うつ病、パニック障害、自律神経失調症を治すために夫・妻・親・彼氏・彼女とどう付き合っていくのか
結論:親しい人にこそしっかり迷惑をかけて、回復に協力してもらいましょう
うつ病、不安障害(パニック障害・全般性不安障害)、自律神経失調症になって来院された方の改善のしやすさの重要な要因として家族やパートナーの協力が得られるかどうかはとても大きいです。
家族やパートナーが一緒に改善に向けて協力してくれる関係性は心強いです。
逆に家族やパートナーの協力が得られなかったり、家族やパートナーがストレス原因になってしまっていると改善が難しくなってしまいます。
改善していくうえで身近な人に協力してもらえる協力関係にあることが理想ですが、最低でも身近な人がストレス原因になって改善の妨げにならないように人間関係の整理がとても大切になります。
理解しようとしてくれる身近な人でも疾患を理解できない
鬱や不安感、自律神経の症状は、その状態になった本人にしか理解できません。
我々医療者ですら、実際にその疾患になったことがなければ、教科書的にどういう状態なのかを勉強することは出来ても、どういう辛い感覚に襲われているのかを体験として理解しているわけではありません。
私も自分がパニック障害になった経験があり、その症状としてうつ症状や不安感、動悸や息が苦しい、手足の異常発汗、易疲労などの自律神経症状の経験があるから自律神経が乱れた状態を理解できているだけです。
あなたが抱えている辛さは身近な人には理解してもらいたいですし、身近な人に理解してもらえると安心感は大きいと思います。
しかし、理解しようと努力しても体験していないことはわからないのが人間です。完全に理解することは、実はとても難しいのです。
それでも、理解しようとしてくれる人の存在は助けになります。
しかし、身近にいる方が理解しようとしないと、心無い言葉をかけられてしまったり、甘えだと言い張って家事や仕事をするよう迫ってくることもあるので、そのようなケースでは無理に理解してもらおうとせずに、少なくともある程度回復するまでは距離をとることが大切です。
身近な人にはしっかりと迷惑をかけましょう
身近な人が理解しようとしてくれているという前提の話ですが、うつ病や不安障害、自律神経失調症になる方は人に迷惑がかかることを嫌がる方が多いです。
それでもあえて言いますが、身近な人にはしっかりと迷惑をかけましょう。
再発予防まで考えると、自分一人で抱え込みやすい思考・行動パターンを変えてえていく必要があります。
他の人に助けてもらうことを体験して、適度に人に頼ることを学んでいくことが効果的です。
自律神経の疾患になり易い方は一人で抱え込んで潰れてしまうことが多いため、人に頼る、助けを求める、周囲の人の力を借りてあなたが抱え込む量を減らす生き方を学ぶことが大切です。
迷惑をかけることが悪ですか?
自分に置き換えるとわかりますが、あなたの大切な人が体調不良で困っているのに迷惑になるからと相談も助けも求めずに黙って無理して、家事や仕事をしていたらどうでしょうか?
逆に「どうして頼ってくれないのだろうか?」「信頼されていないのかなぁ?」「なんで相談してくれないんだろう」と感じませんか?
日本には「他人に迷惑をかけてはいけない」という教育がありますが、過度な迷惑をかけてはいけないだけです。
適度な迷惑は人間関係をより親密にする作用があります。
どのぐらいが適度なのかは相手との親密度で決まりますから、親しい人にはより大きな迷惑を、あまり親しくない人には軽めの迷惑をかけることにはなりますが、その距離感を学んでいくことが大切です。
私達は生まれてから死ぬまで、どう頑張っても他人に必ず迷惑をかけます。
迷惑をかけてしまうことを過度に避ける必要はありません。
しかし、迷惑をかけないようにしてきた人にとって、迷惑をかけると、自分に存在価値がなくなる、自分はダメな存在、いない方が良い存在など、歪んだ認知(思い込み)から苦しんでしまうことが多いです。
そういった思い込みを少しずつ外していきましょう。
迷惑をかけても支配されてはいけません
善意で助けてもらったことに関しては感謝の言葉を伝えことは大切ですが、何かを返さなくてはと思う必要はありません。
何かお返しできるほど、今のあなたは元気ではありません。
どうしても何か返すならあなたが元気になった姿をみせることです。
しかし、助けた行為のお返しを相手が要求してくる場合があります。
善意ではなく支配したくて迷惑を受け入れている人が時々います。
「これだけ助けてるんだから、もっと〇〇してよ」「こんなにやってあげているのに」というように迷惑を受けたから、そのぶん○○をしてと要求をしてくる人です。
これは助けることであなたの弱みを握り、そこに付け込もうとしてくる人の行動です。
迷惑をかけているから…と相手の言いなりになることがないように注意しましょう。
攻撃を受けるなら、物理的距離を取りましょう
身近な存在が味方になってくれればこれほど頼もしいことはありませんが、多くの人が必ずしもそんなに恵まれた人間関係の中で生活できているわけではありません。
むしろ、恵まれた人間関係の中で生活できていれば自律神経に問題を抱える前に助けてもらえることが多いからです。
うつ病や不安障害になりやすい方は、人間関係を円滑に構築することが難しいという問題を根底に抱えていることが多いです。
自分が我慢することを中心に周囲の人との関係を維持している人が多いです。
一緒に暮らしていて、心身の辛さを訴えているのに嫌みを言われたり、体の不調をたいしたことないなど攻撃を受ける場合には、物理的に距離をとるようにしましょう。
別居をする、実家に帰るなど、一時的にでもいいので、攻撃を受けない安全な場所に逃げてください。
あなたは奴隷ではありません。体調が悪い時にはしっかりと休んでください。
相手のことを誤解していませんか?
理解しようともしてくれない相手とは、距離をとるのが一番ですが、あなたが相手のことを誤解していることもあります。
今までの経験から「どうせ話しても無駄、わかってもらえない」と、あなたが一切相手に伝える努力をせずに理解しようともしてくれない人だと思い込んでいることもあります。
真剣に今の自分の心身の辛さを訴え、あなたが求めている手助けを具体的に伝えれば、理解を示してくれることもあります。
話をすることで「甘えている、心が弱いからそうなるんだ!」などひどい言葉をかけられる可能性はゼロではありません。しかし、1度だけでいいので自分の状況を説明する努力はしてみましょう。
そのうえで理解をしようともしてくれない相手であれば、物理的に離れて療養をしましょう。
あなたのことを大切に扱ってくれない人に囲まれた環境で、元気を取り戻すのは非常に難しいので、我慢でズルズルいかないように注意しましょう。
まとめ
家族やパートナーには迷惑が掛かったとしても協力してもらうことが大切です。
しかし、疾患を理解できるわけではないので丁寧に説明することと、説明しても100%理解することは出来ないことを知っておきましょう。
話をしても理解を示してくれない場合には、距離をとって療養をすることが大切です。
理解をしようとしてくれたかのように見えて、あなたを支配しようとしてくる場合があるので、そのような傾向があれば離れましょう。
話してもどうせわかってくれないとあなたの方から、最初からコミュニケーションを断絶してしまっていることがあるので、最低でも1度は相手にあなたの今の状態を伝えましょう。
それでも理解を示してくれない時には距離をとるようにしてください。
当院での改善をご検討の方は自律神経失調症、うつ病、適応障害、パニック障害、全般性不安障害をご覧ください。
遠方で来院が難しいけれど、生活習慣や改善について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。