こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。
遺伝的にも不安になり易かったり、愛着形成に失敗していると日常的に不安な感情に陥りやすくなります。
自分ばかりがそのような辛い状態なのは辛いですが、現在の自分は不安になり易いことを認め、そのうえで適切な対応をしていくことが大切です。
今回はそんな方でも不安な感情を鎮める心の取り扱い方について一緒に考えていきたいと思います。不安な気持ちになり易く悩まれている方は、ぜひ最後までご一読ください。
結論:不安を取り除こうとせずに受け入れる
不安な感情は気持ちが悪いので、どうにか取り除きたくなりますよね。しかし、不安という感情を取り除こうとすると、不安はどんどん強くなっていってしまいます。
不安な感情は取り除こうとすればするほど増強するという性質があるからです。
私達の脳は不安を解消したり取り除くという行動をとると、それはとても危険なことだから解消したり取り除くのだという危険度レベルを上げていく性質があります。
ではどうすればいいかというと、不安であることをそのまま受け入れてあげる、不安をそのままにしてそっとしておくということでになります。
不安であることをそのまま受け入れることが出来ると、不安な感情は鎮まって、落ち着いてきます。しかし、不安がゼロになるわけではなく、軽い不安を残しておくことで不安に対しての抵抗性が付くということです。
しかし、不安になり易い方は不安な感情をとにかく取り除きたいという気持ちが強く、放置したらもっと不安になってしまうような気がして怖いのが普通です。
それは今まで不安な感情を受け入れるという手法をやってきたことがないからです。やったことがないことを恐れるのは人間として正常な感情です。
ですから、少しずつ不安を受け入れる方法を実践していくことで、遺伝的にポジティブな人ほどではないにしても、不安感を感じずらく過ごしていくことが出来るようになります。
不安は必要な感情
まず最初に知っておいて頂きたいことは不安という感情は私達に必要な感情で、不必要な悪い感情ではないということです。
確かに過剰な不安はストレスが増えてしまいますし、体調不良につながるので良くありませんが、適度な不安というのは、とても重要です。
私達は不安な感情を持つので、努力して問題の解決に努めたり、未来に備えたり、問題点を見つけて改善したりといった、行動や努力の原動力にすることが出来ます。
また、不安になっている時の方が認知能力が高まったり、記憶力が高まることもわかっています。つまり、多少の不安がある状態の方が脳が良いパフォーマンスを出しやすいのです。
不安をすべて取り除くことではなく、不適切な過剰な不安を鎮めて、必要な不安をうまく利用していくことが大切です。
日本人が不安を取り除くことの弊害
不安な感情は適切な範囲内であればむしろ脳のパフォーマンスを高めてくれる有益な感情です。
しかし、心地が悪いという理由から不安を取り除こうと過剰に不安を取り除いていくと、不安感をより強く感じやすくなり、それがさらに進行していくと不安障害という病的な状態へと発展していきます。
元々、私達が不安を感じやすくなっている理由は、自然界ではその方が生き残りやすいからです。
特に日本は四季があるため食べ物が夏場は豊富でも冬になれば極端に乏しくなります。
また、雨による洪水、台風、火山、地震といった天災も多い地域ですから、命に関わる危険が多い為、不安になり易い方が十分な防災や備蓄などを行い、生き残ってきたのです。
そういった自然災害の脅威が頻繁に発生する環境に適応しているのが私たち日本人です。
だからこそ、不安になることで食糧を備蓄し、助け合いを重んじ、協力し合うことで生き残ってきたという遺伝子的特徴と文化が形成されていったと考えられています。
しかし、科学の発展によって災害への対策や貯蔵技術の向上で、安全性が向上して多くの人が安全に暮らせるようになりました。
その結果、本来天災などの命に関わる危険に適応するために獲得した不安になりやすいという遺伝的特性が、使う場所を失いました。
しかし、安全になったからすぐに不安という能力がなくなるわけではなく、命に関わらないことを不安対象として探し不安になるということを始めています。
安全性が低い状態であれば、不安を解消すること自体が無理なことが多い(天災を止めることなどできない)とある種、覚悟を決めて生活することが出来ます。
しかし、解消可能なレベルの問題になると問題を解決すると次の不安と結びつける問題を脳が見つけ出し再び不安になるという繰り返しを脳が始めます。
ここからわかることは、ある程度の不安を解消せずに、不安と共存していくスタンスこそ本来私達が行った方がよい不安との付き合い方なのです。
不安だと感じたことについて、解消して安心しようとしすぎないということに不安との付き合い方のヒントがあります。
不安を鎮める心の取説~逆説思考~
ヴィクトール・フランクルという有名な精神科医、心理学者が生み出した逆説思考という心理療法が不安を鎮める、心の扱い方にとても有用です。
例えば、体調が悪くて明日仕事に行けなかったらどうしよう~という状態の方であれば、「明日が仕事行けなかったら不安だな~、明日仕事行けないな~、明日仕事行けないわ、明日仕事なんて全然行けないわ」というように、「仕事に行きたい」という希望と逆の言葉を独り言でぶつぶつ言うっというのが逆説思考の簡単な方法です。
一番効果が高いのは、「明日仕事に行くの無理だな」という開き直りが出来てしまうと、緊張感から出ていた体調不良は消失するので結果的には「明日仕事に行ける」ことが多いです。
開き直れなくても不安な感情を認めて、不安で明日行けないわ~っとつぶやくだけでも十分効果があるとされています。
不安になり易い人はそんなことをしてしまったら本当に行けなくなるのではないか?と思って実行されないこともありますが、そう思うことと実際にどういう行動をとるのかを混同してしまっています。
とにかくやってみることが大切です。
しかし、言霊信仰(ある言葉を口に出すとその内容が実現するという、一種の宗教的信仰)をされている方は効果が得られにくいので、言霊を信じている方にはお勧めできません。
不安を鎮める心の取説~具体化~
不安はよくわからない不確定な状態に対して感じやすくなります。
悪いことが起っている状態よりも、悪い事が起こりそうな方が不安なのです。
例えば、財布を落としたらどうしようと不安になるのは、まだ財布を落としていない人に限定されます。財布を落としてしまっている人は、財布を落としてどうやって対処しようという悩みは出ますが、財布を落としたらどうしようという不安は消えてなくなります。
私達の心は、今の自分の立ち振る舞いでもしかしたら未来の悪い出来事が回避できるかもしれないという希望がある状態の方が不安を感じやすくできているのです。
最悪どうなるのか?を具体的に紙に書き出すと、不安感は低下していきます。これは不安を取り除くことではなく、最悪の想定をはっきりする事で対策やどうにもできないという事実を認識する事が大切です。
最悪の事態になった時に自分の気分について考えても抽象化されるだけなので効果がありませんので、注意しましょう。
まとめ
・不安はある程度ある状態が正常
・不安になり易いことを認める
・不安を取り除こうとしない
・不安でいることにOKを出してあげる
・思えなくていいので何度もつぶやいてみる
・具体的にどんな最悪な出来事が起こるのかを具体的に書き出していってみましょう。
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