とはなっていますが、幻覚や幻聴が見えている、妄想が膨らんでいるといったことは全くありませんが、ドーパミンの働きを抑えることで落ち着く方が一部ではいらっしゃいます。
注意が必要なのが、ドーパミン過剰が原因の場合は原理的にパニック障害の改善として抗うつ薬の一種であるSNRIを使用するとドーパミンの量を増やしてしまう為かえって落ち着かない症状が悪化してしまう場合があります。
逆にドーパミンの不足が原因の場合は、ドーパミン不足により前頭葉の働きが低下して前頭葉からの命令による扁桃体の抑制機能が低下し、じっとしていられない、ソワソワという症状が出ている場合もあります。
ADHDのじっとしていられないという多動傾向と似たメカニズムによりじっとしていられないという状態が発生します。
ドーパミンの調節はセロトニンの影響を受ける為、原則的にはセロトニン量を増やすリズム運動を継続していくことが大切になります。
まとめ
ソワソワと落ち着かず、じっとしていられないという焦燥感は扁桃体の興奮やドーパミンの調節以上で発生する場合があります。
扁桃体の過剰な興奮を鎮める為にも、ドーパミンの過剰な作用にもセロトニンが関与する為、セロトニン量を増やしていくことがとても大切になります。
セロトニンの分泌は意識的なリズム運動が極めて大切な為、歩く、ジョギング、サイクリングなど同じ動作を繰り返す有酸素運動が極めて重要です。
また、有酸素運動により心拍数が上昇することで心筋や筋肉から神経細胞の新生(新たに生まれること)や修復を促すBDNFの増加を刺激するホルモンが分泌されることが近年の研究でわかってきています。
ご紹介した居ても立っても居られないという状態の時に走るのは、気分も落ち着かなかったり、息苦しさや動悸が同時に出ている場合もあるので、実践が難しいことも多いと思います。
パニック発作は辛いので、症状が出た時にどうすればいいのか?かに意識が向いてしまうお気持ちはよくわかります。
しかし、症状が出ていない時にどう過ごすのか?が結果的に症状が出る回数を減らしたり、出たとしても軽い症状で済ませてくれるなど、改善には重要になってきます。
症状が出ていない時に、出ていないからいいやというのではなく、出ていない時こそ、根本改善に必要な生活習慣をより意識することが大切です。
当院での改善をご検討の方はパニック障害、全般性不安障害をご覧ください。
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