細胞レベルで代謝を落とす、間違った深呼吸していませんか?
結論:良い呼吸は小さい腹式呼吸です。胸いっぱいに空気を吸い込まないようにしましょう。
TVのメディアや雑誌などでも胸いっぱいにたくさんの空気を吸い込むことを深呼吸と紹介されることが多いのですが、医学的にはあまり良い呼吸法ではありません。
胸いっぱいに空気を吸い込むとたくさんの酸素が取り込めて、健康によさそうなイメージを持たれる方も多いかと思いますが、実はそんなに大きく呼吸しなくても酸素の取り込みは十分できています。
胸いっぱいに息を吸い込んで吐き出すことで多くの二酸化炭素を吐き出してし為、今度は細胞の酸欠を促進して、代謝が低下してしまうので、積極的に胸いっぱいに空気を取り込むような呼吸法は健康な人は必要ありません。
大きく肺いっぱいに空気を取り込んではいけない理由
呼吸をする目的は、血液中に酸素を取り込むこと、そして血液中の余分な二酸化炭素を吐き出すことです。
血液中に入った酸素は赤血球にくっついて移動し、酸素を必要とする細胞へ酸素を受け渡します。細胞で発生した不要な二酸化炭素は血液中へと溶け込みます。
窒息して呼吸が出来ず酸素が不足すると、酸欠で死んでしまうというのは皆さんご存じかと思います。
体内の二酸化炭素が不足しても細胞レベルでは酸欠を起こしてしまうということはご存知でしょうか?
二酸化炭素を吐き出している為、二酸化炭素は悪いものというイメージがついていますが、二酸化炭素は人体にはなくてはならない重要な物質です。
酸素は赤血球に張り付いて運ばれますが、赤血球から細胞に酸素が渡される際に、二酸化炭素が赤血球から酸素をはがす役割をするからです。
その為、二酸化炭素を吐き出しすぎてしまうと、赤血球が大量の酸素を運んでいたとしても、そのまま体の中をぐるぐる回っているだけで、細胞に酸素が供給されません。
つまり、大きく肺いっぱいに空気を取り込む呼吸を行うと必要な量の二酸化炭素まで体の外へ吐き出してしまいやすくなるため、細胞レベルでは酸欠を起こしてしまうのです。
この二酸化炭素不足がひどくなったものが、過換気症候群(過呼吸)です。細胞が酸欠を起こす為、血中酸素濃度が高いのに息苦しさを感じるという矛盾した症状が出てきます。
これが、大きく胸いっぱいに空気を取り込む呼吸がお勧めできない理由です。
大きく呼吸しても取り込める酸素の量は変わらない
指先につけて酸素の飽和度を調べるパルスオキシメーターで血中酸素飽和度を計測すると、普通の呼吸をしていれば酸素飽和度は95%以上で、大きく変化しません。
改めて大きく呼吸することで得られるメリットは、「呼吸筋のストレッチ」と「交感神経と副交感神経を同時に刺激」することです。
二酸化炭素が増えると代謝が上がる?減ると代謝が下がる?
血液中の二酸化炭素濃度に比例して、細胞への酸素の取り込みが促進されます。(ボーア効果といいます。)
簡単に言えば、体内にある二酸化炭素が多いほど、細胞により多くの酸素が供給されやすくなるのです。
細胞は酸素を使ってエネルギーを作り出しますので、細胞への酸素の供給量が増えれば、原理上は代謝は向上し、細胞がより多くのエネルギーを利用して、元気に活動を行えるようになります。
体内にある二酸化炭素が少ないと細胞へ供給される酸素が少なくなる為、細胞一つ一つ代謝が低下します。
他にもある二酸化炭素の健康効果
二酸化炭素には血管を拡張させる作用があり、脳血流量を増大させる効果があります。体内の二酸化炭素濃度が適正になると、脳への血流が良くなります。
脳は非常に多くのエネルギーを必要とする場所で、脳が体重に占める割合は20%であるのに対し、脳での酸素消費量は40%もあると考えられています。
脳血流の増加により、心理面で安定、やる気の増加、神経疲労の軽減、睡眠の質の向上など、様々な恩恵が受けられるようになります。
お勧めの呼吸法
当院でも指導させて頂く呼吸の具体的な方法については関連記事をご参照ください。
まとめ
・大きく肺いっぱいに空気を取り込む呼吸は、細胞レベルの酸欠を誘発しやすい。
・大きく肺いっぱいに空気を取り込んでも、取り込める酸素の量は変わらない。
・二酸化炭素を吐き出し過ぎると、細胞レベルの酸欠が発生しやすくなる。
・適正範囲内であれば、二酸化炭素の量に比例して、細胞の代謝向上が期待できる。
・脳血流増大にも二酸化炭素は役立つ。
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