うつ病と診断され気分が落ち込むのを改善したいと来院された40代女性(浜松市)の鍼灸症例

心身堂院長 佐野佑介
この記事を書いた人

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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<初診時のカウンセリング>
元々嫌なことを嫌ということが出来ずに抱え込んでしまうタイプで、過去にも一度うつ状態になって休職していた。今回は4か月前から似たような状態になり、先月から再び休職している。あまり状態が改善しない為、来院した。

診断名は一応うつ病とのことだが、話をしているとところどころ笑った表情も見せたり、不安感、焦燥感、不眠が訴えとしては強いことから、うつ病なのかパニック障害からくるうつ状態なのかは少し怪しい。

今回、初めて鍼灸を受ける。

 

<施術内容と経過>
家に閉じこもって何もやりたくないという状態で、今まで楽しめていたものが楽しめなくなっては来ているが、全く笑わないわけでもなく、目もうつ病の方独特の焦点が合っていないような表情ではない。身体的な辛さを改善しつつ、心理的なアプローチの割合を多く行っていく。

初回
かなり強めの肩こりは出ており、それははりで緩めるが、会話の最中に急に肩こりが強くなったりするため、話している内容に応じて緊張した時に肩こりが強くなってそれが慢性化しているようである。心因性の肩こりと考え、カウンセリングを主に行う。

2回目(一週間後)
自覚的な変化はなく、この一週間かなりないたとのこと。感情が落ち着いてくるまでにまだかかりそうである。(同様の施術)

3回目(一週間後)
カウンセリングをしていると、自分が悪いという思考にどうしても入っていくようで、いわゆる自己肯定がうまくできなくなっている状態。少しでも辞められるようにセルフコンパッションを教える。(同様の施術)

4回目(一週間後)
旦那さんの実家に帰省したのだが、とてもやさしく接してくれたことで心がとても落ち着いたらしく、楽しく過ごせたとのこと。(同様の施術)

5回目(一週間後)
先週から不眠の状態が良くなり、寝られない日はまだあるものの、以前と比べて寝られる日が週のうちの半分以上になってきたとのこと。眠れるため体の状態も良くなり、感情も比較的落ち着いている。

6回目(二週間後)
2週間の中で2日だけ眠れないことがあっただけで、後眠りもよく不安感や焦燥感などの感情も落ち着いている。教えた心理療法を地道に頑張っているようで、話していてネガティブ思考になるような言葉が減ってきている。

7回目(二週間後)
全ての日が完全に眠れているわけではないが、体調自体は良く過ごせている。

8回目(三週間後)
料理など好きなことをやりたい意欲が少しずつ湧くようになり、料理を作って旦那さんを待つのが最近の日課になってきているとのこと。

9回目(三週間後)
日常生活で自分がやりたいことの意欲は維持できている。しかし、職場復帰まではまだ考えたくないとのこと。

10回目(一ヶ月後)
のんびり過ごしていた。体調も良く安定しており、散歩もやり始めた。

11回目(一ヶ月後)
職場の上司と産業医と面談して、徐々に職場復帰していく準備を現在は初めているとのこと。体調は安定していて、眠るのもやる気も普通にある。

12回目(二ヶ月後)
時短ではあるが、職場に復帰して体調も良く過ごせている。抗不安薬も先月から飲んでいないが元気とのこと。身体を診ても緊張感が強くなるなどの変調も出ていない為、今回で卒業とした。

<まとめ>
鍼灸施術そのものは初期の不安感や焦燥感改善に用いたが、自分を責めていってしまう思考の改善のためのカウンセリングや心理療法が特に効果を発揮した症例。

来院回数は少し多くなったが、初期の状態がかなりひどかったので割と順調に改善出来た症例だったのではないかと思われる。経過的にはうつ病というよりはパニック障害のうつ状態であった可能性が高い。

※こちらの記事は症例であり、全ての方に効果を保証するものではありません。効果には個人差があります。

パニック障害の改善について詳しく解説していますので、ご興味がある方は是非ご覧ください。