2年ぐらいから始まった両腕の原因不明の痛みで来院された高2女子(浜松市)の鍼灸症例

心身堂院長 佐野佑介
この記事を書いた人

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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<初診時のカウンセリング>
2年ぐらい前から腕に痛みを感じるようになり、病院を何件も回っているのだが原因がいまだにわからずに徐々に悪化していっている為、来院した。

現在は安静にしている限りはほとんど痛みを感じることはないのだが、動かした後にその直後~翌日にかけては両腕に(特に前腕)かなり強い痛みが出て名前を書く事すらできない状態で、しばらく腕が使えないということを繰り返している。

鍼灸は今回初めて受ける。

<施術内容と経過>
痛みを訴えている両腕部分を触診してみたが、特別、熱感や腫れ、発赤もない為、炎症性の症状ではないと判断した。腱鞘炎でよく見らる肩甲骨周辺だけの痛みにしては使った後にいたくなるという少し特殊さがある為、頸椎・胸椎になんらかの問題があるのではないかと推測される。

初回
全身調整を行った後、肩甲骨周辺と頸椎、胸椎周辺の筋肉を中心にはりで緩めていく。

2回目(一週間後)
前回の施術後、翌日に一旦痛みが増したのだが、その後痛みが治まってからは、腕を使った後も痛みがそこまできつく出ることがなくなったとのこと。今日も来院前にピアノと笛と書き物をしてしばらく時間がたっているが、来院時店では強い痛みは出ていない。全身調整、頸椎、胸椎周辺へはりを行った。

3回目(一週間後)
初回来院時の痛みを10とするとひどい日で4~5程度の痛みで過ごせており、名前を書くぐらいであれば出来ている。試験があったのだがマークシート形式だったため問題なく試験を受けることが出来た。全身調整、頸椎、胸椎周辺へはりを行った。

4回目(一週間後)
結構頻繁に使うようにはしているが、字が書けなくなるほど痛みが出ることはなく過ごせている。全身調整、頸椎、胸椎周辺へはりを行った。

5回目(一週間後)
右腕はひどくても痛みが3~4ぐらいまでしか出なくなり、左腕は2程度の痛みで過ごせている。全身調整、頸椎、胸椎周辺へはりを行った。

6回目(一週間後)
腕を使った後は痛みが出てくるがそこまで辛くないレベルでおさまっている。全身調整、頸椎、胸椎周辺へはりを行った。

7回目(二週間後)
二週間間をあけたところ、急激に痛みが再発。嫌なことがあったらしくそれからまた名前を書くのもつらい状態。カウンセリングを行った後に心理療法を追加して行った。

8回目(二週間後)
今回は板書をかなり書き写しているのだが、名前が書けなくなるほど強く痛みが増すこともなく2週間過ごせていた。心理療法

10回目(二週間後)
高頻度で使っている割には4ぐらいの痛みまでしか出ずに過ごせている。

11回目(二週間後)
ひどくなることもなく過ごせているのだが、右腕の痛みが3~4ぐらいからなかなか痛みレベルが下がらない為施術ポイントをわき腹や肩甲骨の下方に変更した。

12回目(二週間後)
前回の施術後から腕を使った後でもほとんど痛みの出ない日が出てきているようで、ピアノの練習も一時間ぐらいの時間であれば問題なくできるようになっている。

13回目(二週間後)
受験の関係で書き物が多かったが、痛みが出ても3ぐらいで過ごせている。ピアノを弾いて腕が痛くなることはなくなってきている。

14回目(三週間後)
テストなどの精神的なストレスを受けると症状が増悪。母親の付き添いがなかった為詳しく話を聞くと、バイセクシュアルな面がありそれで一人で悩んでいるとのこと。心理療法。

15回目(三週間後)
2~3程度の痛みで過ごせており、ピアノも書き物もそれほど苦痛を感じることなくできている。

16回目(一カ月後)
ほとんど2未満ぐらいで過ごせており、日常ではなんとなく気になる程度で過ごせている。

17回目(一カ月後)
普段はほとんど痛みを感じることなく過ごせていた。プレッシャーがかかった時だけ痛みが出ている状態であるが、それも引きずらずに、自然に収まるようになった。ある程度安定している為、今回で卒業とした。

<まとめ>
頸椎・胸椎・肩甲骨周囲とメンタルが複雑に絡んだ症例。

これだけ特殊な症例もなかなかないのだが、バイセクシュアルという一般の人とは異なる感覚があることで慢性的なフラストレーションを感じてそれが体の緊張となって表れて腕の痛みを引き起こしていたのではないかと思われる。

バイセクシュアル自体は病気ではなく正常である為、周囲との違いをどれだけ受け流していくのかというストレスコントロールをしていく必要があったため後半部分は施術と組み合わせながら心理療法を多用した。

※こちらの記事は症例であり、全ての方に効果を保証するものではありません。効果には個人差があります。