手が震えて字が書けない書痙(しょけい)の改善で来院された70代男性(浜松市)の鍼灸症例

<初診時のカウンセリング>
手が普段から震えている状態で、字を書こうとすると余計に震えがひどくなり、字が書けないとのことで来院した。

震えは立っているときに膝が震え続けてしまうという状態もある。

今回、初めて鍼灸を受ける。

<施術内容と経過>
不安感や恐怖感などはなく、一人の時でも膝の震え、手が震えて字が書けない状態の為、社会不安障害のとは原因が異なっているのではないかと思われる。初診の段階では原因がよくわからないが、まず腕の筋肉を支配している神経が出てくる首周りの筋肉の緊張を緩めていく事から始めていく。

初回
全身調整を行った後、首のこりに対してはり施術を行った。字を書くことは出来ないが、若干震えが軽くなったような感じは見受けられた。

2回目(一週間後)
膝は前回の施術後もあまり大きな変化はなかった。立っているときに足裏を意識してもらったところ膝の震えは止まった。手の震えは何もしていない時の震えは前回の施術後からだいぶ小さくなっている。全身調整と首こり改善。

3回目(一週間後)
膝は立ち方のコツをつかんだようで、ほとんど震えることなく過ごせるようになった。手の震えもだいぶおさまり、字が震えながらではあるが読める程度の字が書けるようになってきている。全身調整と首こり改善。

4回目(一週間後)
手の震えは日常生活の中ではほとんど震えなくなった。ペンを持つったり書くことを意識した瞬間に若干の震えがやはり発生する。全身調整と首こり改善。

5回目(二週間後)
日常生活は問題なくなったため、字を書くということだけにフォーカスしているが、震えながら字を書いてもらうと線の方向によって綺麗に書ける線と震えてしまう線があり、残っている症状は単純に指の筋肉がうまく動かせていないだけの可能性がある。指を動かしている筋肉を緩め。かきとりをして字を書くリハビリをしてもらうようにお伝えした

6回目(三週間後)
前回の施術後から、日によっては結構スムーズに字がかける日も出てきている。調子の悪い日は震えが出てしまうとのこと。

7回目(一ヶ月後)
字を書くときに意識を丹田に持っていくように指示したところ、腕の力が適度に抜けて綺麗に字が書けている。

8回目(一ヶ月後)
完璧ではないものの、日常困らない程度まで震えが治まっており、後はリハビリの要素が大きいため、今回で卒業とした。

<まとめ>
体の問題と体の使い方の問題が合わさって震えが出ていた症例。

症例としてはとても珍しく、初めて診させて頂いたときは対応可能な状態なのかわからないことを伝えたうえで、それでもやってみたいとのことで施術を開始させて頂いたのだが、当初の目的であった字を書けるようになることという目標が達成できてよかった。

体そのものが悪い側面と、身体の使い方が悪い側面とがあり、両方を改善していく事が今回の改善につながった。

※こちらの記事は症例であり、全ての方に効果を保証するものではありません。効果には個人差があります。

この記事を書いた人

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

院長 佐野佑介をフォローする
特殊症状症例
スポンサー