仕事のストレスから不定愁訴と動悸、息苦しい、手の震え、不安感で来院された30代男性(浜松市)の鍼灸症例

心身堂院長 佐野佑介
この記事を書いた人

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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<初診時のカウンセリング>
動悸は2年前から疲れた時や寝不足などに感じることはあったが、動悸、息苦しい、手の震え、不安感などが出るようになった。仕事のストレスから閉鎖空間や一人でいたり、運転中などにこれらの症状が悪化する。

体調の異変に気が付いて現在は仕事をやめて療養中ではあるが思ったように回復せず、日常生活でも疲労感やだるさ、やる気の低下などの不定愁訴が出ている。

精神科で、ストレス性障害との診断を受けている。

自動車の運転が出来ない為行動範囲が狭まってしまい、このまま治るか不安で、仕事も復帰できるのかと色々悩んでいる。

今回、初めて鍼灸を受ける。

<施術内容と経過>
通常ストレス性障害はストレスの原因が取り除かれたり、休日になると体調が改善するといわれているが、仕事をやめて療養中にもかかわらず体調不良が継続している為、自律神経が正常に機能していない状態が常態化しているようである。運転できないなどパニック障害にみられる症状もあるが、自律神経を整えていく事で改善されていくのではないかと思われる。

初回
呼吸がかなり乱れている為、全身調整と内臓調整で呼吸筋周辺の筋肉を緩めたうえで、呼吸法を伝える。性格的にこだわりが強いため、カウンセリング中心に行っていく。

2回目(一週間後)
動悸、不安感、息苦しさなどは出てはいるが、全体的に症状が弱くなってかなり過ごしやすかったとのこと。カウンセリングをしていると実家の家族との人間関係にもストレスがあるようである。全身調整と内臓調整。

3回目(一週間後)
閉鎖空間、運転などのストレスを加えることはなかったのだが、日常生活では不安になったり、動悸、息苦しさは感じることがなかった。ネガティブな思考にもなりにくくなってきている。全身調整と内臓調整。

4回目(一週間後)
奥さんが助手席にいる状態で、すいている道路であれば多少の緊張感は発生するもののパニック発作が出ることなく運転が出来たとのこと。全身調整と内臓調整。

5回目(二週間後)
途中で実家の両親と喧嘩することがあったが、怒りの感情が暴走している感じはあるが体調そのものが悪くなっている感じはなく過ごせている。渋滞しているところも運転できた。全身調整と内臓調整。

6回目(三週間後)
体調は良く過ごせており、運転もできている。高速道路などは乗っていない為わからない。来月引っ越し予定とのこと。

7回目(一ヶ月後)
まだ、一人で自由にどこにでも行けるという状態ではないが、日常生活上は不便ない程度まで運転もできている。引っ越しで遠方に行くため、今回で卒業とした。

<まとめ>
運転できないなどのパニック障害の克服には、暴露療法(繰り返し苦手なものに接触する)をしていく必要があり、運転しなくても生活できてしまうとなかなか練習をしてもらえないのだが、奥さんがとても協力的で、比較的早い段階から暴露療法を積極的に行えたことで、スムーズな改善につながった。

ここまで改善していると、あとは地道に適正な刺激量の暴露療法を行っていけば元通りの水準まで改善していく事が可能だと思われる。

※こちらの記事は症例であり、全ての方に効果を保証するものではありません。効果には個人差があります。

パニック障害の改善について詳しく解説していますので、ご興味がある方は是非ご覧ください。