朝、頭痛がするようになり起きられない起立性調節障害疑いで来院された高2女子(浜松市)の鍼灸症例

心身堂院長 佐野佑介
この記事を書いた人

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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<初診時のカウンセリング>
吹奏楽部に所属しているのだが、数か月前に大きな演奏会が終わった翌日から突然、朝に頭痛がして起きられなくなり、来院した。

頭痛は朝特にひどいが、一日中ある状態とのこと。学校へは行けていない。

高校生の為、起立性調節障害の専門の小児科を受診できず、どこへ行っていいのかわからない状態とのこと。

今回、初めて鍼灸を受ける。

<施術内容と経過>
頭痛がはじまってから、毎日頭痛があり、痛みがない日は今のところ出ていないとのこと。今は頭痛の症状が強く、毎日寝て過ごしている状態である。

初回
全身の筋肉がこわばっている為、内臓刺激、全身調整を行って全身の筋肉を緩める施術を行ったうえで、頭痛の幹部に鍼を行った。施術後は頭痛が2割程度の痛みまで軽減した。

2回目(一週間後)
頭痛そのものは毎日出ているが、1日続いていた頭痛が、午後を少し過ぎたぐらいの時間から痛みを感じなくなるようになったとのこと。朝は今のところ起きられていない。

3回目(一週間後)
頭痛が出ない日が出てきた為、友達と遊びに行ったところ、翌日から再びひどい頭痛が出るようになったとのこと。調子が良くなって一気に体に負担をかけすぎてしまったようである。

4回目(一週間後)
ひどくなった頭痛は再び改善してきて、頭痛が出ない日も何日かあったとのこと。周りの人にどう思われているのかが気になりだしている為、心理療法を行う。頭痛がない日は午後ぐらいから保健室登校を始めた。

5回目(一週間後)
保健室登校ではあるが、時々朝学校へ行けるようにはなっている。頭痛が酷い日は時々ある。

6回目(二週間後)
朝起きてからの頭痛には波が若干あるが、良い日は本当に体調良く学校へ行けているが、保健室登校を続けている状態。出席日数が足りなくなってきており、どうするのかで悩んでいる。

7回目(二週間後)
天候不良の後から体調が悪いとのこと。

8回目(二週間後)
出席日数が足りなくなり、単位制高校への編入が決まった。その後ぐらいから起床時間は遅めなものの頭痛はほとんど出なくなったとのこと。

9回目(三週間後)
頭痛はなく過ごせており、朝は早く起きれたり起きれなかったりといった状態。

10回目(一ヶ月後)
この一か月間は頭痛もなく、朝も楽に起きられているとのこと。体調も良いため今回で卒業とした。

<まとめ>
起立性調節障害になる子供の部活で吹奏楽部が多いといわれており、この子もそのタイプ。部活が厳しいからなのか、息を吐くという吹奏楽特有の呼吸法により自律神経が乱れやすいのかは不明だが、何らかの因果関係があるかもしれない。

ある程度の改善はされてきたのだが、編入が決まったぐらいのタイミングから急激にコンスタントに朝起きられるようにため、現在の学校に行くことに自分でも認識できない潜在的なストレスを感じていた可能性が十分にある。

起立性調節障害が身体だけの疾患だと決めつけてはいけないと、言われるのはこのような心理的な問題がある可能性を否定できないからである。

 

※こちらの記事は症例であり、全ての方に効果を保証するものではありません。効果には個人差があります。

起立性調節障害の改善について詳しく解説していますので、ご興味がある方は是非ご覧ください。